Archive No.1! 〜透き通った青き世界で少女達は指輪を巡り争う〜 作:虎武士
今回は電撃戦隊チェンジマンの「レッツ、チェンジ」から取りました。
先生は現在──オペレーターとして学校に残ったアヤネ以外の四人に随行し、カタカタヘルメット団のアジトを目指している。
本来ならばアヤネと同様学校で待機するべきなのだが、本人曰く「女の子が銃で戦っているというのに、大の男が安全圏で待っているわけにいかない」と押し通し、四人は根負けして同行を許可した。
アヤネからの通信で連中のアジトがあるエリアに入ったとされ、一同は15kmの反応が検知したと伝えてくれる。
「よーし、さっさと終わらせよっか」
「ですね⭐︎」
「ん……可及的速やかにやるしかない」
「これまで散々やられてきたんだから、
セリカの言葉に他の三人も同意し、それぞれ銃を構えてアジトに特攻しようとする。
先生も後方で頷き、いざ行かんと仕掛けようとする。
《え…ま、待って下さい!》
「アヤネ?」
《カタカタヘルメット団のアジトから更なる生命反応を確認!10……20……30!?》
「ど、どういう事!?彼奴等の戦力は十数人の筈でしょ!?それがどうして──」
《わ、分かりません!モニターで見る限り、急に増えたとしか…!》
アヤネの通信越しに聞こえてくる困惑の声、彼女自身も何が起こっているか分からないでいるようだ。
「ん……確かにヘルメット団に紛れて嫌な匂いがする」
シロコも嗅覚で悍しい気配を感知し、眉間に皺を寄せる。
一体何が起きているか見当もつかないが、何者かが関与しているのは確定していると見ていいだろう。
するとカタカタヘルメット団が戦力を展開、それに加えて異形の軍勢が五人の周囲を包囲していく。
『ゲラッパ、ゲラッパ、ゲラッパ』
『ネジ!ビス!』
『ゴロゴロッ!』
「うへ〜!?」
「な、なんなんですか〜!?」
「何なのよこの気持ち悪い奴ら!?」
「人間じゃない…!」
その異形の軍勢にシロコ達は得体の知れない嫌悪感を覚え、銃を構える。先生の方は鞄からテガソードを取り出し、彼に問い掛ける。
「テガソード!あの連中は一体…!?」
《奴等はモリス……厄災──クラディスが率いる雑兵達だ…!まさか、クラディスの生き残りが関与しているのか…!?》
モリスの軍勢は先生やシロコ達は存じないが、指輪の力の元となったスーパー戦隊の敵組織の戦闘員達に模した姿を取っている。
恐竜戦隊ジュウレンジャーが戦ったバンドーラ一味のゴーレム兵。
電子戦隊デンジマンが戦ったベーダー一族のダストラー。
いずれも全て数多のスーパー戦隊と対峙した敵組織の戦闘員達、姿形は同じでも中身はモリス。
「要するにキヴォトスの外から来た連中って事でいいのよね!?」
「でも数が多いね〜、流石のオジサンでも骨が折れちゃうな〜」
「そうですねえ……でもどうしてヘルメット団の人達と恭順しているんでしょうか?」
「大方そのクラディスのメンバーがヘルメット団を唆したんだと思う、その見返りが此奴等じゃないかな」
《呑気に話している場合じゃないですよ!?ヘルメット団と共にモリス軍団、急接近してきます!》
「お前等!アビドスの連中を懲らしめて来い!」
リーダーの号令でヘルメット団とモリス軍団は進軍、迫り来る大行進に対してシロコは指輪を手にする。
「エンゲージ!」
《クラップ・ユア・ハンズ!》
リズムに合わせて
《ゴジュウウルフ!》
「彼奴等は私が引き受ける、皆はヘルメット団をお願い」
「シロコ先輩……」
「……分かりました〜⭐︎ セリカちゃん、ホシノ先輩、怪人と手を組んだ悪い人達にお仕置きしちゃいましょう」
「うへ、そだね〜。化け物と一緒に無力化させよっか」
「……ああもう、分かったわよ!」
ゴジュウウルフ(シロコ)を筆頭にアビドスの面々は突撃、先生は物陰に隠れて彼女達に指示を送る。
ホシノ、ノノミ、セリカの三人は建物の影に隠れて銃撃を防ぎ、隙を突いて乱射。
ヘルメット団やモリス軍団は直撃を受けても負けじと向かってくるが、怯んだ隙にゴジュウウルフ(シロコ)が金のテガソードを手にモリス軍団に仕掛ける。
金のテガソードを振るってモリス軍団を対応し、大盤振る舞いしている彼女の横を通ってホシノ達が銃を乱射してヘルメット団を制圧していき、徐々に攻勢となっていた。
確実に数を減らしていく中、リーダー自身も前に出てアビドスの面々に向けて銃を乱射する。
