ぽんこつ美少女Vtuberと最強無職 ~元無敗王者を人気配信者が放っておいてくれない~   作:世嗣

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必殺技はマジレス

 

 

 

 配信残り時間10分。勝利数、98。

 

 最後の一人は和傘を武器にしたゴールドランクのプレイヤーだった。

 

「『なよ竹バースト』ー!」

 

 広げた和傘から半透明の力場が放たれる。力場は地面を砕きながら俺に迫ってくる。

 破壊力は抜群。まともに食らえば俺の体力は消し飛んだところだろうが、流石に真正面から馬鹿正直に撃たれた攻撃に当たるほどではない。

 

「アクションスキル『空中疾走(エアライナー)』」

 

 俺は力場から逃げるように脇に跳ぶと、そのまま空中を数度足で蹴った。

 何度目かわからないスキル交換で手に入ったアクションスキルを使って俺は力場の範囲から逃げると、腰から刀を抜きつつ和傘のプレイヤーに肉薄する。

 

「これで、終わりっ!」

 

 白刃一閃。

 俺はアクションスキルの効果が切れないうちに数度空中を蹴って加速すると、身体を回転させて勢いをつけて相手を叩き切った。

 

「パッシブスキルとアクションスキルの噛み合いは良かったと思う。でも必殺技は攻撃特化よりも汎用性を高めた方が使いやすくなると思うよ」

「とほほ~、負けました~」

 

 相手のプレイヤーが涙のエモートを入れつつ消えていくのを見送ると、俺は大きく息を吐いた。

 

 そして、視界の端にあるコメント欄を見る。

 

――――――

〇うおおおおおおおお

〇マジで達成したぞ!?

〇ヒロ先生まじですげーわ!

〇99人斬りおめでとうございます!

〇いや~すごいもんみたわ~

〇これ伝説過ぎるだろ

〇99人斬りとか武蔵坊弁慶かよ

〇これ余裕でプロ並みの腕あるでしょ!

――――――

 

 すごい勢いでコメント欄が流れていく。

 ある程度は目で追えていたが、途中でうまく追い切れずにただ滝のように上から下に流れていく文字の残像を見るだけになった。

 

「わ、わわ……すごく文字が早い……すみませんちょっと追い切れません。こっちの世界での動体視力には自信があったんですが……」

 

――――――

〇かわいい

〇おじいちゃんモードきたね

〇俺が男に萌えるだと……?

〇こーれ萌えキャラです

――――――

 

「辞めてください私のような男を捕まえてかわいいとか。笑えない……って、あーあー

言った先からコメントが凄い速さに!」

 

――――――

〇先生、カレイドコア5期生最大の萌えキャラになれます

〇君は萌えキャラになれる!

〇かわいいよ……

〇見なよ、俺のヒロを……

〇おじさんは普通だったのに君のせいで大変なんだよ……

――――――

 

 ダメだこれしばらくは放っておいた方がいいやつだな。

 

 俺はコメント欄の勢いがある程度落ち着いてから、まずはこの配信を見てくれているリスナーに語り掛ける。

 

「とりあえず、これで99連勝終了ですね。みなさん応援ありがとうございました」

 

――――――

〇マジですごかった

〇お疲れ様でした!

〇かっこよかったです。ファンになりました

〇この柔らかい話し方の人が戦闘の時はキレキレなのは流石にメロすぎる

〇これからもどんどんVSしてほしい

〇時間10分の猶予残したの、すごい

〇まだまだおかわりしてもいいのよ?

〇ここから300連勝まで耐久しない?

――――――

 

「ご指摘の通り、時間が少し余ってしまったのはちょっと予想外でしたが、それもご愛嬌と言うことで」

 

 おそらくこれでなーちゃんとステラさんに向いていた話題とかは全部拭い去ることができたんではないだろうか。

 結構気合入れて戦ったし、面白いこともできた……と思う。

 

 あとはいい感じに配信を締めてしまおう。

 

「今日見てくださった方はありがとうございました。良ければチャンネル登録と高評価お願いします。それと私を拾ってくださったカレイドコア公式の方も――――」

「それは~、ちょ~~っと、つまんない終わりなんじゃない~?」

 

――――――

〇え?

