魔法少年ワタリ☯バンプ   作:紡縁永遠

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百合水仙と牡丹

 「綺麗なものじゃな」

 「踏み込まないんだね」

 「久しいのキュウベェ、いや何、グリーフシードの余裕もあるのでな、無理に踏み込む必要もない、それにの、ベテランもいるようじゃ、儂の出る幕ではない」

 

 魔女を見つけて百数十度、魔法少年となって数十度目の魔女殺し、あれから二年、やはり時というのはすぐに流れる。だが、今日はすでに先約がおった。

 金髪の魔法少女少女と赤髪の魔法少女の二人がすでに魔女の結界内で戦っている。儂が出ていく暇はない、窮地に陥れば助けることも考えようが、金髪の少女はベテラン、専門家としても経歴はそれなりのものであろう。ならば任せられるというもの。

 じゃが、守刀くらいは渡さんとなぁ、何せ儂は固定の住まいを持たない、合わぬように大体どの方向にいるか分かるものが必要というわけじゃ、む、これは不味いの、ベテランといえど庇いながらでは倒すことは難しい。赤髪の少女が見せた隙、そこを突いた魔女は金髪の少女を警戒しながらも着実に追い詰めている。同業がいなくなるのは申し訳ないが見過ごせんの。

 

 「魔刀・世渡」

 

 赤髪と魔女の間に刀を一振り落す。槍を使うのだから間合いを調節すれば攻防揃うというのに、ソレは今後に期待ということで選考防止といこうかのう。

 世渡、その名の通り世を渡る。道を作る、未知というのは本来境界の一種である。道を引きそこに通れない壁を作る、道という物は本来横断するべきものではない。横断するための道を作ることでようやく渡ることができる、世渡は切り裂いた場所に道を作る、壁を作る、そして道というのだから通れなければおかしなものよ。世渡りで造った道を通り少女と魔女の間に立つ。

 

 「魔刀・花渡(はなわたり)」

 

 花渡、桜渡と言い換えるのもいいだろう、何せこれは桜並木を、万花繚乱に咲き誇り桜と共に剣閃を繰り出す。鎮魂、魔女が人ならざる化物であるならば魂の安らぎなどは必要ないのかもしれんが、それだけでは今まで喰われてきた人達が報われぬというもの、魔女ではなく魔女に喰われた人間に贈る花である。

 

 「うむ、隙ができたぞ、」

 「え、ええ……ティロ・フィナーレ!」

 

 ほう、マスケット銃か、単発の古い形ではあるが瞬時にソレを作り出す魔法、儂の刀に近いな、それでも一撃で斬り殺すなど心渡以外には難しい、類まれなるあの名刀は怪異殺しの異名を持ち、かの伝説の吸血鬼、怪異の王も振るった大太刀、この世ならざるものを斬り殺す妖刀である。グリーフシードが落ちる確率が減るものだから使う機会などもう薄れている。

 

 「おいっ!お前!」

 「む?」

 

 ズカズカとかなりの怒気を含んだ足取りで詰め寄る赤髪の少女、やはり狩場が決まっているのか介入してきたことに対する怒りだろうか、あくまで魔法少女は少女である、未成年である、まだまだ親のもとで生活するものである。まぁたびたび例外というのは存在するが、それでも初対面の者に対する反応ではないということは確かであるな、

 

 「ちょっと佐倉さん言い過ぎよ。悪気があったわけじゃないようだし」

 「でもコイツは私達のところに!」

 

 赤髪の少女は佐倉というのか、そして怒りの理由もわかったことだし、こちらも言い訳くらいはさせてもらおう、言われっぱないしというのも癪ではあるしの、それにだが、儂が助けることも介入した理由も己のためではあるが、周囲に不利益を働くものでもないということを証明しなければならないのじゃから。

 

 「なに、同業がいなくなるというのは寂しいものでな、勝手ながらにはいらせてもらった、あの場での最善手と言うわけじゃな」

 「じゃあ、グリーフシードが目的ってわけじゃなのか?」

 「うむ、協力関係は珍しいものではないが、うぬは珍しいの、同じ枠組みならいざ知らず、部外者にも理解を示そうとなど」

 

