ぽんこつ美少女Vtuberと最強無職 ~元無敗王者を人気配信者が放っておいてくれない~   作:世嗣

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開会式は騒然

 

 

――――――

〇ついにこの日が来たな

〇一年に一度の楽しみや

〇このために年休とって来た

〇今年のロウカク、かなり力入れてくれていてうれしい

――――――

 

「えー、そろそろ準備よろしいみたいですね」

 

――――――

〇うおおおお

〇やったー!

〇きたぞ~

――――――

 

「ではロウカクカップ、開会の挨拶をさせていただきます。本日行うのはヴァーチャル・スクエアのランクがゴールド以下のプレイヤーを集めた初心者大会となっています」

 

――――――

〇今回力入ってるからな~

〇フラゲとか個人勢はともかくカレコアとメロウからもきてるのすごい

〇めっちゃロウカク頑張ってそう

〇いつものルディだ

――――――

 

「はい、では俺からご挨拶を。MCはみなさんご存知、FLAG+のクール枠、LUdy(ルディ)が務めさせていただきます。よろしくお願いしますね」

 

――――――

〇安定のルディ

〇女たらしのルディ

〇今日も顔がいいぞ~

〇ナンパ野郎~

――――――

 

「リスナーからの愛の言葉を受けたところで、次は今日の解説にもご挨拶いただきましょう。カレイドコアの月綴ミヤコさんです!」

「はい、ご紹介に預かりましたカレイドコアの月綴ミヤコです。本来はこのような大会の解説ができる実績ではないのですけど、頑張って解説させていただきますね」

 

――――――

〇ミヤコママだー!

〇またまたご謙遜を

〇実績がない(全国優勝チーム司令塔・ソロ最高レート2200・三回大会ベスト8)

〇ミヤコママ、えっちだ……

〇ミヤコの解説分かりやすいから助かる

――――――

 

「誰がママよ。その呼び方やめなさいっての」

「はは、ミヤコちゃんとは久しぶりだね。二年前の全国大会以来かな?」

「ルディさんもお変わりなさそうですね。相変わらず女の子引っ掛けて遊んでるとか聞きますよ」

「それロウカクの広めてる悪評ね。ガチだったら骨も残らんレベルで炎上してるでしょ」

「あはは、でしたかー」

 

――――――

〇ある意味ロウカクの信頼だから

〇ロウカクとルディはこの距離が良いんだから

〇実際は誠実だってコラボ相手よく言うしな

――――――

 

「それで、このあとはどのような流れになるんですかルディさん」

「このあとは招待された8チームそれぞれに自己紹介と、この大会の意気込みを話していただこうかと。準備ですが……お、今できたみたいですね。では、それぞれのチームから挨拶していただきましょう」

 

――――――

〇たのしみ~

〇今回は初心者大会だからかなり環境見えないんだよなぁ

〇コーチが無双できるわけでもなさそうだしなぁ

――――――

 

「まずは我らがFLAG+からの出場! 『問題児連合』のカンナ・ハートロットと鐘氷つらら! コーチはみんなご存知ロウカクです!」

「今日もみんなに良き悪夢~。みんなのカンナちゃんだよ~。今日は応援よろしくね~」

「どうも、FLAG+の鐘氷つららです。みなさん今日はよろしゅうおねがいします」

「よお、俺だぜ。ロウカクだ。待ったかお前ら?」

 

――――――

〇ロウカクきた~~~!

〇今日も気持ちいい勝ちを見せてくれ

〇カンナちゃんがんば!

〇練習配信からレベル高かったから楽しみだわ

――――――

 

「流石の人気ですね、ロウカクさん」

「流石のウチの顔ですねえ。では、問題児連合のみなさん意気込みのほどはどうですか?」

「優勝だ。それ以外意味がねえよ」

「おお、強気な発言だね」

「あと野良猿は俺が倒す。おい、聞いてるか野良猿、俺と当たっても逃げるなよ?」

「あ、ちょっとロウカク! このチームのリーダーはカンナだよ! 私より先に答えないでよ!」

「い~~んだよカンナ。お前がリーダーなのはくじで決まったからだろうが」

「でもリーダーなのはリーダーだから!」

「ならまずは俺に一本でも取れるようになってから言えってんだよ!」

「いじわるいじわる!」

「あ、あはは~~! うちのチームはやる気十分です! 力合わせて頑張りま~す! ではルディさんお返しします~!」

 

――――――

〇ロウカクさんww

〇またこの人野良猿のこと話してる……

〇なんでこの人野良猿の話するときマダラみたいになるの?