ヘルメット団やモリス軍団も負けておらず、モリス軍団は何処からか用意したトランポリンを設置していき、それに気付かず跳んでいたホシノは足を乗せてしまう。
「うへ?あらら〜〜!?」
トランポリンに足を踏み、盛大にジャンプしてしまったホシノは空に舞った。
「ホシノせんぱーい!?」
バランスを崩してトランポリンに翻弄される彼女にセリカは思わず声を上げる。
だがそんなセリカにも魔の手が迫る。気付かない内に数体のモリス……ネジレッタが彼女から銃を取り上げ、更に押し倒され靴とソックスを脱がす。
「ちょ、ちょっとあんた達!何をする気──きゃはははははははは!!」
足の裏をくすぐられ、セリカは意図せずに笑い声を上げる。
ネジレッタ達はセリカの足の裏をくすぐり、彼女は泣きながら笑い続ける。
「あはははははは!や、やめて!ははははははははは!!」
堪えられない笑い地獄を味わうセリカ、そしてノノミにもその魔の手が。
「きゃあ!?な、なんですか〜!?やめてくださ〜い!?」
ゴーレム兵とダストラーに捕まり、無理矢理祝い事でもないのに胴上げされるノノミ。困惑顔で胴上げされる姿は野生生物に囲まれた可愛らしい小動物を連想され、彼女は唯々胴上げされていく。
「ノノミ、セリカ、ホシノ先輩…! ……邪魔…!」
金のテガソードを振るって仲間達を助けに向かおうとするゴジュウウルフ(シロコ)だが、そうはさせまいとモリス軍団が彼女を阻む。
「邪魔するな…!」
数で迫ってくるモリス軍団を次々に斬り伏せるも、次から次へと押し寄せて来る為、全く戦力が削がれていく様子がない。
数で押し寄せて来るモリス軍団が加わる事でヘルメット団は優位に立ち、このままだと再びアビドスは貧困に陥ってしまう。
物影から悪戦苦闘の彼女達に先生は歯痒さを感じる中、テガソードが声を発する。
《先生!》
「どうしたんだい、テガソード…?」
《この
「ええ!?」
《指輪は
驚く先生を余所に鞄から顏を見せるテガソードは未だ胴上げされ続けるノノミを指差す、彼の言葉が真であるならば彼女に伝えるべきだ。
しかしまだノノミを含めた五人とはまだ知り合ったばかりで、連絡を取り合う程の間柄ではない。
先生はどう伝えるべきかと模索する間もノノミは胴上げされ続けるが、彼女は近くのアスファルトの路面に一筋の光を見つける。
(何でしょう、あれ?)
胴上げが続かれる中でノノミはジーッと目を凝らし、やがてその正体が判明する。
(シロコちゃんのと同じ指輪…? これはもしかしたらですね〜…!)
胴上げされる中でガトリング砲を構え、それを発泡する。
散弾の雨にモリス達やヘルメット団は飛び退き、ノノミは着地して指輪を拾い上げる。
「シロコちゃ〜〜ん! 受け取って下さ〜い!」
勢いよく振りかぶって大きく投擲、飛んでいった指輪に気付いたゴジュウウルフ(シロコ)は真っ先に手を伸ばして掴む。
「ん……サンクス、ノノミ」
受け取ったのはいいものの、どうすればいいのか模索しているとテガソードの声が届く。
《その指輪を腰のバックル──ツメガバックルに装填するのだ》
「分かった。エンゲージ」
言われるがままにツメガバックルに指輪を装填、軽く
「んなっ!?」
「ま、また変わった!?」
《チェンジマン!》
「わぁ……更に変身した」
更なる変身を遂げたその姿はまさに電撃戦隊チェンジマンの赤き戦士、チェンジドラゴンそのもの。
「………チェンジ、ドラゴン!! ……なんてね」
つい名乗りとポーズを披露するチェンジドラゴンINゴジュウウルフ(シロコ)、少しふざけた後、モリス達に向けて駆け出す。
「行くよ……ドラゴンアタック!」
チェンジドラゴンINゴジュウウルフ(シロコ)は全身にドラゴンを模したオーラを纏って体当たり、モリス達は蹴散らされる。
「更に続けて……ドラゴンサンダー!」
次に電撃を全身に纏い、帯電状態で空高く跳躍して突撃。モリス達は吹っ飛ばされ、次々に爆散する。
「まだまだ……チェンジソード……ガンモード!」
チェンジマンの固有武器……チェンジソード・ビームガンモードで他のモリス達を銃撃して退け、トランポリンと笑い地獄を味わっていたホシノとセリカは解放された。
「うへ〜〜……ありがとねシロコちゃ〜ん」
「た、助かった…」
「ん、後は任せて」
ツメガバックルから指輪を抜いてチェンジドラゴンの変身を解除するゴジュウウルフ(シロコ)、金のガントレットソードを振るって次々とモリス達を切り捨てる。
