half life2短編   作:願望ちゃんねる

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「市民保護コード:OW-404 ――秩序の向こう側」

市民保護機動隊、コードCP-187。

 本日の任務は通常通り――違反者の検挙、配給列の整理、秩序の維持。

 

 だが、その「通常」は唐突に終わった。

 

 スキャナーが悲鳴を上げ、視界が白に染まる。

 次の瞬間、俺は舗装された道路に叩きつけられていた。

 

「……ここは、どこだ?」

 

 通信は繋がらない。

 オーバーウォッチの声も聞こえない。

 

 周囲を見渡す。高層ビル、整備された街路樹、人々の視線――

 シティ17とは似ているが、決定的に違う。

 

 恐怖が、薄い。

 

「武装した警官? いや……違うな」

 

 背後から声。

 振り向くと、巨大なゴリラが眼鏡をかけて立っていた。

 

 ……理解が追いつかない。

 

「落ち着いて。敵意がないなら、こちらも撃たない」

 

 続いて現れたのは、青いスーツの女性。

 彼女は自分を「トレーサー」、所属を「オーバーウォッチ」と名乗った。

 

 その単語に、胸の奥が反射的に震える。

 

「オーバー……ウォッチ?」

 

「そう。世界を守るための組織だよ!」

 

 守る?

 その言葉は、俺の知る意味とあまりにも違った。

 

 俺は拘束されることなく、拠点へ連れて行かれた。

 監視はあるが、暴力はない。

 

「君は……警察官、なの?」

 

 トレーサーが尋ねる。

 

「市民保護機動隊だ。秩序を守る」

 

「その秩序って、誰のため?」

 

 答えられなかった。

 

 俺たちは“違反者”を取り締まる。

 だが、それが市民のためだったかと聞かれると――

 思考が止まる。

 

 数日後、街に異変が起きた。

 

 紫色の機械兵。

 ヌルセクター。

 

「迎撃に出る! 君も来る?」

 

 ウィンストンが言う。

 

 俺は装備を握り締めた。

 ここで逃げれば、元の世界と同じだ。

 

「……参加する」

 

 戦場は混沌としていた。

 だが、オーバーウォッチの戦い方は、俺の知るものと違う。

 

 彼らは市民を守るために前に出る。

 盾になり、囮になり、仲間を信じる。

 

 俺は気づく。

 これが、本来あるべき「保護」なのだと。

 

 目の前で、子供を庇ったトレーサーが倒れた。

 

 その瞬間、俺の中で何かが切れた。

 

「下がれ!!」

 

 叫び声は、初めて“自分の意志”だった。

 

 スタンバトンで敵を打ち倒し、瓦礫の中から子供を抱き上げる。

 恐怖に震える小さな体。

 

 ――昔、配給列で泣いていた子供と、同じだ。

 

 戦闘後、ウィンストンが言った。

 

「君はもう、誰かに命令されて動いていない」

 

 俺はヘルメットを外した。

 外の空気を吸う。

 

「……俺は、市民を守りたい」

 

 その言葉は、嘘じゃなかった。

 

 後日。

 俺は正式にオーバーウォッチの補助要員として登録された。

 

 識別コードは残っている。

 だが、それはもう鎖じゃない。

 

 市民保護機動隊CP-187。

 今はただの、一人の警官だ。

 

 秩序は、命令じゃない。

 人のために在るものだ。

 

 俺は今日も街を巡回する。

 今度は、誰かの自由を守るために。

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