学院から逃げて三日ほど経つ。
すでに充分な移動はしたはずだから、と拠点探しをしていたら見つけた廃墟。
しばらく様子見をしていたが人の出入りがないことは確認できたので荷物を置いた。
ところどころひび割れた壁や天井から光が入る。
風の吹く音や、車が動く音がかすかに聞こえる。
「とりあえず拠点は用意できた、少し準備したらミレニアムのほうへ向かおう」
手元の銃を整備しながら適当に買ってきた食品を食べる。
最低限の整備ができたため、銃を手元に置いて眠る。
明日以降は廃墟の探索を三日ほどして
それ以降は余裕がなくなってきたら撤退して、
準備をして帰るのを繰り返すようにしよう。
先生がくるまであと三か月ほどだ
すこしでも時間を無駄にしないようにしないと。
そんなことを考えながら目を閉じる。
しばらくぶりの休養だ、しっかり休んでおかないと。
考えを巡らせながら瞼が閉じていく。
エリも、ミヨも、先生も、みんなが、私を見てる。
見てるだけで何も言われない、
ただ見つめられている、いっそのこと私のことを責めてくれた方が楽だ。
視界が暗転する、
ホシノも、シロコも、ほかのみんなも全身血まみれになってヘイローも消えている。
───みんな死んだ。
私が失敗したんだ、先生ならきっとこんな状況にならなかった。
目の前には銃口が向けた敵が私に申し訳なさそうな目をしている。
やめろ、そんな目で見るな、お前は敵だ、私達のキヴォトスを壊したくせにそんな目をするな。
まるで悲劇のヒロインみたいな顔をするな、お前は悪いやつだろう?
お前が悪くないならだれが悪いんだよ。
私が失敗したのはそもそもお前たちのせいじゃないか。
「…ごめんなさい」
そういって、敵は銃の引き金に手をかけ、私に発砲する。
…目が覚める。
あの時のことを思い出してしまった。発砲された後の記憶がないが、きっと死んだだけだ。
最悪な夢だ、これからもこんな夢を見ることになるのだろうか。
もともと眠るつもりはあまりなかったが
より一層眠りたくなくなった。
最悪の目覚めだ、廃墟に向かう準備をしてこんなことなど忘れてしまいたい。
私の罪だが、それに目をそらして、やるべきことをやる。
だから、気分を切り替えて、出発の準備をしよう。
列車に揺られてミレニアムへ移動する。
列車の中はあまり人がおらず。明かりが窓から入る。
もともと列車についている明かりはついておらず。
朝日だけが車内を照らしている。
思えば、あの時先生と連邦生徒会長が乗っていた電車はなんだったんだろうか。
あの時はすこしパニックになって冷静に考えられてなかったけど、
何をしていたんだろうか。
たしかにシャーレに所属してるときはどこに失踪したんだろうか、
と少し思っている程度けれど、冷静に考えたらおかしい。
どこに消えたのだろうか、そしてなぜ電車に乗っていたのだろうか。
私と先生と連邦生徒会長が乗っている、というのはかなり変だ。
先生と連邦生徒会長だけならまだわかる。
連邦生徒会長が先生を呼んだのだし、きっと関係があるのだろう。
対して私はどうだ?ただ私はシャーレの生徒であった、というだけなのに。
『次はミレニアムサイエンススクール前です。』
『降りる方は荷物を持って降りる準備をしてください』
そろそろ着くらしい、準備をして降車する。
わずかに降りた乗客のように改札を通り、そそくさと移動する。
しばらく移動すると廃墟のほうにたどり着いた。
人がほとんど通ることがなく、車の通らない道路が廃墟をつないでいる。
…もっともロボットが進路を阻んでいるが。
銃弾を込めて打つ準備をしておく。
銃弾も有料なことを考えると無駄撃ちをするのは避けよう。
まあ、こっちの妨害をしてこなければ破壊しなくていいだろう。
「最初はここからにしておこう」
しばらく進み、運よくロボットがいなさそうなところから入って
廃墟探索を始める。目標は厄災の阻止のための情報集め、
次点で、デカグラマトンの破壊、優先度は低いがオーパーツの回収。