 グリーフシードは希少なもの、じゃがそれを分け合おうとする考えは派閥に分かれチームとして動いているところもある、確実性は上がろうが、見返りも減ってしまうというもの、拒絶の意が正しいのかもしれんのう。

 

 「だって、一人は寂しいじゃない」

 「それは、痛いほど理解しとるわ、じゃが、それだけじゃ仲良くなることも続かんがのう、ほれ、守刀じゃ、儂は旅渡りの専門家じゃからな」

 「魔法少女じゃないの?」

 

 む、そうか、まだそれについての言及はしておらんだったな。話せば長くも短いが、要点をまとめて説明させてもらうとしよう。怪異を殺す専門家として、魔女を殺してきた男ということ、力を買ってキュウベェに魔法少女ならぬ魔法少年にならないかと誘われたこと、すでに多くの少女を看取ってとは些か違うが埋葬をしてきたこと、それらを話した。

 

 「ふむ、同業の弔い場なら案内するがどうじゃ?」

 「いえ、この刀の主な力は?」

 「ああ、儂に居場所を知らせるというもの、と言ってもジーピーエスに近いがのう、儂が旅をする過程で他の同業と会わぬようにするためよ、」

 「そう、私は貴方と話したいわ」

 「やはり不思議なものじゃのう、うむ、しばらくここらにとどまっている、町一つ分の範囲なら逆探知も可能じゃろうな」

 

 儂は人とは相容れない、魔法少女ならまだ何とかという所、じゃあさが、共に過ごすというのは無理なもの、どんな存在になろうと、儂は人成らざるもののを殺し続けるだけである。

 

――――――

Sideマミ

 

 佐倉さんと共に魔女と戦っていた所、まだ魔法少女になって間もなく、魔女との戦いにはまだ慣れていない為佐倉さんに隙が出来てしまった。カバーをしたくとも出来ないくらいに強い魔女であったため、守りに徹するので精一杯だった。

 そこに一振りの刀が降ってきた。その刀は佐倉さんを守りさらにそこから魔法少女が現れた。手に持つ二振り目の刀から放たれる剣閃は桜舞うきれいなものだった。隙を作ってくれた上に最後も譲ってくれたのだ。

 変わった人だ、魔法少女ではなく魔法少年というのも少し気がかりだけどそれよりも、変わった気配だ、魔女に似ているが人にも近い、魔法少年であることに関係してるのかしら。それとも話し方に似合わないあの美人顔は、さすがに関係ないわよね。

 

 「……ねぇ、キュウベェ、彼は何者なの?」

 「彼の名前は死屍累生死、魔法少女に誘う前から魔女を殺してきた存在だよ、不思議な雰囲気というのは分かるけど詳しくは知らないんだ、」

 「そう、佐倉さん、今日はきり上げましょう」

 「分かったよ」

 

 グリーフシードもいらないとは何かあるのかしら、それとも一人で戦っているのなら余裕があるのかしら、どちらにせよ詳しく聞きたいことばかりね。明日時間はあるのかしら、旅ということは学生ではないのだろうし……後はこの刀、意匠は少し違うけど何か違和感がある、刀を詳しくは知らないけれどこれが本来の形ではないように見える、GPSというのも嘘なのかしら。

 

 「彼が気になるかい?」

 「ええ、」

 「旅をする魔法少年、専門家と本人は言っていたよ、専門家とはこの世ならざるものと相対する者たちを指す言葉らしい。魔女もその部類にはいるみたいなんだけど、精神的な考え方から魔法少女には向かないみたいなんだ」

 「そう、魔法少女以外には対処が無理だって言ってなかったけ?」

 「さぁ?でも姿形があるものを殺せない道理は無いってさ、おかしな話だよね、絶望を振りまく絶望なのに」

 

 魔女は絶望を振りまき、絶望から生まれる。そこに奇跡をもたらす魔法少女だから対応できる、そういったものと資質があるものが魔法少女に選ばれる。私は少し強制的な感じではあったけど、そんな人が魔法少女……言い方を変えたほうがいいかしら、魔法少年、これも何か違うわね。

 

 「本人は呼び方は何でもいいって言っていたよ、専門家でもいいし、魔法使いでもいいって」

 「専門家、確かに彼はソッチのほうが合ってるのかもね」

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