少女は記憶を胸に   作:クロケル

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銀行強盗

急いで走り、ヒフミを先生に預け、立ち去ろうとするが、そうはいかない。

アビドス高校のみんなもどういうわけかわからずに困惑しているようだ。まあ妥当な反応だ。

突然何者かよくわかっていないやつに、知らない人を押し付けられたのだから。

しかし……

 

“グリム、どういうわけか教えてね?”

先生に腕を掴まれてしまった。ヒフミも一緒に。

後ろから追いかけてきていたスケバン達もようやく追いついたようだ。

 

「逃がさねぇぞ!」

牽制射撃をされてしまうが、華麗……ではないかもしれないが避ける。

懐から愛銃を取り出し、奥の方にいた狙撃手を次々に倒す。

 

対策委員会みんなも、私を攻撃せずにひとまずはスケバン達の対処をしてくれているようだ。

ホシノがスケバン達の攻撃を主に受けながら、反撃を繰り返し、

時よりノノミによって範囲殲滅、シロコもセリカも、援護をしながら、残っているスケバンの制圧

アヤネの援護を受けながら、ヒフミもペロロを使って囮をしている。

 

先生の指揮もあり、スケバン達は撤退していった。

そしたらどうなるのか?そう、私とヒフミの尋問である。

 

戦闘のあった場所から離れ、路地裏に連れて行かれる。

元より説明を要求されるのは想定していたが、ここまで詰められるとは……

「それで?どうして追いかけられてたの?」

 

シロコによって、尋問が始まった。

まあ、理由を聞くための質問だ、元より追いかけられていた

ヒフミは、少々口籠りながら、ではあるが追いかけられていた理由を話し始めた。

 

要約すると、いつものようにペロログッズを買いにきていたら、

トリニティの制服だったため、目を付けられ、追跡され始めたとのことだった。

 

追いかけられていた理由を説明したヒフミを見る、

対策委員会のみんなは優しいものになっていたが、

かわりに私へ向ける視線がどんどん増えていった。

 

「……なるほど〜!ヒフミさんの言い分は分かりました〜!」

"それなら、グリムはどうして追いかけられたの?"

「えっと……それはですね……」

話しづらそうにしているヒフミを、遮るように話し始める。

 

「物資の補充のために来た、帰りにヒフミが追いかけられてたから助けた」

端的に言えばこれだけなのだ。

そう伝えたものの、警戒する視線は収まりそうにない。

 

「えっと……グリムさんは、本当にそれだけ……なはずです!」

ヒフミが弁護してくれているが、とはいえだ。

ヘルメット団の拠点をなぜか襲撃していた、

来るはずのない厄災の対策をしている、変な奴。

 

そんなやつが、ブラックマーケットにいたら、もちろん怪しい。

当たり前だ、何を考えているのか分からないのだから警戒される。

一応、ホシノは私の行動指針を知っているが、

それならなおさら、私が押し付ける意味が分からないだろう。

 

対策委員会のみんなにわざわざスケバン達とヒフミを押し付けて

逃走をしようとするのは、シャーレを信用する生徒を増やすのと、

あまり関係がないように思えるからだ。

 

「やっぱり怪しいわよ!さっさと縛ってヴァルキューレに突き出しましょう!」

考えているホシノたちを尻目に、セリカが糾弾し始める。

 

しかし、何か考えがまとまったのか、先生が口を開き始める。

"スケバン達を連れてきた罰として……"

"ブラックマーケットの案内を二人に頼むね"

 

「えっ!?ちょっと先生!?こんな怪しいのを放っておけって言うの!?」

反対するセリカを落ち着けるように先生が話し始める。

 

"私たちはブラックマーケットのこと、よく知らないでしょ?"