〇ロウカンの兄妹感だいすき

〇お労しやつら上……

〇不憫可愛いのがつららのいいところ

――――――

 

「ロウカクさん、ほんと変わんないわね」

「これでも相当丸くなったんだよ。昔みたいな無茶苦茶は言わなくなったし。いや、ほんと昔は大変でね……」

「苦労してるのね。ちょっとわかるわ。うちもかなりひなたが破天荒だったし」

 

――――――

〇箱の顔がフリーダムなの、たいへん

〇ロウカクはそこがいいところだから……

〇炎上しないロウカクなんてロウカクじゃないという原理主義者もいる

〇今は大人になった

――――――

 

「さて気を取り直しまして、次はメロウティアラから『るなみっく』! メンバーは『春夏秋冬(ひととせ)めぐる』さんと『シンセア・ローレライ』さん、コーチ枠には『祝部(はふりべ)ゆずり』さん!」

「では、るなみっくのみなさんお願いします。聞こえてますか~?」

「は~い。春はあけぼの季節はめぐる~。メロウティアラの春夏秋冬(ひととせ)めぐるでーす。今日はゆずりちゃんとがんばりまーす」

「森の奥からみんなに不思議なご案内。メロウティアラの魔女のおねーさんこと、シンセア・ローレライです。今日はみなさんよろしくお願いしますね?」

「ご清聴に感謝します。生徒会長祝部ゆずりです。みんなと一緒に頑張らせていただきます」

 

――――――

〇会長きたーーーーー!

〇メロウくるの、何度見てもすごい

〇四季にゃん、山から下りて来ていたとはな

〇レアキャラだわ

〇ちゃんと来て偉い

――――――

 

「ははは、コメント欄も大盛り上がりだ。では意気込みの方、おねがいします」

「はい! ではゆずりちゃんどうぞ!」

「どうぞ~」

「え? 私ですか? そうですね……。シンセアちゃんもめぐるちゃんもすごく上達したと思うので、この大会でその成果を見せてくれると思います。私はその足を引っ張らないように頑張りますね」

 

――――――

〇四季にゃんもシンセア様もうまくなった

〇という会長が一昨日周年ライブしたばかりという

〇なんでこの人周年ライブの練習しつつ大会練習もできてたんですかね

〇会長は体力バケモンすぎね

――――――

 

「ありがとうございました~。いやあ、メロウティアラから来てくれるとは有り難いですね」

「祝部さんがこの大会にスケジュール押さえるなんてかなりすごいわよね。一昨日周年ライブしてなかった?」

「そこはメロウティアラさんが調整がんばってくださいました。感謝!」

 

――――――

〇シャッチョよくやった

〇サンキューシャッチョ

――――――

 

「では次はミヤコちゃんも所属するカレイドコアから『マギティック魔法学校組』! メンバーは心重ななのさんと、ステラ・マギティックさん。そして、話題の『100人斬り』ヒロ・セブンスさんです!」

「はーい。ではみなさん順番にあいさつお願いします」

「やっほー! こんなの~! カレイドコアの心重ななの~~~、ですっ! 今日はヒロくんとスーちゃんとがんばりま~す!」

「う~~! 今日は下から登場! ステラだよ~! せいいっぱい頑張りま~す!」

「みなさんこんにちは。カレイドコア所属のヒロ・セブンスです。応援していただければ幸いです」

 

――――――

〇野良猿ゥ!

〇野良猿ゥ!

〇野生のロウカク大量発生し過ぎだろ

〇野良猿ゥ! お前は俺の新たな光だァ!