〇今の声って

〇マジ?

〇アツすぎじゃない?

――――――

 

 ……おいおいおいおい。

 

「聞いてないぞ、これは……」

 

 ヴァーチャル・スクエアのバトルエリアである市街地の空が割れる。

 砕けた青の向こうには星の瞬く宇宙が広がっており、そこから光の(きざはし)がかかる。

 

「ふふ、何事もサプライズは大事でしょ~?」

 

一段、 また一段と降りて来る少女が一人。

 セミロングにしたメープル色の髪。夜見上げた星を思わせる澄んだ青の瞳。

 白と青を基調とした『王道のアイドル』とでもいうべきその衣装。

 

 ――――『陽向(ひむかい)ひなた』。

 カレイドコアの0期生。カレイドコアの始まりにして、今も最前線で走り続けるバーチャルアイドル。

 

「何しに来たんですか? 私は今99連戦という超重労働を終えたばかりで超疲れているんですよ?」

「99連戦って区切り悪いじゃん~? だから、最後の100戦目の相手は私がやってあげるよ~」

「いや区切り悪いて……」

 

 99連勝チャレンジやれって言ったのはお前が……ああ、つまりこれを最初から狙っていたのか。

 

――――――

〇もしかしてひなたがVSやるの!??!??!

〇うおおおおお一年ぶりとかじゃない!?

●心重ななの ひなた先輩私を配信に一人にして何してるんですか!?

〇すげ~

〇ひなたが後輩の初配信にわざわざ来るんだ

〇同時視聴はわかるけどなんか顔見せに来るのってアリなんだ

〇なんかななーのいるw

――――――

 

 ん? コメント欄が少しざわついてるな。

 俺は詳しくはないが初配信に先輩が来るって言うのはもしかしたらかなり異常なことなのかもしれない。

 

 なら、これはちょっとまずいのかな。どうにか落ち着けた方が良かったりするのか?

 

 俺がコメント欄の様子に、ひなたにどうするつもりか尋ねるつもりで目を向けた。

 

 すると、ひなたはいたずらっぽい顔でにこ~っと笑った。

 

「でもさ~、ひどいよね()()()()もさ」

「ん?」

「ひなたたちと全国大会を終えた後VS辞めちゃったと思ったら、今度は魔法学校の先生になることにしたんだ~」

「ちょ、おいそれ」

 

 それ、言っていいのか!?

 

――――――

〇ひーくん?

〇今聞き間違いじゃなければひーくんって言いました?

〇全国大会?

〇待って待って何の話?

――――――

 

「ちょ、おいひなた! それ言っていいのか!?」

「別に隠すようなことじゃないでしょ~。だって私が個人勢の頃ミヤコと、()()()()と組んでたのってちょ~有名だしさ~」

「いや、だとしてもそれは……」

「私のファンならたぶん誰でも知ってるよ~?」

 

――――――

〇え?は?

〇ヒロって、あのヒロなの!?

〇あの『アクシア』のエースの!?

〇たまたまおんなじ名前じゃなくてガチで同じ人なの!?

〇なんかすごい人なのかヒロ?

〇あー!どおりで見覚えある名前とスタイルだと思った!こいつ個人勢の時の陽向の配信にミヤコと一緒によく出てた!

――――――

 

 すごい勢いでコメント欄が加速する。その様子にひなたは満足げに、言葉を続けた。

 

「私がカレイドコアに所属する前、ヴァーチャル・スクエアの全国大会に出るために組んだチーム『アクシア』。そのチームメイトのV()t()u()b()e()r()『miyako』と『Hero』。そして、このヒロ・セブンス先生は、私のチームメイトの『Hero』その人なのだよ~」

 

――――――

〇うおおおお!?

〇ひむひなから時折名前出てた『ヒロ』!?

〇確か現役無敗だろこいつ!

