Millennium Research Institute   作:信楽焼のたぬき

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いろんな人の素敵な作品を読んで、

湧き出てきた妄想を書きなぐりました。


Attempt 01

話をしよう。

 

俺は、どうやら転生したらしい。最近話題の転生者とかいうやつだ。

 

転生モノの小説だと前世の記憶を持ったまま転生というのが定石だが、俺の場合はなぜか記憶が飛び飛びだった。前世の最期に至ってはロクに覚えちゃいないが、ということはロクでもない死に方をしたんだろう。一種の防衛本能に違いない。

 

おい。そこのお前。今バカバカしいと思っただろう。奇遇だな、俺もだ。

 

真っ白な視界が元に戻って最初に目に入ったのは、見慣れない景色と普段と違う目線。この時「転生」の二文字が頭に浮かんだときは自分のことながら気でも触れたんじゃないかと思ったさ。

 

 

 

ま、すぐに情報の濁流で脳ミソがパンクしそうになったがね。

 

尋常じゃない量の情報が頭に流れ込み、頭の処理が追い付かず悲鳴をあげる。この時発狂しなかった自分を褒めてやりたいね。

 

そうこうしているうちに俺の脳は仕事を終えたらしく、恐らく啓蒙が高まったことに内心恐怖しつつ情報の理解を始めた。

 

 

 

 

「...ぶっとんでやがる」

 

そんで第一声がこれさ。一体何を理解したのか気になるだろう?

 

話は変わるが、君はアーマードコアシリーズを知っているかね。一人の傭兵が巨大な人型兵器を操り、戦いに身を投じていく...

 

早い話がロボゲーさ。

 

フ〇ム製である故に理不尽イライラ要素は多いがな。*1

 

だが総じて言えることは、あのゲームには言い表せないほどの魅力とロマンが詰まっているということ。それらの前では、憤りの感情など些事にすぎん。

 

あれは傑作だ。俺のパッチワークみたいな記憶にも、生前にナンバリング最新作の6で盛大に脳を焼かれた記憶が残っている。

 

なぜこの話をしたかって? みなまで言わせるな。少しは自分で考えてみたらどうだ。

 

...いや、まだ情報が少なかったな。すまんすまん。

 

 

 

目覚めた俺の目には、極めて近未来的な都市の光景が映っている。が、

 

「空...天井のほうが正しいか?どっちにしろ宇宙に繋がっている訳ではなさそうだな。それに、あれは...バスキュラープラントとか言ったか。この二つと俺の脳内情報から推測するに、ここはルビコン技研都市...以外は考えられないな。」

 

ぶつくさ言いながら、俺は情報を整理する。

 

技研都市とかいうディストピアにいることに肌が粟立つ感覚が走るが、もう一つの重大な情報からして、例のパンジャンドラム擬きとかアイビスシリーズはいなさそうだし、あっても物言わぬ鉄の塊だろうと結論づけ、人生死亡時間RTAの世界記録が樹立しないことに安堵する。

 

ただ、そのもう一つが新たな頭痛の種だった。

 

 

 

「俺の頭が狂ってなければ、ここはキヴォトス、それもミレニアムの地下ということになる。ただ、惑星ルビコン3じゃないのにコーラルが湧いてるってのは明らかにおかしい。」

 

どうやら、俺の転生した世界は、ブルーアーカイブの正史から2つも3つもねじれた世界である。というのが、俺の頭が下した結論だ。

 

そう、そのブルーアーカイブというのが問題だ。俺はさっき技研都市をディストピアと言ったが、キヴォトスも治安という視点で見ればどんぐりのなんとやらだ。

 

やたらと顔の良いおなごが街を歩いている、その肩に銃火器を背負って。体が頑丈なのをいいことに、その辺の喧嘩でも鉛玉の応酬が始まる様子はなかなかにディストピア。

 

そしてこのキヴォトスは正史からねじれた世界。惑星ルビコン3にしか存在しない便利だけどド級汚染物質の金字塔ことコーラルの湧出現象、さらに言ってしまえば目の前の技研都市の存在そのものがイレギュラーであると言える。

 

ちなみに俺はブルアカを遊んだことは一度もないので、いわゆる原作知識とやらは何も持っていない。

 

 

どうだ。最高にぶっ飛んでいただろう? あぁ、安心しろ。俺はRaDのイカれた野郎のような性癖は持ち合わせちゃいない。

 

 

 

ここまでで、ここがどこなのかというのはだいたい分かった。となると、次に問題なのは、

 

「...衣・食・住の確保か?」

 

そう、ライフラインの確保だ。

 

この世界に生まれ落ちて、頭に強引に情報を詰め込まれた俺だが、ここは汚染物質以外に何もない廃墟の都市。このまま3日も経てば、干からびて死ぬのは自明のことだ。

 

とはいえ、大方の目途は立っている。

 

動力系のエネルギーはコーラルを使えば何とかなるだろうし、ついでにその方法やら知識やらもさっき脳に注ぎ込まれていた。

 

食料に関しては、かなり不本意ではあるが近くのミールワームを養殖してどうにかしよう。

 

服は...まぁ腐っても都市だったんだから、クローゼットに忘れ物の一つ二つくらいあるだろう。

 

ここまで考えたうえで、俺の口から出た言葉は

 

 

 

 

「気が乗らねぇな」

 

生まれたてほやほやの俺は、生きる目標だとか生きたい気持ちだとかがどうしようもなく希薄だった。

 

自殺願望があったわけでは断じてないが、それが生きたいと願うことには必ずしもなるわけではないという話さ。

 

このままこの場所を彷徨って、好きなゲームをリアルに感じて死ぬのもいいな、とか思っていた矢先、

 

 

 

 

 

俺の脳に第二の情報爆弾が投下された。

 

さっきより頭痛の引きが早かったことから、また一つ啓蒙が高まったんじゃないかと冷や汗をかきつつ、俺は情報を整理した。

 

「AC6の、すべての武器の情報、か」

 

俺の脳には、AC6でプレイヤーが扱うことができるすべての武器の情報が、設計や材料に至るまで鮮明に刻み込まれていた。

 

俺は困惑した。これが追加の情報である意図が全くもってわからなかったからだ。

 

なぜ、俺はこの知識を得る必要があったのか。どうして、この知識を教えられたのか。

 

思考に耽り、頭から湯気が出るほど考え込んで―――

 

 

―――その時ふと、俺に電流走る。

 

 

 

「...この世界は銃器の保持が合法かつ極めて一般的であり、目の前の技研都市は元が研究所だから開発にはもってこい。加えて知識は既に揃っていて、おまけに材料は周りのスクラップから取り放題、か...」

 

 

 

「おあつらえ向きじゃねぇの」

 

 

 

光のない俺の目に炎が宿る。宿命とロマンに燃える炎だ。

 

男とは、カッコよさやロマンの前には総じてバカになる生き物だ。そしてそれは俺も例外じゃない。

 

あの男心くすぐる数多の武器を作れる環境に、それを使ってもケチ一つ付けられない世界。

 

なるほど。

 

 

作ってワクワク、遊んでワクワクってワケだ!

*1
当作品には、特定の企業を貶すような意図は断じてございません




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