陰謀渦巻く業界の闇みたいなものが全面に出てる同人誌みたいな世界でアイドルの頂点になった思春期真っ盛りな男の娘の話(仮題)   作:男の娘はガコンガコンするまでもない!

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続きました。
それに際して短編から連載に切り替えました。


第一章
一週目


「凪掛社長。起床のお時間です」

 

「うーん……あと53分……」

 

「私がゴミ(53)って言いたいのですね。削ぎます」

 

「何をッ!?」

 

 朝イチから秘書ちゃんに対して殺気を感じ取ったので、ぼんやりした眠気を吹っ飛ばしながら意識を覚醒させた。

 

「今日はアイドル事務所を創立して初のタレント選考、最終オーディションの日ですよ。朝から気を引き締めていきましょう」

 

「別にボクは緊張するとか身構えるとかしなくていいと思うんだけど?」

 

「凪掛社長がしっかりしないと私達の事務所の信用に関わりますよ? 『アイドルとしての澄華は凄いけど生活面が壊滅的なんだ。幻滅しちゃう』と言ったように」

 

「さて、秘書ちゃん? 最終オーディションを行う応募者の資料を渡して欲しいな。常に迅速な行動を心掛けないと!」

 

「変わり身早くていっそ気持ち悪いですね」

 

 秘書ちゃんが瞬きをした一瞬の隙には既に着替え終わっていたボクに追加のデイリー罵倒をされてしまった。

 

「最終オーディションはボクも参加するんだよね?」

 

「参加したくないのならそれでもいいですよ?」

 

「いーや絶対参加するね! 社長であるボクが直接この目で見定めてあげようかな!」

 

「何様なのですか?」

 

「アイドルの王様だよ?」

 

「事実なのがより面倒臭さに磨きをかけますね」

 

「それは酷い言い草だよ……」

 

 秘書ちゃんからお小言を頂戴しつつもボクは秘書ちゃんへと目線を送ることなく貰った名簿を穴が空くほど見つめていた。

 

「誰か知っている子でも?」

 

「知ってるも何も、この名簿の()()全員はボクのファンだから顔と名前は覚えてるよ。ただ……この男の子、面白い経歴だね。ボクにも覚えが無いってことは……ボクの熱心なファンって訳ではないね」

 

 ふむふむ……家系図を調べてみるととても()()()()事になってるね。

 

「しかしその応募者は……そうですね。このオーディションを実施するにあたって凪掛社長が提示した応募条件は──」

 

「うん。『性別不問かつ()()()()()()であること』だね。だからこの子は叔父の養子になってから応募してる。なら、条件に当てはまってるよ」

 

「これに関しては宜しいので? 彼の父親が経営するプロダクションを鑑みれば、かなりグレーゾーンな気もしますが」

 

「別に良かったから最終オーディションまで残ってるんじゃないの? 権力(コネ)でゴリ押してココまで残ってる訳じゃなくて彼の実力だしね。それに養子になった時期が早すぎる。意図的に一般公募の条件に合うようにするんだったら最近養子になってないとおかしいでしょ」

 

「変な所で推理力を発揮しないでもらえますか?」

 

「これは手厳しいや」

 

 ボクの手元の資料の紙には彼の宣材写真とともに志望理由が書かれていた。

 

【獅子島《ししじま》轟《ごう》】

・この下に弊社を志望した理由をお書きください

【ある人の悲願と俺の復讐を果たすため】

 

 たったこれだけの志望理由が記載された。

 

「……彼は本来なら書類選考の時点で落ちていてもおかしくありません。彼が最終オーディションまで残っているのは異色の経歴頼りなだけです」

 

「随分とバッサリ言うね。でも、それだけじゃないでしょ? だって彼を通したのは秘書ちゃんだよね」

 

「……人事部一同で判断したまでです。それに、私個人が通したと何を根拠に──」

 

「だって、ボクと一緒じゃん。トップアイドルになりたかったママの願いを。代行者となって叶えた()()を。秘書ちゃんはずっと近くで見てきたんだから。彼とボクの姿がダブってたんでしょ?」

 

「…………」

 

 沈黙は肯定とみなすってね。

 ま、いいよ。びこーず、ボクもとっても興味が湧いたからね!