〇ひむひなの個人勢時代の動画とかマジで見たことないから知らなかったわ

〇そりゃつよいわ

〇何年越しだよ。5年とか?

〇チーム『アクシア』復活!?

〇5年前のチャンピオンってことはロウカクとかと知り合いなのかな

〇アクシアメンバーってことはほとんど0期生みたいなもんじゃん、ヒロ

――――――

 

 あー、あー、もう駄目だ……これ完全に止まんない。

 確かに俺たちはひなたのために簡単な立ち絵で一緒に配信に出てはいたが、あれをVtuberって言っていいのかな。

 当時はまだVtuberじゃなかったミヤコがその後Vtuberになってるから、俺もそのくくりで見られている……ってことなのかな。

 

 まあ、なんにせよ、ひなたはこれがやりたかったんだろう。

 

 今回の事故が起きた際ひなたは、どう火消をすれば一番被害が抑えられ、かつ()()()()()()を考えた。

 馬鹿正直に話すだけだと沈静化はするがなーちゃんやステラさんに影響が残る。

 そこで、たまたまそこにいた俺に目を付けた。

 

 元チャンピオンというネタの面白さ。昔の知り合いという親しみやすさ。何より俺はちょうど無職だった。

 今回の盛り上がりを作るのに、俺がちょうどよかったんだ。

 

 たぶん別に盛り上がるなら俺でなくても良かったんだろうが、今回は俺に振ったというわけだ。

 

 俺は眉間を揉みつつ、ひなたを少し恨みがましく睨んだ。

 

「ひなた、やってくれたな」

「むふふ~、いいじゃんいいじゃん。どうせそのうちバレてたよ。撃っていいのは撃たれる覚悟があるやつだけだぜ、べいびー?」

「じゃあ俺もひなたの昔のポカを話してもいいのか?」

「え? 勝手に少女の隠したい秘密を暴露するのってどうかと思うよひーくん……?」

「お前が振って来たんだけどね?」

「ふん、どうせひーくんはひなたみたいな古参女よりもななーのみたいなぴちぴち学生に囲まれて先生やってた方が楽しいから、魔法学校なんかに行っちゃったんでしょ?」

「俺今日デビュー配信なのにそんな悪評を植え付けるのマジでやめてな」

 

――――――

〇仲良すぎだろw

〇そりゃおんなじチームメイトならそうなるかぁ

〇てことはヒロはバーチャル世界では学生のあと社会人になってそんでから魔法学校の先生になったってことか

〇永遠の18歳のひなたと同い年ってことはヒロ先生も永遠の18歳スか?

〇概念としては2020年代のVtuber育成学校卒業生とかと似てるか。前の側との連続性ありつつ、新しい経歴をゲットする感じ

〇ミヤコの反応が楽しみだなぁ

――――――

 

 ……思ったよりも、コメント欄が俺の『Hero』時代の話をしても肯定的だ。

 これはたぶん俺よりも先にチームメイトのミヤコがデビューしてたりするのが影響してそうだな。

 なんとなく、みんな「そういうもの」として受け入れられる土壌が出来上がっている気がする。

 

「じゃあ、久々にやろっかひーくん」

 

 光の階の上から俺を見下ろして、ひなたは微笑んだ。

 彼女が軽く左手を横に振ると、その青いアイドル衣装の周囲を温かい光が包み込む。

 

 ……ああ、仕方ないなぁ。

 そんな昔遊んでいた時みたいな、わくわくした顔されたら、俺もやらないわけにはいかないじゃないか。

 

 ちらっと時計を見る。俺の配信が終わるまで、残り3分。

 

「仕方ないなぁ。俺の配信あと3分で終わるから、それまでだぞ?」

「にゃはは~! 言っとくけど私強いよ~? 勝てるかな~?」

「勝てないと格好がつかないだろ。このあと俺は生徒とってVS教えるんだぞ」

「ならそのやる気に免じて、スキルと武器は使い慣れたやつに戻してもいいよ~。流石にそれでひなたと戦うほど無謀じゃないでしょ~」

「なら、お言葉に甘えさせてもらう」

 

