Sideさやか
「あるんだよ……奇跡も魔法をあるんだよ!」
Side死屍累生死
「ほう、あれを見て、まだ魔法少女になるとは、人というのはやはり難しいなぁ、」
青髪の少女、美樹さやかが魔法少女となって、桃色の髪の少女、鹿目まどかを助けている。慕っていた先輩、巴マミをを儂が喰らい、魔法少女の死体を喰らい続ける儂を、あれだっけ激昂したというのに、儂は美樹さやかを知らない、知らないからなぜ魔法少女になったかも理解しない。理解し得ない。じゃが、ある意味失敗ではある、何せ巴マミのような魔法少女は今後い続けること叶わぬのじゃから。あのような英雄のような戦いなどできるようなものではない。そういった事を見れば、赤髪の少女、佐倉杏子や時渡りの少女、暁美ほむらは魔法少女として適任とも言える。とはいえ、この街を任されたうえで、あれは見過ごすことはできないのう。
「グリーフシードを落とさない使い魔を倒したって魔力の無駄、それに使い魔は四、五人を食わせたら魔女になる。そしてそれをあたしら魔法少女が狩る、食物連鎖じゃん、ソレの何がおかしい」
「あっ…逃がしたら…」
「その必要はない、すでに殺した」
まったく、専門家として日の浅い美樹さやかが佐倉杏子と戦えるわけがなかろうに、巴マミの後輩としての意思故か、魔女の殺し方で揉めるとは。
「アンタはあの時の……」
「久しいの、佐倉杏子よ、巴マミから聞いてはいたが、かなり他を巻き込んでいるようじゃの、」
「アンタも否定するのか?」
「いや、否定するつもりはない」
「じゃあ、なんの用だよ」
「刀、と言うには少し無骨で、何より無粋とも言えるがのう、魔刀・空渡、ぶつかることで満足するのならばそれもよし、ただし、僭越ながらこの儂、死屍累生死が開戦の号砲をあげよう、」
間をとる、間にはいる、橋渡しをする。専門家としての仕事の一環、美樹さやかと佐倉杏子が相容れぬのは一目瞭然、ならば、儂が調停者として、二人の少女の行く末を見守ろう。
「ソレをやって何の意味がある」
「素人とやっても意味がなかろう、ソレに見滝原の現在の管轄は儂じゃ、うぬが戦うことを許可した覚えはない、グリーフシードが手元にある、勝っても負けてもソレを持って帰ってもらおう、」
「アタシはそれでいい」
佐倉杏子はこれでよし、次は美樹さやか、
「それでも私は人を犠牲になんて、」
「ソレを否定したいというのならねじ伏せればよかろう、そもそも巴マミの戦い方は、全てを捨てて成り立つものじゃ、手元にのこっているものが多いうぬが出来ることではない。儂がここに留まるのはまだあるが、勝たなければ、見滝原の人間が犠牲になるだけじゃ」
「……分かった…やるよ!」
美樹さやかもこれでよし、後は、こちらが見やすいようにするかのう。
「殺しはなし、確認のため、ソウルジェムをこちらに渡してもらう、安心せい、専門家としてそこは確実に守ろう、」
「分かった…」
「はい……」
「確かに」
二人からソウルジェムを受け取り、空渡を空へと掲げる。友達・百合水仙を除き遠距離を穿てる武器、鬼ありながら鬼を狩る奴が持っていたものを参考にさせてもらった。引き金を引く、それなりの音がするが、すでに結界を張ってあるので周囲に影響を促すことはないじゃろう。そこにあるのに気づかない。少女が武器を振り回していても気に留めなければないのと同じである。
美樹さやかの、剣技はお粗末と言える、魔法少女と成ってまだ二日そこら、対して佐倉杏子は巴マミには並ばなくとも、一人で魔女狩りをし続けていきたい者、天地の差がある。ふむ、やはり穢れがたまるのは美樹さやかのほうが早いの、剣に対して槍というのは戦いづらい、その上佐倉杏子の槍は仕込み槍、間合いもさらに広くなる、穢れもたまらずに戦えている。
「……」
「くっ……」
「やっぱトーシローじゃねぇか、動きが甘い」
「そこまで……」
「あ?何でだ、まだあっちも戦え「帰れ、これ以上口を挟むというのならグリーフシードも渡さん、」……分かったよ」
これにて、少女達の喧嘩は終わり、美樹さやかには心的障害が残るが、そもそもという戦い方が成っておらん、まったく硝子のような心に目を付けるとは、まったく持って外道である。ソレすらもエゴというのなら、ソレは人間の感情のあるべきところというものか。
ソウルジェムを返し儂はその場を後にする、美樹さやかには、グリーフシードで穢れを取り除き、再戦の方法を伝えていく。
「納得できないのならば、また戦えばよかろう、間になぞいくらでも入ってやる」
「ふざけないでよ、アンタがマミさんを助けないから」
