こんばんは、ベルです。魔防隊三番組組長をやっています。
突然ですが、ベルはオナニー中毒者です。
プライベートの時間は、ずっとスマホでエロ画像やエロ動画を検索して抜いています。
今も、ひとり自室のベッドの上、ピク○ブや○ックスで抜けそうな画像を探しているところです。
魔都には、男の子がいません。桃の力の恩恵を受けられるのは女性だけであり、したがって魔防隊の組員は女性だけです。
すごく、溜まります。
男が、ほしいです。
男の身体に触りたいです。
男と肉欲に溺れたいです。
とにかく、ベルの頭の中は性欲で埋め尽くされています。
もちろん、恋人はいません。男友達もいません。こんなにも男を欲しているのに、この欲望が満たされることはありません。
だから、毎日エロ画像やエロ動画で抜いています。ベルは、オナニー中毒者なのです。
けど、魔防隊を辞めて魔都を出ようという気もありません。
魔防隊にいることで、ベルは人に認めてもらえます。それに、ベルが現世に戻ったところで、男性と仲良くなって恋人になることが難しすぎます。
男性を前にすると、おどおどして、しどろもどろになって、上手く話せません。だって、男の子と話すの、緊張するじゃないですか。
だから、魔都にいようと現世にいようと、ベルは男を手に入れることができません。
つらい。
男とエロいことがしたい。
あぁ……ヤりたいなぁ……。
ベル……処女のまま死ぬのかなあ……。
悲しくなってきた。オナニーをして、すべてを忘れよう。現実から目を逸らそう。
*
「七番組に男性組員が入隊することになったわ。私もまだ会ったことはないけどね」
「え?」
恋ちゃんがベルの部屋へやってきて、ふたりで何気ない雑談をしていたところ、突然そう言い出しました。
「七番組からの報告によると、先日、魔都に男性が迷い込み、京香がこれを救出。その際、京香の力である『
「に、人間を奴隷に……」
羽前組長の桃の力は聞いたことがある。対象となる生命体を奴隷として使役する力。けれど、人間にも使えるなんて……。しかも、それが男性って……。
「京香は彼の戦闘能力を有用と判断し、入隊させたという経緯ね。今は七番組本拠地で家事雑事を担当しつつ、任務に当たっているそうよ」
え? ということは、七番組には男性が入隊していて、しかも一緒に暮らしているってことに……? え、なにそれ、羨ましい。許せない。ずるい。
いや、その男性がどんな人かにもよるけど。高齢かもしれないし、若くても彼女いるかもしれないし。
「その男性組員が、明日の組長会議に同席するそうよ」
「え、明日?」
恋ちゃんは頷き、ベルを見ながら微笑む。
「楽しみね」
「え、まぁ……」
ベルは何とも言えず、微妙な返事をするしかない。
「なによ、浮かない顔ね」
「ベルには、あんまり関係ないような……」
どんな人か分からないし、仮に若くて可愛い男子でも、ベルがお近づきになれるとは思えないので……。
というか、若くて可愛い男子だったら、一緒に暮らす七番組組員たちが羨ましすぎて、ベルは憤死してしまう。悔しくて夜も眠れなくなる。そして朝までオナニーをしてしまう。
「とにかく、明日の組長会議には男性組員が同席する、という報告よ」
「わ、分かりました」
どんな人なのかなあ、男性組員って。
*
俺――和倉優希は七番組組員だ。
突然だが、俺は奴隷だ。
京香さんや朱々ちゃん、日万凛の奴隷となって戦った後『ご奉仕』をしなければならない。
このご奉仕は、主人が潜在的に望んでいることをさせられる。京香さんの場合はキスだったり、朱々ちゃんの場合はマッサージだったり、日万凛の場合は下着を見せることだったりする。
ご奉仕の時、俺の体は勝手に動いてしまう。俺の意思とは関係なく、だ。
必ずといっていいほど、ご奉仕は性的な内容だ。みんなは女性なので、そういう欲望を持っているのは自然なことだ。
俺がご奉仕をする時、みんなは喜び、嬉しそうにしている。
でも、正直、恥ずかしいとは思う。男として、体を見せたり触らせたりするのは、毎回顔から火が出そうになる。
それでも、魔防隊の役に立てるなら、俺は組員として務めを果たすつもりだ。
「優希、明日の組長会議だが、総組長とは目を合わせないように」
「えっ、はい」
京香さんから、そう忠告された。
総組長、怖い人なのかな。というか、他の組長も勢揃いするんだよな。緊張してきた……。
**1
ベルは会議場のイスに座り、他の組長たちの到着を待っています。組長会議の開始までは、まだ時間の余裕があります。
すると、向かい側に座る夜雲さんが――。
「どんな人なんだろうね、男性組員って。可愛い子だといいね、ベルたん」
といいながら、怪しげな笑みを浮かべています。ベルは苦笑いしながら「はぁ……そうですね……」と返しておきました。
その時――扉が開かれ、羽前組長が入室してきました。その後ろには、もう一人。
「――」
天使でした。黒髪で、
うわかわいっ。
うわっ。
うわ~~~~~~~~~~~~~!