 俺はウインドウを操作すると入れ替わっていたスキルを全て初期スキルに戻す。

 そして現役時代から使い慣れた、一振りの棒を手の中に出現させ、ぐるぐると回した。

 

「カウントは3。ルールは一撃結殺」

「制限時間は俺の配信が終わるまでのあと3分」

 

 俺が武器を構え、ひなたが踊るように空中でステップを踏んだ。

 

「『カレイドコア』0期生『陽向ひなた』。ヴァーチャル・スクエア最高レートは2234。第三回VS全国大会第三位」

「『カレイドコア』5期生『ヒロ・セブンス』。ヴァーチャル・スクエアの戦績は……これから作る」

 

 3、2、1。

 俺たちの間に浮かんだ数字がゼロになった瞬間、俺たちは駆けた。

 

「さあ、久々に遊ぼうよ、ひーくん!」

 

 ひなたの放つ光が爆ぜ、俺が切る風が嘶いた。

 

「―――『星光(シュテル)』」

 

 ひなたが手を――――正確にはその指にハマった指輪を媒介に光を操作する。

 すると、彼女の周囲に騎士の如く侍っていた光球が加速、俺へと向かって来た。

 

「――――なるほど」

 

 ひなたの武器は俺とチームを組んでいたころと同じ『魔法』。選んだ属性は『光』。

 他の魔法の属性よりもスピードが速く、射撃や砲撃にも利用しやすい汎用性が売りだ。

 

 ひなたとの戦いが長引けばこちらが不利になっていく。何よりアクションスキルを使われると厄介だ。塩試合になるのは悪いが、速攻で狩らせてもらう。

 

「――――『瞬間移動(ショートジャンプ)』」

 

 俺の使い慣れたアクションスキルを起動する。

 アクションスキル『瞬間移動』は、俺の視線の先数メートルの範囲に自分を転移させるスキル。使いやすいものの強力な分、クールタイムも非常に長いなどの欠点もいくつかある。

 

 だがそれも今落とせるなら無問題だ!

 

「おっとぉ~?」

「もらったぞひなた!」

 

 ひなたの背後に俺の身体が出現し、俺はそのまま鋭い一撃を叩き込もうとする。

 命中すれば間違いなくこの試合に幕を引く一撃だったが、それが当たる直前でふわりとひなたの()()()()()

 

「――――ふふ~」

 

 俺の耳に小さな笑い声が聞こえた。

 そして彼女はそのまま俺の目の前から離れて、重力の軛を振り払い、自由に()()()()()

 

「―――『斬撃(スパダ)』」

 

 そして俺の手の届かない上空へと飛んだひなたは、周囲に展開していた魔力の光を操作すると、そのいくつかを剣の形にして俺の方へと射出した。

 

「っと」

「お~、結構早いのに簡単に弾くねえ」

「一方的に遠くから攻撃するのはずるいと思わないか?」

「なんでもアリなのがヴァーチャル・スクエア、でしょ~」

「そうだけどもよ!」

「それに~高みにいて中々触れられない。すっごく、アイドルらしいでしょ~?」

「上手いこと、言うなっ!」

 

 またひなたが周囲の光球を操作して攻撃してくるので俺は棒でそれを弾きつつ、苦し紛れにひなたの攻撃で砕けたビルのコンクリ片を石突で吹き飛ばしてけん制する。

 だが、ひなたはそれを空中でステップを踏むように、優雅さすら感じる仕草でかわし、微笑んだ。

 

 ――――アクションスキル『飛行(フライト)』。

 文字通り使用者に自由飛行能力を与えるアクションスキル。

時間制限はあるものの、本人が望むままに自由に空を駆けるその能力は、俺がひなたと一緒に始めたばかりの初期VS環境においては、ちょうど大流行しているころであり、どのチームにも一人は『飛行』使いがいるのが鉄板だった。

 