「無理じゃろうな、人を助けることなぞできはせんよ、ひとりでに助かるのが人間じゃ、」
アレは少し不味いの、ソウルジェムに少しながらの仕掛けを施したが、気づく日もそう、遠くないということか。
Sideほむら
今回も佐倉杏子に美樹さやかに手を出すなと言おうとしたが、ソレより早く、鬼が間に入った。本来なら止めるのだが、私は鬼に勝てる気がしない、まどかを先に……いや、どうやっても気づかれる。なら、ソウルジェムの秘密を知られる前に、対処をしなければ。
「なんだよ、まだこの街にはいたのかよ」
「転校生……」
「鬼はいないのね、よかったわ」
「鬼って…ほむらちゃんそれは…」
「事実だから否定する気はない……ソレにこの中では暁美ほむらが一番正解と言える、鬼は人を喰らう、ソレは変わることはない。鹿目まどかよ忘れるな、儂は鬼じゃ。
「それはそれとして、美樹さやかよ、初心者が、その道の専門家に勝てるわけがなかろう、間を取ってくれるものをなしに戦うのならば身を滅ぼすぞ」
くっ……今彼に、ヒトを食べる意思がないのは幸いだ。いつ殺されてもおかしくないのに、何でまどかは気にかけられるの……でも、今は美樹さやかのほうが重要、ソウルジェムの真実がバレる前に
「なら、アンタも戦ってよ!マミさんの敵討ちだ!」
「敵討ちか、少々語弊があるのう、巴マミを殺したのは儂ではない、そして殺したものは儂が殺した、」
「関係なっ?!」
あっ……不味い!!出遅れた、しかもトラックの上に……
「っ?!」
「ふむ、いい時期ともいえるかのう?いや、最悪ともいえるか……」
「え?なんで?さやかちゃん!」
早く取り戻さないと!
Side死屍累生死
「どうなってんだ、コイツ死んでるぞ!」
「やはりか、ソウルジェム、Soul、つまりは魂、ソウルジェムはうぬら、魔法少女の魂の保管庫と言える」
「おや、きみは気づいていたんだね」
「ソウルジェムと言う名の響きから察してはいた、専門家は言葉に敏感じゃからのう」
ソウルジェム、Soul Gem、
「そうだね、生死、君の言っていることは正しい。魔女と戦うのにもとのもろい身体で戦わせるわけがないだろう、鬼である君は別として、ソウルジェムが体から100メートル離れると体を動かせなくなるんだよ、」
「そんな、そんなのあんまりだよ」
「じゃあ、アタシたちゾンビにされたようなものじゃないか!」
「君達は真実を知った時いつも同じような反応をするね。わけがわからないよ」
まったく、言葉足らずというのも問題じゃな、この言葉にどれだけ絶望するか、倒れたのが美樹さやかで良かったと捉えるかのう、自業自得と割り切っている佐倉杏子ならば、穢れることもそうそうない。
「戻って来たか暁美ほむらよ」
「知ってしまったのね」
「そうじゃな、儂は帰る、鬼がこれ以上うぬらにできることは無い」
「そう……」
この選択肢は失敗だった。何せ、不干渉を貫いてきた以外に、昼の内情を知らぬ儂には対処ができないことではあるが、まっとうな人と言えなくなったことに美樹さやかは絶望をした。人と相容れぬと絶望をした。魂のある位置が変わっただけではあるが、やはり説明しなかったか、魂の位置が変わっただけなら、子をなせる、年も取る、寿命は分からないが、うまくやれば人と添い遂げることも可能じゃろう、身体構造が変わったわけではないからのう。
「この国では、成長過程の女性を少女と言う、ならいずれ魔女になるのなら、魔法少女と言うのが相応しい、これもキミは知っていたかな?」
「
美樹さやかは魔女と成った、儂は撤退した魔法少女がここに来るまで足止めをし続ける。鬼が人にできることなど無い、それでもその思いを踏みにじることだけはせん、何度殺されようが、うぬを、魔女と成ったうぬを殺すのは儂の役目ではない。
「アンタ……何のために、」
「なに、手助け位はしてやらんとなぁ、何せ弔いはおぬしたち自身がやりたいじゃろう?鬼が人にできることは何もない、人を通して鬼が人のために動かねばな」
「ああ、助かるよ……一人ぼっちは寂しいんもんな」
美樹さやかと佐倉杏子は共に逝った。残る少女は二人、時渡りの少女と、慈愛の少女、時渡り、暁美ほむらが成したことは、すでに叶わぬ、何せもう三人も死んでいるのだから。超弩級の魔女が来るのはもう少しと言った所かのう、鬼と魔女と人と魔法少女の最後の夜、舞台装置が回り始める、廻ったら止められない、それが物語、生という名の歯車である。
巴マミに続き、美樹さやか、佐倉杏子も原作通りに終わりました。あっさりとしていますが、視点が鬼だからというのもあります