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ベルと優希さんは美術館を見て回った後、館内の売店でそれぞれの組員へのお土産を買いました。
そして、美術館を出ます。
少しだけ日が傾いてきていました。
「俺、すっかり夢中になっちゃいました」
「えへへ、いつの間にかこんな時間ですね」
ふたりで歩きながら、スマホでバスの時刻表を確認すると――。
「次のバス30分後ですね……。ちょっと休んでいきましょう」
「そうですね」
ベルたちは川沿いのベンチに座りました。
夏じゃなくてよかったです。夏だと、田舎の川沿いは虫がすごいので……。
静かな川沿い。自然音だけが聞こえます。
少しずつ水平線へと沈んでいく太陽。黄金色の夕焼けに照らされ、川の水面がまばゆく輝いています。
優希さんは、川を眺めながら――。
「もうすぐ総組長選挙ですね」
といいました。
「そう、ですね」
「ご存じかもしれませんけど、京香さんも立候補するんですよ」
「……はい。ベルも聞いてます」
恋ちゃんから、羽前組長も出馬する意思があることを聞かされています。
羽前組長、本当に恋ちゃんと戦うつもりなんでしょうか。
あの恋ちゃんに勝てる人なんて、いるのかな……。
「ベルさんって、総組長とお友達なんですよね?」
「はい……」
「やっぱり総組長を応援してるんですか?」
「それは……。はい……山城総組長の力になりたいと思っています……」
「……」
「……」
気まずい空気が流れます。
山城総組長陣営であるベルと、羽前組長陣営である優希さんは、選挙においては対立する関係にあります。
しかも、ベルは選挙での投票権があるので――。
恋ちゃんに投票したら、優希さんに嫌われちゃうのかな……。
「すみませんベルさん、変なこと訊いちゃって」
「あ、いえ、そんなっ……」
優希さんは申し訳なさそうな顔をした後、すぐに目を逸らして川の方を見てしまいました。
「…………」
「…………」
――。
恋ちゃん……。
「あの、優希さん」
「はい」
「実はベル――」
――その時、静かな世界を引き裂くように、轟音が鳴りました。
「!?!?!?!?!?」
川の上流の方を見ると――黒い穴が宙に空いています。獣の
「まさか……
クナドは、突発的に出現すると聞いたことがあります。けれど、実際に発生現場を目撃したのは初めてです。
さらに、クナドから一体の醜鬼が這い出してきます。
「優希さん!」
「はい! 任せてください!」
優希さんが自己変身し、ベルは彼に騎乗します。
「行きますよ!」
ベルたちは透明化し、回り込むように醜鬼の後ろへと近づきました。
――
醜鬼から命の光を抜き出すと、醜鬼はたちまち灰となって散っていきます。
透明化で隠密して近付き、一撃必殺の能力で暗殺する――ベルと優希さんによる最強の連携攻撃です。
「やりましたね、ベルさん!」
「はい。ただ、クナドから続けて醜鬼が出てくる可能性もあります。見張り続けましょう」
「了解です!」
ベルはクナドを警戒しながら、スマホを取り出して魔防隊本部へ緊急通報しました。
*
結局、ベルたちはクナドが自然消滅するまでの間、一歩も動かず警戒を続けました。
幸いにも、クナドから出てきた醜鬼は最初の一体だけでした。
応援に来てくれた警察と魔防隊組員にその場を任せ、ベルたちは川から引き上げます。
もう、すっかり夜です。川の水面には月が映っています。
ベルは恋ちゃんに状況を報告するため、電話を掛けます。ちょうど手が空いていたのか、すぐに出てくれました。
「――ということで、クナドは自然消滅しました。現在は警察と魔防隊組員が事後処理に当たっています」
「…………」
「あの、山城総組長?」
「報告の中に一部信じがたい内容が含まれていたのだけど……」
「クナドが発生した場所に非番の組長がいるなんて、すごい奇跡ですよね」
「いえそうじゃなくて、ベルが男子とふたりで休日に外出? そんなことがありえるの?」
「ありえますよ失礼な!!!!!!」
「いくら払って一日レンタル彼氏をやってもらってるのか知らないけど、そんなことしても惨めになるだけよ?」
「レンタルしてないですけど!?!?!?」
まあ、ベルが男子と休日に外出、というイベントが奇跡であることは認めざるを得ません。ベルも今日が人生初ですし。
「本当にプライベートで和倉優希と休日デートをしているなら、素直に敬意を表するわ。すごいじゃない、ベル」
「どうも……。ところで、ベルたちはこの後魔都に戻った方がいいんでしょうか?」
「みずかみクナドまで距離あるんでしょ? 無理に戻ってこなくてもいいわよ。そっちに宿あるなら泊まってきなさい」
「助かります。今から移動するのは時間的にも体力的も厳しかったので」
「ゆっくり休んできていいわよ。おつかれさま」
「はい、山城総組長もおつかれさまです」
通話が終わりました。
「聞こえてたかもしれませんけど、今日は近くの宿に泊まっていきましょう」
「了解です」
そして、近くの旅館に泊まっていくことになりました。しかし、受付でチェックインしようとすると――。
「現在一部屋しか空いていないため同部屋になってしまいますが、よろしいでしょうか?」
「「えっ」」
たちまち、いろいろなことが頭を過ります。
え、同部屋……? 優希さんと同じ部屋で一夜を過ごせる……?