だって「空を飛べる」というのは強すぎたのだ。

武器を魔法にすれば一方的に地面にいる敵に対して攻撃を仕掛けることができるし、そもそも対策を持ってきていないプレイヤーは相性の問題で一生攻撃が届かないことすらあった。

 弱点の一つであるアクションスキルの制限時間も、必殺技やパッシブスキルを利用することで大幅に軽減することもできた。

 

 欠点はないかと思われた初期の『飛行』最強環境だったが、結論から言うとこれは長くは続かなかった。

 

 体力を消費して攻撃する『魔法』武器の弱点を突く形で燃費のいい銃火器などの遠距離武器の研究が進んだことや、飛行中の敵への攻撃力が上がるパッシブスキルなどを積む人が増えたのだ。

 

 強すぎる戦術は徹底的にメタられる。対策法が周知された『飛行』は次第にその立場を弱くしていくことになる。

そもそも『飛行』自体が使うのが難しいスキルだったこともあり、なんでもかんでも飛行の時代はすぐに終わった。

 

しかし、『陽向ひなた』はその中で数少ない『飛行』を使い続けたプレイヤーだった。

 

 対策は認知されている。万能でないことなど周知されている。

 なのに、ひなたは誰よりも長くフィールドの空を自由に駆け回った。

 彼女が空を飛ぶ限り、誰も彼女のことを捕まえられない。触れることすら許されない。

 

 光を纏い、誰にも触れられぬ空で一人踊る、バーチャルアイドル。

 

 ―――『陽光歩き(ルミナステップ)』の陽向ひなた。

 

 いつだって頼りになる俺の元チームメイト。

 

 普通こういう飛ぶのが上手い魔法使いには持久戦を仕掛けて、魔法をガンガン使わせることで、魔力と共用のHPゲージを削るのが鉄板なんだが……。

 まあひなただと無理だろうな。

 

「スキル構成は昔と変わらないんだな。一つくらい変えてるかと思ってたぞ」

「これが慣れてるからね~。それに、わかってても対応できる人ってあんまりいないのですよ~」

「そりゃまあ、パッシブスキルで永遠に回復してくる魔法使いなんて、有無を言わせず殴り切るしかないもんな」

「ミヤコとひーくんと考えた構築だもんね~。そうそう弱点などないのですよ」

 

 空を飛んだ状態のまま、むふんとひなたが胸を張った。

 

 ソロで戦う時のひなたのパッシブスキルは『自動回復』。

 自分のHPが半分を切った場合、一定時間ゆっくりとHPが回復するスキルだ。

 回復量はたかが知れているし、俺みたいな近接ビルドでは頼りにできる程のものではないのだが、ひなたくらい飛ぶのが上手くて相手の攻撃を食らいにくいのなら、馬鹿にできない回復スキルになる。

 

 つまり『陽向ひなた』は空を飛びながら魔法使いと思えない高耐久で永遠に一方的に攻撃してくるという魔法使いビルドなのだ。

 一人だけ気持ちよくなるゲームやるな。

 

「さ~どうする~? そろそろ配信終わっちゃうよ~? ひーくんのいつもの手札だと決め手に欠けるんじゃない~?」

 

 確かにそうだ。俺のは基本的に近接ビルド。

 基本的にはこういう空を飛ぶ相手には長期戦を仕掛けるのが基本戦法になる。

 

「でも、悪いなひなた。今回のフィールドは既に()()()()()()()()

「……?」

 

 俺がニッと笑って見せると訝し気に眉を寄せたが、すぐにハッとしたように目を見開いた。

その目線の先には俺の手の中にある武器だ。おそらく俺の武器が必殺技の待機状態の証である淡い光を宿していることに気が付いたんだろう。

 

 だが、もう遅い。

 なんとなくお前が9()9()()って言ったあたりで、もしかしたら100戦目にまともに戦うのが馬鹿らしいくらい強い人が来るかもしれないとは思っていたんだよ。

 

 まさかお前とは思わなかったが、今回はちゃんとそういう人を狩るための必殺技を設定しておいた。

 

 技名は、これだ。

 

