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星降る海とEx-otogibanashiを聞いて忘れてたやつを衝動的に書いた馬鹿は私です
「えっ、出頭命令?」
月の一角に聳え立つ屋敷
その一室で屋敷の主が素っ頓狂な声を上げ、思考を停止させた。
彼女の手には、先程の部下の月人が運んできた巻物が開かれている。それは手紙であり、内容は────
「あの子が…………職務放棄の上に、逃亡?」
────彼女の妹のしでかした事の報告書だった。
曰く、任せられた仕事を放って無断で地上に逃亡。その上逃亡に使用したのは、姉妹で着手していた未だ開発段階にある宇宙船『もと光る竹』だという。
「───っ!? まさか!?」
こちらを見る部下の目を気にせず、急いで”窓”を覗き込む。
妹が付けていたブレスレットの反応を探知し、視界を反応があった地点にズームし妹を探す。窓から見える景色は地上にある日本という国の首都、東京に位置する商業施設に沿った路上だった。
「見つけた!」
どうやら妹は地上人の少女と共にいるようで、彼女に激しく問い詰められている。かと思えば、妹が手のひらに出した黒いものを見た少女がいきなり、携帯端末を確認しその内容に激しく落ち込んでいるようだった。
「────? 何をやっているんですか、あの子? それにあの地上人は…………」
『ソロソロ、オジカンデス』
地上人と妹の関係に首を傾げていると、部下に出頭の時間を指摘される。
「ああ、うん。直ぐ行くよ」
というか、あの子はやっぱり少し小さくなっていた。『もと光る竹』の自分が開発していた機能、受肉体の幼児化と周辺環境への最適解は上手く作動したようだ。図らずも動作確認が出来たと喜ぶべきか、動作確認もしていないものを使うなと叱るべきか。
まあ、あの子の様子も気になるが、今はこちらが先決だ。
「それにしてもあの子、あんな感情豊かにできたんだ」
地上人の少女と共にいる妹の見たこともない表情の数々に、少し、後ろ髪を引かれるような感じがした。
──────────────
月の中枢
その会議室で、逃亡者を連れ戻す予定の調整が行われていた。出席者はボサツ型の月人と、
「それで、あの子を連れ戻すのはいつにしますか?」
『
「そうですか」
現状、7月30日の新月の日にあの子を連れ戻す事ができる。
準備にも時間が掛かるが、それもまあ大したことはない。一時的な業務の停止を防ぐための引き継ぎくらいだ。しかし、それが大人数ともなると話が違ってくる。肉体を持たない月人は、受肉しなければ地上ではそれほど長く活動できない。地上の仮想空間上であれば話は別だが、それも向こうのサーバーが月人の情報量に耐えられるかわからない。
まあ、最悪の場合は現実の地上であの子を回収すればいい。
というか、
「あの子もせめて引き継ぎを終わらせてから行けば、休暇の先取りで済んだでしょうに」
あの子はサボり癖があったため、休みは直ぐに使ってしまう。今年度であの子に与えられた休暇は全て消化済みでもう無い。それに今回の脱走で向こう50年は外出は禁じられるだろう。結局のところ、あの子の自業自得だ。
そう思い、ボサツ型の提示した日程で了承しようとしたが、一瞬、さっき窓から見えたあの子の多彩な表情を思い出した。
「………………あの子の脱走分も含めて後で私が責任を取りますので、ひと月だけ、連れ戻すのを待って頂けませんか?」
『
「ええ、ありがとう。私の我儘ですから、その間のあの子の仕事は私が代行しておきます」
『
ひと月だけだ。ひと月だけ、あの子の自由にさせてあげよう。
いつも退屈そうに、寂しそうに業務を熟していたあの子の息抜きになればと、そう思った。
休暇としても流石に穢れの多い地上はやめて欲しかったが、ここ40年程は地上の穢も薄れてきている。だから一応、許容範囲の内だ。
『
「ありがとうごさいます。では、本日はこれで」
会議室を出て帰路に就く。
結局、8月30日または9月12日、地上では中秋と呼ばれる日にあの子を迎えに行くことに決まった。それまであの子の分の業務もしなければいけない為、これからは少し忙しくなるだろう。
「はぁ…………そういえば、私の休暇ってどれくらい溜まってるんですかね?」
あの子が取得し尽くした休暇について、ふと気になった。
生まれてこの方、仕事をしていた記憶しかない。記憶整理の際に忘れているだけかもしれないが、それでも大分溜まっているはずだ。一度、計算してみるとする。
「月人の1年度が地上での10年度に相当するでしょ。で、年度の休みが600日。私が働き始めたのが確か……7500年くらい前だったかな?」
なら、大体1200年分の休みが溜まっている訳だ。
