この世界は飽和社会だ。例えば、買ったけど思ったより美味しくなかったドリンク?
会場限定商品の代理購入を友達にお願いしたけど、家座実を見ると思ったより出来が良くなかったとか?
・・・・買ったけど、タイミングがなくて遊んでないゲームとか。
ゲーム体験の選び方は、生活者の自由だ。
もし500万人以上も居たら、そういう取りこぼしがあったかもしれないよね。
「あ〜、燃えるゴミ今日だったか・・・・忘れてたわ」
髭面の男が、強い匂いを放つ袋に目をやる。常時エアコンが稼働しているため窓は年中閉めっぱなしの部屋。床には綿埃や髪の毛が散らばっている。
髭面の男は、スマホアプリで次の燃えるゴミの日を確認する──。
「チッ、土曜日まで耐えるのダル・・・・。人生忘れモンだらけだよ」
男はスマホをテーブルの上に置いて、よっこらしょとマウスを動かす。
「出かけるのもダルいし、ゲームでもすっか」
男は、かなりのゲーム好きなようだ。
パソコンのゲームアプリケーション管理プラットフォーム上には、夥しいほどのゲームタイトルが並んでおり購入数はかなりのもの。
最新ゲーム情報を常にチェックして、割引情報やリリース日を細かくチェックしているようだ。
ただ一個、その姿勢に問題があるとすれば──。
「・・・・うは、塩漬けゲームがわんさか。オレの忘れモンがたくさんあるw」
「これ、いつ買ったっけ?もう覚えてもねーな」
この人は、ウィッシュリストに入れておいて、値下げされたタイミングを待って買ったんだね。
でも値引きを待ってるうちに、好きな実況者さんがそのゲームのプレイ動画をアップして・・・・それをつい見てしまって、ストーリーの大筋を知ってしまうこともしばしば。
いわゆる『積みゲー』という類にあたるタイトルもまた、非常に多い模様だ。
あるよねえ〜わかる〜。
・・・・え?マナーがなってないって?
いやいや、別にいいんだよ。
きちんと対価を払っているなら、少なくとも配給元はね、売れ方には文句をつけられないんだよ。
─── 誰も、文句は言えないんだよ。
「あ、あれ?なんか・・・・いきなり“エンディング”になったぞ?」
男は焦ったように声を上げる。
「おいおい、プレイ時間0時間でそりゃないだろ・・・・これはなんのバグだ?」
男は、Webブラウザを立ち上げて類似事象を確認する。当然──該当なし。
検索エンジンのAIが、『開発に問い合わせを推奨』という回答を添えて。
「アプデしたら治るか?・・・・いや、やっぱ開発元にバグ報告か?」
男は、すこうし考える。
「・・・・いや、面倒だからいいか」
「特価99円で買ったネタバレ済みゲーム如きにそこまでせんでもいいだろ」
Escキーを長押し。
“ゲームをしゅうりょうします”と表示される。
───ここは、
Friskが未来永劫現れなかった、
500万分の1の世界。
初めましてこんにちは、ふうりんと申します。
安心してください。
ここに登場しているニンゲンはだれでもない、だけどどこかにいるだれかです。