致命傷を負ったモリスは次々に爆散、残るはヘルメット団のみとなった。
「くっ……た、退却、退却だぁ!」
虫が群がる様にヘルメット団は散り散りになって走り去り、アビドスの面々はその後姿を見えなくなるまで見つめるのだった。
無事にヘルメット団のアジトを壊滅させ、学校へ無事に戻る事が出来たシロコ達。
アジトの他に補給所と弾薬庫を破壊し、これで連中も懲りただろう。
モリスと呼称される異形の存在の出現があったものの、やっと重要な問題に専念出来るとシロコは呟く。
「うん、先生とテガソードのお陰だね。これで心置きなく全力で
「……借金返済?」
「!!」
さりげなく発せられた言葉に先生は訝しみ、セリカはつい口を滑らせてしまい慌てて手で口を押さえる。
ホシノは別に隠す程の事じゃないと捉えているも、セリカにとっては割り切れる事ではない。
幾ら自分達をサポートしてくれたとはいえ、先生は部外者の大人……此方の事情をまだ存じていない。
故にセリカは反発するが、シロコ達は
これまで出会った大人達は此方の事情に耳を傾けようとせず、他人事だと割り切っていた。
なのに今日現れた大人(ついでに神様を名乗る人形のおまけ付き)をあっさり信頼する先輩達を甘いと吐き捨て、教室を飛び出すセリカ。ノノミが彼女の後を追って続く様に飛び出し、教室内には気不味い静寂な空気が流れる。
「……私は余計な事を言ってしまったんだろうか」
「いやいや……先生は全然悪くないよ〜」
過度な干渉で踏み込み過ぎたと謝罪する彼をホシノが諭し、状況を飲み込めない先生に彼女は説明する。
本校が9億の借金を抱えている事、廃校の危機に追い込まれている事……洗いざらい話した。
経緯が経緯な為にセリカが彼処まで神経質になるのも無理もない話で、これまでの大人はまともに耳を傾けてくれなかったが、それを真剣に聞いてくれたのは先生が初めて。
ヘルメット団撃退に協力してくれた先生には感謝している為、このまま借金返済に専念出来る。
委員会の顧問になってくれたとしても、借金の事は気にするなと述べるホシノ達。
「いや……私は決して
「…! そ、それって…!」
アヤネは言葉の意味を理解すると「よろしくお願いします!」と頭を下げる。
ホシノもシロコも希望を胸に抱き、明るい未来が見えてきた気がした……ノノミも残っていればきっと同じ反応をしてくれただろう。
但し
《…………》
一方、完全に蚊帳の外扱いされているテガソードだが、彼はセリカが走り去った廊下を見つめるのだった。
そしてその日の夕方、全員はその場で解散するのだった。
※
翌日の朝。
「あ」
「うっ……な、何よ」
学校へ向かう通勤路に通る住宅街にて、先生はばったりとセリカに遭遇。
気不味い彼女に対して彼は「おはようセリカ」と爽やかに挨拶する。
「な、何が"おはよう"よ! 馴れ馴れしくしないでくれる? 私、まだ先生のこと認めてないから」
助けてくれた事には感謝しているも、先生はあくまでも大人。
先生と生徒の関係であると言うのに彼は「セリカ
当然本人から「ちゃん付けで呼ぶな!」と頬を赤くして怒声を上げられる。
朝から外に出ている上、ウロウロしているとダメな大人だと思われると忠告される。
勿論先生は現役JKからの毒舌に「ぐはっ!?」と地味に胸に突き刺さり、その場で四つん這いに項垂れる。
さっさと離れようとする彼女だが、直ぐに立ち直った先生が「一緒に学校に行こう」と勧めてくる。
「はあ? ……あのね、何で私があんたと仲良く行かなきゃならないわけ?」
「そ、それは勿論、君達生徒と交流を深めようと──」
「それに悪いけど、今日は自由登校日だから学校に行かなくてもいいんだけど」
それは既に把握しているが、生徒との
絶対に何かあると確信を持ち、彼女を追う先生。
セリカはついてくるなと突き離すが、それでも先生は追跡を続ける。
傍目から見ても女学生を追い回す先生を名乗る不審者と言う最悪の構図の出来上がりだが、先生はあくまで善意でセリカを追い掛けている。
彼女はバイトしているようだが、行先まではこれといった情報を引き出せなかった。
その光景をテガソードが終始見ていたが、先生の行動に呆れるばかりだった。
続く
次回はアビドス側から二人目のユニバース戦士が登場します。
ブルアカ本編をプレイすれば誰かなのか理解出来るかと思いますが…。