可愛い~~~~~~~~~~~~!
ベルはつい、彼の方を凝視してしまいます。
すると、彼がこちらを見て、目が合いました。
慌てて目を逸らします。
やばっ、ジロジロ見てたのバレたかな。
そして、全組長が集合し、組長会議が始まりました。早速、彼の話題になり、羽前組長が彼を紹介しました。
名前は、和倉優希さん。現在は七番組で家事雑事も務めながら組員として働いている、とのことでした。
正直、七番組が羨ましすぎます。今から組長降格して七番組に平組員として移籍したいです。
組長会議中なのに、和倉さんの方へ目が行ってしまう。見ようとしてる訳じゃないけど、つい目が行ってしまいます。
可愛いなあ。
というか、本当に魔都に男の子がいる……。いいなあ……。ベルも和倉さんと仲良くなりたいなあ……。
すると、再び目が合いました。
ベルは目を逸らします。
やばい、見すぎだ。流石にバレてる、よね。
キモいと思われてたらヤダなあ。
はぁ……。あんな可愛い子とエロいことしたいなあ……。
**2
俺は京香さんに続き、会議場へと入った。何人かの組長がイスに座っている。みんな、すごいオーラがあった。
総組長の方を見ないように気を付けつつ、他の組長たちの方を窺う。その時――。
斜向かいの席に座る組長を見た瞬間、時が止まった。
夏の空のような、爽やかな水色の髪。オパールのような輝きを閉じ込めた琥珀色の瞳。
彼女の周囲だけが、神秘的な空気を帯びているようにすら感じられる。
うわぁ……綺麗な人だ……。
彼女と、目が合った。
すると、彼女はさっと目を逸らしてしまった。
う、なんかショックだ。
まもなく組長会議が始まった。しかし、俺はあまり話の内容を覚えていない。とにかく、斜向かいの綺麗な組長ばかり見てしまった。
俺が彼女を凝視しているせいで、何度か目が合った。
流石に見すぎかな。
でも、ほんとに綺麗だなあ、あの人……名前なんていうんだろう……恋人いるのかな……。
組長会議終了後――俺は帰路の途中で、京香さんに訊いてみることにした。
「あの、京香さんから見て左斜め前に座っていた、水色の髪の組長、お名前はなんていうんですか?」
「月夜野ベル組長。三番組の組長だ」
「恋人がいるかどうか分かりますか?」
「は???????????????」
「うわこわっ」
京香さんは目を見開き、額に青筋を浮かべ、鬼のような形相で俺を見てくる。すごい威圧感だった。
「いま、なんと言った?」
「月夜野組長に恋人はいるのか、とお聞きしました……」
「何故そんなことを訊くんだ?」
「綺麗な人だなあ、と思って」
京香さんの頬が引き攣る。やばい、怒りに油を注いでしまったかもしれない。
「優希は、ああいう女が好みなのか?」
「正直に言っても怒りませんか?」
「ああ」
「めちゃくちゃタイプです」
京香さんは、この世の終わりを目の当たりにしたかのように、愕然とした面持ちを浮かべる。そして、力なく項垂れてしまう。
「そ、そんな……私にも春がやってきたと思ったのに……」
「なんかごめんなさい」
「いいさ……プライベートまでは口出ししない。応援するよ……」
京香さんは、悄然としながらそういってくれた。良い人だなあ……。
「ありがとうございます、京香さん」
「いや、大切な部下だからな、当然のことだ。それと、ベルに恋人がいるかは知らない。すまないな」
俺は東の空を仰ぐ。あっちの方角には、三番組本拠地があるはずだ。
月夜野組長……恋人いるのかなあ……。お近づきになりたいなあ……。
**3
ベルは自室のベッドの上で、じっと考える。
七番組本拠地には、和倉さんが住んでいる。他の女組員たちと共に。
きっと、一緒にご飯を食べたりしているんだろう。羨ましい。
きっと、一緒に訓練して、体が触れ合うようなこともあるんだろう。羨ましい。
家事雑事を担当しているらしいし、和倉さんに下着とかも洗ってもらっているのかもしれない。羨ましい。
羨ましい。羨ましい。羨ましい。
あ~~~~~~~~~~~~~!
あんな可愛い男の子と一回セックスしてみたいな~!
まあ、ベルじゃ到底無理だけど!!!
悲しくなってきた……泣きそう……。
はぁ……オナニーしよう……。