ベルは優希さんを見ます。彼は少し照れながら――。
「俺はいいですよ、ベルさん」
「……無理してませんか?」
「はい、大丈夫です。それに……この後のことを考えても、同部屋の方が都合もいいですよ」
……この後のこと?
ベルは、何かあったかなと考えますが、優希さんは不安そうな顔になり――。
「もしかしてベルさん、俺と同じ部屋で寝るの嫌ですか……?」
「そんなわけないじゃないですか!!! 一緒に寝たいですよ絶対!」
「じゃあ、そうしましょう」
「本当にありがとうございます!!!」
こうして――ベルと優希さんは同じ部屋へ泊まることになりました。
客室は、八畳の和室です。床の間と広縁もあります。窓からは、夜空と青白い月が見えます。
個室風呂があるタイプの部屋です。時間的にまだ大浴場は空いているようですが――。
「優希さん、個室風呂と大浴場、どっちにします?」
「個室風呂に入ります」
「じゃあ、お先にどうぞ」
「あの……ご奉仕が始まるみたいなんですけど」
「あっ」
そうだ!!!!!
ご奉仕がありました!!!!!
さっき優希さんが言ってたのってご奉仕のことですか!
「ベルさん、お風呂……一緒に入りましょう」
「マジですか!?!?!?!?!?」
「マジみたいです……」
そういう間にも、優希さんは服を脱ぎ始めます。まずは、セーターから。
「俺、服脱ぐところ何回ベルさんに見られてるんでしょうか……」
「なんか本当にすみません……!」
「でも嬉しそうじゃないですか!」
嬉しいです。何度でも見たいです。本当にエロいです。
優希さんがジーンズを脱ぐと、タイツが露わになりました。
あ、優希さん、下にタイツ穿いてたんだ……。うわ、タイツエロっ……。なんで黒タイツってこんなにエロいんでしょうか。
触ってみたいなあ……。
――急に、優希さんの手が止まり、脱衣が中断されます。
「ベルさん、もしかして今タイツ触りたいって思いませんでしたか?」
「え、思いましたけど……なんで分かったんですか?」
「ご奉仕に反映されたみたいで、ど、どうぞ……」
「いいんですか!?!?!?!?!?」
「ベルさんに触ってもらわないとご奉仕が終わりませんから……」
ベルは畳に膝を突き、優希さんの脚に手を伸ばします。
そして、優希さんの太ももを覆うタイツに触れます。
うわあ……エロっ……! タイツってこんなにざりざりした感触なんだ……!
「すごぉ……」
タイツ越しに感じる、優希さんの太もも。男性らしい、むちっ♡とした筋肉の硬さ。指を沈めるように押すと、筋肉に跳ね返されます。黒タイツの心地いい感触と相まって最高です。
「ベルさん……顔、埋めてもいいですよ」
「えっ、サービスですか?」
「そういうご奉仕なんですよ!!!」
優希さんは恥ずかしそうに赤面しながら叫びます。
い、いいの? そんなことしても……。でも、ご奉仕ですもんね……。やらないと終わらないですもんね……ぐへへ……!
そして、ベルは優希さんの太ももの間へ顔を突っ込みました。
両頬に感じる、優希さんの太もも。豊満な筋肉と、黒タイツの感触。
うわエロぉ……!!!!!
天国ですぅ……!!!!!!!!
「ベルさんの変態っ……!!!」
「すみませんすみませんすみませんっ!!!」
でもエロいです。本当にエロいです。
ありがとうございますぅ……!!!
ベルは優希さんの太ももへ頬擦りして、思う存分感触を楽しみました。
すると、優希さんの脱衣が再開されます。インナーを脱ぎ、おっぱいが露わになり、続けてパンツも――。
*
ベルは優希さんと一緒にお風呂から上がり、浴衣に着替えました。
すごかったですぅ……。
あわあわで、最高でした。
優希さんの体で、ベルの体を洗ってもらいました。
お金を払わずにこんなプレイしてもらっていいんでしょうか、と思いつつもしっかり楽しみました。
しかも、その次はベルが優希さんの体を洗いました。隅々まで男のカラダの感触を堪能しました。最高にエロかったです。
ただ――そこでご奉仕は終わってしまいました。
めっっっちゃムラムラします。身体が燃えるように熱く、苦しいです。
ここまでして肝心の本番はさせてもらえないなんて、拷問じゃないですか! ヤリたいです! セックスしたいです!
ベルと優希さんは、それぞれの布団へ横になりました。ベルは性欲に苦しみながら、彼の方を見ます。
お願いしたらヤラせてくれないかな……と、思っていたのですが――。
「あ……」
優希さんは、既に眠ってしまっていました。
戦闘は一回だけとはいえ、変身状態を維持してクナドの警戒を続けていたわけですから、疲れて当然です。
仕方ないですよね。
しかし、ベルは興奮しているので、もちろん眠れません。理性が爆発して彼を襲ってしまわないよう、必死に我慢することしかできません。
隣を見ると、優希さんはぐっすり眠っています。
こ、こっそりオナニーしてもバレないかな……?