「伸びろ、『如意棒』!」

 

 俺が技名を口にした瞬間、『()()()()()()()()()()()()()()()()()』という必殺技の効果が俺の武器に付与された。

 

「わーお……」

 

 俺が今回倒したプレイヤーは99人。普通に遊んでいたらこんな人数達成できない。だが、70分近くの時間をたっぷり使った勝ち抜き戦で、普通に遊んでいたのではありえないバフが与えられている。

 そのサイズはもはや棒というよりも、巨大な建造物だ。ほとんど学校の校舎でもぶん回しているようなもんだった。いくら空を飛んでいると言えども、これでは逃げ場などない。

 

「なんでもアリなのがヴァーチャル・スクエア、だよな?」

「……こりゃこうさ~ん」

 

 超巨大な俺の武器の影に覆われたひなたは楽しそうに両手を挙げて、そしてそのまま叩きつぶされた。

 

――――――

〇決 着 !

〇くそわろてる

〇wwwwwwww

〇こんなのアリ?

〇た、確かに今まで一度も必殺技使ってなかったけどさあ!

〇100戦目メタ必殺技でマジレスパンチ、流石っす

〇ひなたがぶっといやつにやられちゃった!

〇撮れ高も満点すぎる

――――――

 

「よし、これで100勝! やってやったぞ! というか、時間がヤバい! あと20秒しかないんでさっさと締めます!」

 

――――――

〇うける

〇ひなたが来るからさぁ

〇もう配信終わりか

〇なんか短かったような長かったような

〇情報量多すぎね

――――――

 

「みなさん今日は私の配信を見に来てくださってありがとうございました! 今後もカレイドコアの一員として恥ずかしくないよう粉骨砕身していくので、応援していただければうれしいです! これでぴったり90分!」

 

【 この配信は終了しました 】

 

 

――――――

〇終わったwwwwwww

〇そんな律儀に90分にせんでもいいのに

〇お疲れ様です!

〇おつセブンス~

〇おつヒロ~

〇とんでもねえ新人がやってきた

〇実質0期生

〇これは祭りが始まりますよ

〇ななーのとスーちゃんの先生をこの人がやるのか。どうなるか楽しみ

〇え、ちょっと待ってXでなんかミヤコが反応してない?

〇ロウカクがなんかヒロのポストをリポストしてるな

〇やば、100人斬りがトレンド入りしてる

――――――

 




 
激動の初配信、終了。

以下、今回のひなたとヒロのアビリティ構成です。


アビリティ構成

NAME 『陽向ひなた』
武器 『 魔法 』
武器スキル 『 魔法属性(光) 』
 →光属性の魔法を操ることができる。速度+攻撃力にボーナス。
パッシブスキル 『自動回復』 
 →HPバーが半分になった時一定時間HPが僅かずつ自動回復する。
アクションスキル 『飛行(フライト)
 →一定時間飛行能力を得る。飛行時は本人のイメージで空中を動ける。飛行時被ダメージ増加。
必殺技 『 全力形態(フルドライブ) 』
 →一定時間魔法使用にHPを消費しなくなる。
備考:『カレイドコア』所属のVtuber。バーチャルアイドル。ファンからの愛称は『ひむひな』『ひなた先輩』など。



NAME 『ヒロ・セブンス』
武器 『 棒 』
武器スキル 『 ルーティーン 』
 →手の中で武器を回すと数秒間ダメージにボーナス。
パッシブスキル 『危機感知』 
 →死角からの攻撃が来るときにアラートが鳴る。
アクションスキル 『瞬間移動(ショートジャンプ)
 →視線の先数メートルに転移できる。転移の際は一瞬のラグがあり、出てくる瞬間は空間が歪むためチーム戦では対処されやすい。クールタイム長。
必殺技 『 如意棒 』
 →ゲーム中に同フィールド内で倒したプレイヤーの数だけ武器を巨大化し、攻撃力に補正をかける。
備考:『カレイドコア』所属のVtuber。新任教師。今回のスキルは99人抜きをするために調整してある。
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