Millennium Research Institute 作:信楽焼のたぬき
話をしよう。
寝床、研究、どちらも100点満点な物件に無事巡り合った、まで話したか。そしていよいよ、俺の長い長い缶詰研究生活が幕を開けようとしていた。
実は今までパンイチでうろついていた俺だが、さすがに風邪を引いて死んでしまってはかなわないから、その辺に適当にあった服を拝借した。その結果、ダボい半袖シャツにダボいスウェット、おまけにダボい白衣とかいう胡散臭さの権化のような格好になった。
顔が良くなかったら、きっと許されなかっただろう。
準備が整った。ついに今から、兵器開発を始めることができる。慣らしを兼ねて、手始めに実弾兵装から手をつけることにした。まずは軽めなハンドガン、登録番号HG-003 COQUILETT。ここから、俺の第二の人生がはじまるのだ!
それから幾ばくかの月日が経ち、ある程度の武器類は完成させることができた。ちなみに、俺はこの実弾兵装群を“ベイラム・シリーズ”と呼ぶことにした。
もちろん、“とっつき”も...作ってみたかったところだが、俺の腕じゃ筋力的な問題でまともに扱えないので、作成は見送りになった。
もっとも、他の物も今は作るだけ作って、完成品は倉庫の肥やしになっているがね。
閑話休題
最近、実弾武器ばかり作っていて軽い飽きが来ていた俺は、味変にEN兵装を作ろうと思っていたのだが、これがありえないほど難航していた。
使っている素材が発熱に耐えきれず、オーバーヒートすると銃身が溶けるという、兵器として根本的な欠陥が改善できていないのだ。
まさか鉄に対して“ヤワな素材”という評価をする日が来るとは思わなかった。
ちなみに、動かない技研製MTから素材を拝借することも考えたが、それはやめておくことにした。あれらは後々修理してガードメカとして働いてもらうつもりだ。
そんなある日、開発が順調に進まずイライラしていた俺は憂さ晴らしのために次の装備を作り始め―――
―――気が付くと、開発テーブルの上にSONGBIRDSが鎮座していた。
ちょっと待て。肩部兵装だと?
これは困った。興が乗って作ってしまったものの、来る将来、一体どうやってこれを運用しろというのか。
俺は考えを巡らした。
そのまま使おうとした場合、どういう方法をとるべきなのか。まず、背中に直接くっつけるのは却下だ。肉体改造はまだ早い。し、これから他の武装も作るかもしれない以上、着脱式にできないこのやり方はボツである。
次に、取り外し式のモジュールを背負うというやり方。これも現実的じゃない。SONGBIRDSは人間サイズでもかなりの質量をもつ。それを背負って動けというのは、一体何ていう修行だろうか。却下だ。
そのまま手にもって使うのもナシだ。これに後付けでグリップとトリガーをつけるのは至難の業だし、俺の筋力や反動制御で不安が残る。何よりダサい。却下。
ちなみにACを作るという選択肢はない。設備的にも、資源的にも、知識的にも非現実的だからだ。
...だめだ。いい考えが何一つ浮かばない。これはこのまま、漬物の重石になるしかないのだろうか。
いや、そんなことは断固として認めん。何か、何かいい解決策が、きっと...
「いて」
かれこれ10分くらい唸っていた俺の頭に、固いものが当たる感覚が走る。デコをさすりながら件のものを探すと、それは案外簡単に見つかった。
「これは、ペンダントか」
床に落ちていたのは、一つのペンダントだった。
「だが、この感じ...なぜかコーラルの力を感じる」
まるでコーラルが巡っているかのように、赤い光が脈打っている。それは美しい宝石のようにも、何か機械の動力源のようにも…
俺は気まぐれで、このペンダントに触れてみた。
刹那、光が迸る。
「ぐ…」
予想より強かった光に顔を顰める。
そして光が収まった時、目の前にあったのは
「…○イ○ンマンスーツ?
―――そうか、それがあったか」
パワードスーツ、という言い方がいいのだろう。
それが突然現れたのだ。
やはりというか、例のペンダントが核になっているようだ。
足りなかったパーツが、カチリと嵌る感覚が走る。
これはいい収穫だ。自分の筋力的な問題も、不便な肩部兵装の件も解決できる可能性を秘めている。
早速、どうなっているのか調べなければ。
結論から言おうか。問題は解決する。
コスプレなどではなく、これはやはりパワードスーツだった。しかも、とんでもない便利機能が備わっている。
まず、装着することで、俺の筋力は何倍にも増幅される。具体的な数値もわからないほどに。
これで心置きなくとっつきを作れる。
また、背部装甲を少し改造することで肩部兵装も問題なく使えることが分かった。
これでEARSHOTやスタンニードルランチャーも作れるようになった。
極めつけは、武装の収納機能がついていたことだ。
このスーツにはナノテクが用いられていて、普段は先ほどのようにペンダントのように収納することができる。
これを応用することで、武器も自由に仕舞ったり取り出したり出来るようになる。しかも上限はないと来た。
これで正真正銘、作りたい放題、使いたい放題だ!
ところで、さっき試着してから耳鳴りが止まらないんだが、一体どういうことだ?
…ようやくです。
ようやく、
レイヴン。
パワードスーツはデモンエクスマキナを想像してください
変異波形ヤンデレルートはありません
…ないよね?