"よく知ってる二人なら上手に案内してくれるはずだよ"

「私が聞きたいのは……!」

それでもなお、落ち着かないセリカに先生が続ける。

 

"何の情報もないより、知ってる人たちに解説してもらった方がわかりやすいよ"

"それに一緒に戦ってくれたんだから、大丈夫だと思うな"

先生の言うことに一理あると思ったのか、セリカは項垂れる。

 

"それじゃあ案内してくれる?ブラックマーケットを"

「はい!任せてください!」

ヒフミの声と同様に、私もうなずく。

警戒はされているだろうが、不審な行動をしなければ即座に撃たれることはないだろう。

 

それから、私とヒフミはブラックマーケットを案内したのだが……

「うへ~見つからないね~」

しばらく歩いたが、結局ホシノ達が探し求めているものは見つからなかった。

 

さすがに、ある程度地理を把握しているとしても、自治区何個分の広さもあるブラックマーケットでは、

お目当てのものを、探し当てるのは相当に難しい。

ある程度、未来のことは知っているとはいえ、ここからどうして、銀行強盗をしたりするのだろうか。

 

「たい焼きのお店がありますね~!食べませんか~?」

しばらく歩いて、疲れ始めたのか、ノノミが私たちに提案してくれる。

 

「ん、私も疲れた、そろそろ休みたい」

「お言葉に甘えさせてもらっていいでしょうか?」

"そうだね、そろそろ休もうか"

シロコに、ヒフミ、先生も続くように、休むことに同意している。

 

「…私は結構だ、休憩しておいてくれ、周囲を探してくる」

休まなくてもよいと思ったため、休んでもらっている間に先生たちが探している物の出所を探しに行く。

私が道案内を先導したから、違う道に来てしまって、銀行強盗をして、

カイザーPMCがアビドスの土地を持っていることを知ってもらわなければ、

ホシノが黒服の契約に乗らなくなってしまう。それは困る。

 

私が教えてもよいのだが、さすがに対面して、ホシノ達から逃げきれる自信がない。

アビドスの土地はあまり知らない、さすがに地の利がないのに逃げ切るのは無理だろう。

できるだけ自然な経緯で知ってもらうためには、銀行強盗は必須だ。

 

どうやってすることになったのかを知らないが、おそらく調査を進めたら

銀行強盗をするきっかけを見つけるのだろう。そう思って、離脱しようとするのだが。

"グリムも、休もうか"

 

先生に止められてしまった。私のせいで、上手くいかなかったら困る。

もう一度、失敗したくないのだ。

「しかし、先生、今は休息を必要としていないので、探すのに協力します」

 

対策委員会のみんなも、ヒフミもどういったものかとこちらを見つめている。

「休まないと、見つけられるものも見落とすかもしれません~!」

「ん、一緒に休んでもらわないと休みにくい……」

"みんなも受け入れてくれてるんだから、一緒に休もう"

ノノミも、シロコも、一緒に休憩しないか誘ってくれている。

 

"…これでも探しに行くっていうなら、力づくでも休ませるよ"

力で振り払うことはできるが……ここまでされて不和を生んでしまってはダメだろう。

 

「…そこまで言うのなら休ませてもらう」

"よかった!急いでたい焼きを買いに行こう!"

そんなことを言いながら、先生がたい焼きを買いにいき、手渡してくれる。

 

"はい、どうぞ"

みんな口々においしいと言いながらたい焼きを食べ始める。

 

全員が食べ終わると、現状の整理をし始める。

「先生、ここまで情報がないのは変」

「グリムさんの言う通りですね、わざわざ隠しているのが非常に奇妙です」

私の言葉にヒフミが賛同してくれる。

 

「そんなに奇妙なんですか~?」

「例えば、あそこにある銀行、ブラックマーケットでも有数の大きい銀行」

「でも、キヴォトスの犯罪品の15%はあそこに集まっているのが当たり前のように知られてる」

私の説明に驚いたようで、驚嘆の声を上げている。

 

「あの銀行のように調べればわかりますが…隠していないものなのです」

「それが、隠されてるから奇妙」

ヒフミの説明に補足をする。

 

そんな話をしていると、目の前にトラックが通り抜ける。

そういえばトラックが止まっている様子を見たことがなかったと思い、注視する。

 

トラップから降りてきて、引き渡しをしている。

案外闇銀行なのに、こういったところは普通なのかと思っていると、

対策委員会のみんなが、驚いている様子が伺える。

 

「なっ、なんであいつがここに!?」

驚きのあまり放心していた対策委員会のみんなの中で、

最初に口を開いたのはセリカだった。

 

「どうしたんですか?」

「今朝私達の借金の受け取りに来てた銀行員なんだよ〜」

借金?と混乱している様子のヒフミを置いておいて話を進める。

 

"……つまり闇銀行に資金を流してた?"