考えをしながら建物の探索をする。
この建物はハズレだったようだ、次の建物に移動する。
廃墟は壁がところどころ壊れてたりするが、
人の移動は考慮していないうえ、扉などがあるわけでもない。
だから移動するとしたら壊れかけている壁の破壊をしたりして移動する道を確保しないといけない。
「これで大丈夫かな…?」
手榴弾のピンを抜いて、壁へと軽く投げる。
軽い爆発が起きて壁が破壊される。次はこの建物にしようか。
そう思いながら次の建物に移動する。
…運が悪かったようだ、こちらにドローンの銃口が向けられている。
銃を即座に撃つ。
ひとまず一機撃墜、のこり三機。
私の使っている銃はスナイパーライフルだから一発でも当てたら
ここの廃墟で出てくるドローン程度なら簡単に倒せる。
銃を三発撃つ、少しすると、空に浮いていた銃口は地面に落ち、沈黙した。
「これで終わりかな、探索しよう」
現状、私が知っていることは多くない、少しでも情報集めと
デカグラマトン探ししないと。
───しばらく壁を破壊したり、
そのまま通り抜けたりして探索を繰り返していると、変わった建物を見つける。
しばらく調査をしていたが、あまり見かけなかった形式だ。
特に変なのは建物の爆破耐性がしっかりとあることだ。
何度か爆破しようとしたがうまくいかず、何度か手榴弾を使ったがそれでも破壊できなかった。
入口らしきところを見かけたが無機質な声で入室拒否をされただけだ。
これ以上、時間をかけても何の成果も得られなさそうだと判断してもう一度移動する。
そこからさらに時間が経って、新しい建物を見つけた。
たまにある爆発耐性のある建物だ。今回のもので三つ目だろうか。
一つ目の建物は入室拒否され、二つ目の建物は居住ができたのであろう施設だったが
家具のほとんどは壊れて、とてもじゃないが暮らせる状態ではなくなっていた。
3つ目の建物はどんな建物なのだろうか、そもそも入室拒否をされる可能性もある。
扉を開けるようと近づき観察すると扉が壊れそうな気配がある。
そのまま開けようとすると案の定、開かなかったが手榴弾を少し置いて、そこにピンを抜いて投げる。
それなりの爆発が起こる。
ボロボロになった扉をみると効果はあったようだ。
中を見てみると、研究施設だったようだ。
中を見ると開発施設だったのだろうか、わずかに残っているパソコンは机に残ったままだ。
周囲の階段を探してみると上に向かうはずの階段は崩落していてとてもじゃないが上れそうにない。
「思ってるよりひどいな……」
二つ目の建物の時点でだいぶ昔の建物だったことはわかるがパソコンが少しだけ置いてあると
文明があったんだろうことと退廃したんだろうことがよくわかる。
パソコンに何かしらのデータが残っていないだろうか。
そう思い近くのパソコンの置いてある机に移動し、腰をかける。
パソコンから漏れ出る光が私を照らす。
よかった、まだ充電が残っているみたいだ。
「やっぱりパスワードが必要か…」
一つ一つ残っているパソコンの確認をしたがどのパソコンも残念ながら
ロックが掛かっていて見ることができない。
私にハッキング技術があれば見れたのだろうが生憎そんなものはない。
最後の一つのパソコンを確認しようとすると、違和感がある。
懐中電灯を向けると地下への階段がつながっている。
パソコンの確認を念のためにしておいて階段を下りる。
地下には何があるのだろうか。もしかしたらデガグラマトンが隠れているかもしれない。
先生は自販機のAIだったとか言ってたから、道すがらある自販機はすべて破壊してきたけど。
こういうちゃんとした建物に隠れてる可能性のほうが高いだろう。
一番うれしいのは厄災の情報であることには変わりがないがデカグラマトンも脅威だ。
かなり妨害をしてきた上、預言者となって修復機能を付けられると対処が困難になる。
そんなことを考えながら、階段を下りる。
階段を下りる足音と廃墟の隙間風の音を聞きながら、階段を下りる。
この先には、何があるのだろうか。