今まで休みなんて一度も取ってなかったから、それぐらい申請しても多分すぐに通る。そもそも、月は働くか記憶整理の為に寝る以外にやる事が無いのだそれくらい溜まっても仕方が無い。
「まあ、考えても仕方無いですね…………仕事しますか」
あの子の強制送還までは時間がある。
今のうちにあの子の仕事を減らしてあげようかな。
「そういえば、
───────────────
「ねえねえ彩葉!! これ何これな〜に〜!」
「なに? また何か買ったの?」
勉強に精を出す彩葉と彩葉協力の下配信に全力投球なかぐや。
そんな7月も暮れ頃になったある日のこと、かぐやが手にi〇adをもって彩葉に質問していた。
「なにこれ、ドラマ?」
iP〇dには、動画配信サイトの画面が映し出されていた。
動画のタイトルは『恋する二人〜禁断の姉妹編〜』
そして画面の中では似通った容姿の女性二人が睦み合っている。
完全にあれだった。ちょっといけないドラマだった。
「────なっ!?! なっ、なんてもん見てんのよかぐや!!」
「え〜。だって、何やってんのか分かんないんだも〜ん! それで、この二人は何やってんの?」
「なっ!!? な、ななな、なにって?!」
彩葉は焦りに焦った。彼女自身この類の動画はあまり見ないし、詳しいわけでもない。一般的な女子高生が知っている程度の知識しかない。
「どこでこんなの見つけたん?! てかこれ姉妹でしょ!?」
「姉妹ぃ〜? え゙ぇ゙〜こんなん姉妹でやんないって! かぐやもやったこと無いし〜」
「そりゃ! ──────ん?」
かぐやの発言にふと我に返る。
今のかぐやの発言はまるで、彼女に実際に姉妹がいるかの様な言葉だった。
「かぐや、あんた姉か妹いたの?」
「えっ? ぅん〜〜〜…………わからん、なんであんなこと言ったんだろ?」
かぐやはなんでそんな言葉が出たのか本当にわからない様子で首を傾げていた。
iPa〇をかぐやから分捕って、件のサイトが危険なものでないか確認しながら頭を捻る。
謎は深まるばかりだった。
というか、そもそも宇宙人に兄弟姉妹の概念ってあるのか?
───────────────
「思えば、お姉ちゃんと再会してから随分長い時間が経ったよね〜」
2030年を間近に控えた冬の日ツクヨミ。
その一角、仮想空間全体を見渡せるようになっているヤチヨ城の一角で、ヤチヨはお姉ちゃんに声を掛けた。
「急にどうしたんですか? 確かに、地上でウミウシの姿のヤチヨと再会してから1000と100年程経ちましたけど………………………ええ、そうですね。確かに、随分と長く経ちましたね。貴方と再会したのは、
「うん。本当に、色んな人たちに会ったよ………………みんな、命を賭して全力で生きてた」
「はい。月人と違い、皆が泥臭く生き抜いて、不確定で、美しかった」
「………………月人だって寿命はあったし死の概念だってあったんだよ」
「でも、私が作った薬でそれらから解き放たれた。地上人でこれを飲んだ人は、誰一人としていませんでしたけどね」
何千年も前、それこそ五千年以上の昔のこと。
生物を病気や寿命に縛り付ける肉体から解き放ち、思念体として再誕させる霊薬『蓬莱』を開発し、月人をそれらの縛りから解放した天才がいた。固有の名前を持たない月人の例に外れず、彼女も名前を持っていなかったが後世で得た名が二つある。
その一つが『なよたけ』、月人史上最高峰の薬学の才を持つ者に付けられた名前。
ヤチヨが生まれたのはなよたけが蓬莱を完成させ、それが月人に浸透して暫く経った頃。
生まれてからしばらく経った際、何も知らなかったヤチヨも言われるがままに蓬莱を服薬し─────それが永遠の退屈と苦痛にまみれた生活の幕開けとなった。
「………………ねえ、ヤチヨ」
「何だい何だい?」
「貴方は蓬莱を飲んだこと、後悔してる?」
突然そんな質問をされ、きょとんとした顔をしてしまう。
質問を投げかけた本人の至って真面目な顔を見て、いつものように飄々と誤魔かせはしないのだと悟る。
「う〜ん、考えたこともなかったよ。ヤッチョにとってはそれが当たり前だったから……………でも、永遠の命を手放して彩葉とお婆ちゃんになるまで一緒にいられたらいいな〜、って思ったことは何回もあったよ」
「…………そう」
それ以降、お姉ちゃんは口を開かなかった。
ヤチヨに背を向けてツクヨミを眺める顔がどんな表情だったのか、ついぞ知ることは叶わなかった。
はい、滅茶苦茶遅れました。
ハーメルンの超かぐや姫二次の中では割と最初の方からあるはずなのに・・・・まだ三話です。
他の二次が佳境でそっちに集中してました(建前
すっかり忘れてました(本音
これからはゆっくりかもしれませんが更新再開していきます!(根拠のない宣言
てか、この二次での月人の年休60日ってヤバッ、過労死ライン超えてないか?