「そうだと思う……」

 

……なるほど、こういう経緯だったのか、

そんなことを考えながら、話を進める。

 

「先ほどの書類があれば何とかなるな」

「確かにそうですが…さすがにすでに銀行内部にある以上、確認は困難です……」

私とヒフミの発言を聞いて何かを思いついたようにシロコは口を開く。

 

すでにその手には覆面が握られていた。

「一つだけしか方法はない」

対策委員会のみんなが本気で?といった視線をシロコに向け、

ただ一人、何が起きるかわかっていないヒフミだけが困惑している。

 

「銀行を襲う」

シロコから受け取っていた、覆面を仕方がないか、という表情で、

かと思えばノリノリで、それぞれの反応をしながらつける。

 

結果だけを聞くとどうかと思ったが経緯を考えると、少しは理解できた。

要するにアビドスのお金の流れを、闇銀行へ銀行強盗を行うことで調べよう。

といったことらしい。

 

すでに仮面をつけている私はともかく、覆面を付け始めたアビドスの面々に囲まれた

ヒフミは困惑が隠せない様子のまま話を続けられる。

 

「ごめんヒフミ、あなたの分は用意してない」

「もし何かあったらトリニティのせいにするしかないかもね~」

シロコとホシノにあおられてあうあう言い始めたヒフミを見てどうしたものかと考える。

 

さすがにブラックマーケットに喧嘩を売る気はないのだが……

どうしたものか。そんなことを考えながらヒフミを見る。

ちょうどノノミが先ほど先生が買ってきてくれたたい焼きの袋を覆面のように改造してかぶせていた。

 

「えっ…私も一緒に行くんですか?」

「ここで帰られちゃったら、おじさんたちのことをばらしちゃうよね~?それは困るな~おじさん」

「ここまで知ったら生かしてはおけない……」

ヒフミはホシノとシロコの圧に屈して、手伝うことにしてしまったようだ。

 

「ところで私も参加させられるのか?」

忘れてた、と言わんばかりにこちらに視線が向けられる。

 

『グリムさんは仮面をつけているから問題ないですよね…?』

「普段からつけているから、素顔と変わりないのだが……」

どうしよう、といったばかりに沈黙が訪れる。

 

「…直接の援護はできないが、外部でマーケットガードの鎮圧をしておこう」

「う~ん、仕方ないですね!そうしましょうか!」

そうするか、といったばかりに先生へと視線が動かされる。

 

"よし、銀行強盗をしよう!"

先生の合図によって、覆面水着団を名乗る集団が銀行へと向かい始める。

 

さて、私もマーケットガードの鎮圧をしようか。

仮面を付け替えて、軽く変装をし、マーケットガードを探す。

他の仮面をもっていないのかと言及されなくて助かった。

 

アビドスとヒフミの縁をつないでおかないとエデン条約のときに困ってしまう。

しかし、私が銀行強盗を手伝ってしまうと、未来にように、エデン条約で

アビドスのみんなが助けてくれなくなってしまうかもしれない。

そう思い、離れようと思っていたがうまくいって助かった。

 

銀行から少し離れた場所で動いたマーケットガードの集団に発砲をする。

私を敵対者とみなしたのか、マーケットガードの集団が襲ってくる。

 

アビドスのみんながどのくらいかかるかわからないが、マーケットガードを引き付けておく。

銃弾を撃ってくるドローンを撃ち落としながら、裏路地を移動し続ける。

さすがにきちんと計測したわけではなく、想定よりは多かったが、

すくなくとも闇銀行から安全な場所へと向かうまでの時間稼ぎはできるはずだ。

 

マーケットガードへの直接の攻撃のほうが、対処優先度は高い。

なぜなら、メンツをつぶされたと感じるからだ。

喧嘩を売られて、負けた、となればマーケットガードの名折れだろう。

 

少し闇銀行のほうを見ると、どうやら落ち着いたようだ。

マーケットガードをある程度鎮圧して、撤退をする。

もともと、手伝いをするつもりはなかったのだからこんなものだろう。

そんなことを考えながら、ブラックマーケットから出る。

 

ここは……ゲヘナか、アビドスに戻るためにはあそこに向かうか。

そんなことを考えながら、帰り道へ向かい始めた。

 

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