「久しいな巴マミ、」
「そうね、ありがとう私のために飛んできてくれて、まだ昼でしょう?」
「そうじゃな、化物を唯一認めてくれた者の最期に立ち会いたくなった、」
儂が到着した頃には巴マミは倒れソウルジェムに亀裂が入り、少しづつ広がっている。まったく何を焦ったのか知らんが、やはりダメじゃったか。巴マミの遺恨は孤独から解放するだけでは終わらない、まぁ儂も何もしなかったが、それでも相容れない者が容易に干渉するわけにもいかない。
巴マミの頭上には魔女が一体、守刀の結界に阻まれてこちらを睨んでいる。貴様に巴マミはやらん、巴マミの骸は儂のものじゃ。
「食べてくれるんでしょ?」
「これが終わればの、守刀・友渡真の名を、命刀・友渡・百合水仙」
守刀を引き抜き、真なる名前を発言する。もう一度突き刺せば儂が嫌いとする、マスケット銃が瞬時に展開される。とは言っても底面に刃が着いた物であり斬撃も可能である。能力は、魔刀・
迫る魔女に対して、一発一刀の武器で撃ち砕き、切り裂く。それが何度か続いたが魔女は倒れる気配がしなかった。巴マミが縛った魔女の片割れが、何かしているということかもしれん。
「てぃろ・ふぃなーれ」
巴マミが、使用した必殺の技。儂が使えば弾が大剣となるが些細な違いかのう、それに一発限りのマスケット銃を生成を連続的に行う。非効率ではあるが、一撃一撃が、致命傷になり得ると言える。
「何か言い残すことは?」
「そうね、まどかさんとさやかさん、貴方達にはみっともない姿を見せちゃったわね。ごめんなさい、生死さん、私の後を頼むわ、」
「魔女を專門とする專門よ、敬意を評そう」
ソウルジェムの亀裂が最後まで届き砕け散る。魔女の結界が崩れるまでは時間があるな。儂は巴マミに片膝をつくようにしゃがみ込み掬い上げる。変身が解けて服装は他二人と同じようになっている。髪をずらして、顕になった首筋へと齧り付く。
「ボナペティ」
儂の罪、儂が人と相容れぬ理由、それは儂が人を喰らう化物であるがゆえ、鬼であるが故の人心の鬼の罪。
「なんで、何してる!」
青髪の美樹さやかと言ったかのう、少女が儂に明かりを顕にする。少し待て、弔いであり、敬意であり、謝罪なのだから。
「助けたのじゃ、少し、ただ少し。のう、うぬは何を成したい、この戦いに何を見る、巴マミはこの戦いに何を残した、儂には食料と、思いを残した」
「アンタが…マミさんを語るな!」
その激昂も理解できる、儂も始めはそう言って否定した、だが、それは意味をなさなかった。専門家の死体、怪異の王の主人が食べ残したお零れを喰らい、生き永らえた。
「ついてこい、儂は魔法少女に対して不干渉を貫く、巴マミはその必要はないと言ったが、それだけではないのが世の常じゃ、魔法少女という形に言葉に重きを置いた、ヒーローとしたのが巴マミだ、儂は旅渡りの専門家、この守刀は魔法少女の最期を守る、これが魔法少女の実態じゃ、」
巴マミに案内したように、美樹さやか、鹿目まどか、暁美ほむらを山へと連れて行く。巴マミを連れてきた時より幾らか増えた刀塚、魔法少女の弔い場という形ばかりのモノ。それでも形だけでも、重要なのだ。弔った場というのはそれだけ人の残留思念に影響する。
「な、なんだよ、これ」
「王も神もいない山を利用した弔いの場だ、刀の数だけ魔法少女が死んでいる。ここに来るものも、もう、いなくなってしまった、ああ、守るべきじゃった、巴マミは儂に意味をくれた。狩場を開いて共にいれる道をくれた、それを無視したのじゃから、罪とも言える……さて、インキュベータよ、貴様をここに呼んだ覚えはないぞ」
まぁ、お菓子の魔女の結界内にインキュベータがいたのだから、来るなと言えばよかったのだが、忠告もかねてと、警告を含めてちょうど良い。
「まぁ、君のその呼び方に慣れたけど、君もずいぶんな行動をするものだね、その刀を墓場とするのなら、なぜ誰も埋まっていないんだい?いや正確にはまだ十数人残っていたさ、それも数ヶ月も前に死亡したはずの少女の死体が腐りもせずに完璧にね、他の少女はどうしたんだい?」
「知っていることをわざわざ聞くのか?」
「不確定事項は話さないほうがいいだろう、でも、言うとするよ、何せ先ほど実演してくれたからね、魔法少女の死体を食べる存在、それが君だ、魔法少女のあいだでは【刀渡りの旅人さん】という名前で知られているけど、まさか君だったなんて、」
「ああ、本来は見せるつもりはなかったんだかのう、それも終いじゃ、インキュベータ、孵卵器よ、この少女に関わるのは自由であるが、儂がいるなかで、貴様の武器は何一つとして使えぬことを理解するがよい、そして二度とこの山に立ち入るな」
儂は専門家じゃ、人の言の葉によって紡がれた未知、怪しい事を、言の葉を持って崩す。専門家相手に、話術は通用することはない。逆に飲み込むことも可能である。
「つくづく、専門家は厄介だね、魔法少女にならずして魔女と戦える、圧倒できる方法を知っているのだから。分かったこの山には立ち入らないし、君の前でまどか達への干渉はやめよう」
「それでいい」
儂が喰らう食料はない方がいい、儂自身関わりたくないから死体を喰らっているだけである。
「時期としては最悪だな、」
客人だ、それも儂と同じ化け物の、帰らせるか、その場に残すか、好きな方を選ばせるかのう、