 書類選考で情報を知り、一次、二次オーディションで実力を測り、そして最終オーディションに中身を見定める。

 ボクはこのプランで自身の所属アイドルを選定しようとしていた。

 

「さぁ、なにはともあれ。見てみなきゃボクは分からないからさ。オーディションの会場ってここの部屋だっけ?」

 

「そうですけど……凪掛社長。もしかして今から二時間以上その部屋に待機するつもりですか?」

 

「そうだけど、なにか不味かったかな?」

 

「…………もういいです」

 

「? 変な秘書ちゃんだなー」

 

 秘書ちゃんから去り際に「社長がそれを言わないでください」と不可視のブーメランが飛んできた気がしなくもないが気のせい気のせい。

 

 ボクはまだオーディション会場すら出来上がってない空き部屋で体幹トレーニングや自身の曲の振り付けの練習などを行いながら開始時間まで暇を潰していると長机や椅子の設営を行いにやって来た社員を驚かせてしまった。

 

「しゃ、社長!? まだ面接開始時間まで一時間前ですよ!?」

 

「ボクは一時間前行動を常に心掛けているからね! 面接会場の設営ご苦労さま!」

 

「あ、ありがとう、ございます?」

 

 社員を驚かせること数回。ボクはかなり激しいダンスやトレーニングをしたつもりだが、ママ直伝の肉体改造で発汗を自由自在にコントロール出来るので室内は清涼でちょっぴりフローラルな空間を保っていた。

 もうしばらくしているとゆっくりと扉を開けながら秘書ちゃんが戻って来た。

 

「…………はぁ」

 

「人の顔見るなり溜息をつくのは失礼じゃない秘書ちゃん?」

 

「私の部下からの情報ですが、凪掛社長。暇つぶしで仮想ライブを開かないでくれますか?」

 

「開いたつもりは無いよ? それにライブよりもゆるーくやったし! ライブの()()()も醸し出してないしね!」

 

「凪掛社長が手を抜いても周りの人が見れば心動かされるモノなんですよ」

 

「ふーん、そうなんだ。でもね、ファンの人達がいる時、ボクはその人だけのアイドルになってあげるからね!」

 

 秘書ちゃんは「これが弁財天に愛された子ですね」と言ってくるがボクは神になった覚えはないよ? 王になったことはあるけど。

 

「それでそれで? オーディションはもう始まるんだよね?」

 

「始まりますけどくれぐれもはしゃぎすぎないように。最悪の場合、凪掛社長がぶっ飛ばされる危険性がありますので」

 

「ぶっ飛ばされる!? 誰に!?」

 

「私です」

 

「何で?」

 

「…………さて、そろそろ席にお座りください。応募者がやってきますので」

 

「せめて理由聞かせて!? ボクは秘書ちゃんにぶっ飛ばされるのを意識しながら面接しないといけなくなるから! ねぇ!?」

 

 ボクの願いも虚しく、秘書ちゃんは「私は後ろに控えておりますので」と言って離れた位置に鎮座してしまった。

 その姿はまさにボクへと判決を下す閻魔の如し。ボクからしてみれば大変恐ろしいことこの上ないということである。

 

「めっちゃこっち見てくるじゃん秘書ちゃん。このプレッシャー下でちゃんとオーディション出来るかな?」

 

「し、失礼しますぅ!」

 

「お、きたきた。どうぞー!」

 

 ボクは背後から感じる秘書ちゃんの『いつでもぶっ殺せるぞオーラ』を肌で感じつつも、定刻通りにやって来た応募者くんちゃん達を待ち受けた。

 ぞろぞろと入室してきたその総数は九人もいて、全員がボクの目から見て個性的で、()()()()子達だった。

 

「じゃあ自己紹介をお願いね」

 

「はい! えっと、新山カリンです! 15歳です。よろしくお願いします!」

 

藍澤(らんざわ)シュンですわ。15歳、よろしくお願いしますね」

 

「ウチは弥山(みやま)葵《あおい》や。歳は19。よろしくぅ」

 

「あ、あのあのあの、わた、わたわたわたしは月花城(げっかじょう)双葉《ふたば》ですです。ね、ねね年齢は、22歳で、です」

 

「きらりは蜜橋(みつはし)きらりなの! 年齢は13歳なの!」

 

「ひらりは蜜橋ひらりなの! 年齢はきらりと一緒なの!」

 

「もうボクの出番でありますか? ボクは劉禅寺《りゅうぜんじ》未来《みくる》であります。あ、年齢は14歳であります」

 

「女子多くて困っちまうな……ん? オレか。オレは羽多野《はたの》リョウスケ。年齢は今年で12歳だ! つまり、今は11歳!」

 

「獅子島轟。15歳」

 

 各々が名前と年齢を告げていく。ボクも手元の資料を確認しながら一人一人一致させていく作業を無事終えた。

 

「うん。全員確認OK! それじゃあ今から最終オーディションを始めようか。一つ言っておこう、最終オーディションはボクが相手だ!」

 

 さてさて、御手並み拝見といきましょう!




普段はここまでスピーディーに投稿できませんが、なるはやで頑張っていこうと思います。
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