〇ななーのだ~!

〇スーちゃんとななーのが並んでVS大会に出る日が来るとはね

〇100人斬り、本物は初めて見たわ

――――――

 

「ロウカクさんのせいで俺のあだ名、野良猿になってませんこれ?」

「ちょっとフラゲ訴えたら勝てそうねこれ」

「ちょ、勘弁してよ!」

 

――――――

〇wwwww

〇ロウカクさんまずいですよ!

――――――

 

「では気を取り直しまして、意気込みの方をお願いします!」

「勝ちます! ぶいっ! お姉ちゃんも応援してね!」

「ふふ。まあ、解説の域を出ない程度でね」

「えっへへ~」

「という会話が既に解説の域を出てる気はしますがね、私ルディとしては」

 

―――――

〇ミヤコママ、デレデレである

〇スーちゃんに甘いなぁ

〇この二人こんな感じの関係なのか

――――――

 

「あはは~。でも意気込みはスーちゃんと同じなので。ね、ヒロくん?」

「そうですね。ななのさんもステラも二週間前から大きく成長したと思います。大会を見てくださるみなさんも楽しめるよう、頑張ります」

「やる気十分ということで。では、ありがとうございました~」

 

――――――

〇物腰丁寧だな~。ロウカクと全然違う

〇静のヒロ、動のロウカク

〇ななーの、ざこぽんしてもいいぞ

〇この感じでロウカクに勝てるんかね。流石に無理そうだが

〇先生は戦ったらキレキレになるギャップがいい

〇ロウカクたちと戦って欲しいな~

――――――

 

「途中ミヤコちゃんが妹にデレデレになるというアクシデントはあったものの、いいインタビューでしたね」

「ないわよそんなの」

「そうだったかなぁ」

「そうだったわよ」

 

――――――

〇そうかな……そうかも……

〇あんたほどの人が言うなら……

〇アーカイブ要確認ですねこれは

――――――

 

「ではどんどん行きましょう。次は個人勢連合であるチーム――――」

 

 

 

 

『ということで選手紹介を終わります。大会は30分後から開始です。では今しばらくみんな待たれよ~!』

 

 開会式が終わり、私たちは大会までの残り時間に向けて最後のミーティングの時間になった。

 まだ私の――――心重ななのの新枠は開けていない。

 試合開始まで残り20分になりバトルフィールドへの移動ができるようになってから、そのエリアで配信を開始するという方針になっていた。

 

「ふー……」

「あ、なのちゃん緊張してる~?」

「えへへ、バレちゃった?」

「そりゃそんだけ露骨に深呼吸してたらね~」

 

 スーちゃんが私に抱き着いて来て、私の胸元に顔をうずめてからこちらを見上げてきた。

 そして、私を勇気づけるようににこっと笑ってくれた。

 

「だいじょーぶだよ。今日に向けてたくさん練習したし、スキルの構成も、必殺技も色々考えたじゃん!」

「確かに、そうだね。弱気になるなんて、らしくなかったよね」

「そうだよ! いざとなればお兄ちゃんもいるし、なんとかなるって! ね、お兄ちゃん!」

「あんまり頼られても自信はないけど、緊張はほどほどにしておくのが一番だよ。楽しむことを第一にしてほしいな」

 

 そう言ってヒロくんはいつものように薄く微笑んだ。昔から変わらない、誰かを励ますような優しいものである。

 

「―――ん?」

 

 不意に近くのフィールドの空間がぐんにゃりと歪んだ。

 

「やほ、インタビューお疲れさま。ちょっと顔見に来たわよ」

「お姉ちゃんだ!」

 

 歪んだ空間からミヤコ先輩が現れた。

 服装は初期衣装であるサイバー感があるかっこいい感じのもので、綺麗な黒髪には緑のメッシュが入っている。表現するなら『かっこいいサイバー狙撃兵』とでも言ったところだろうか。

 

「お疲れさまです、ミヤコ先輩!」

「私は大したことしてないから。むしろ、ななのたちはこれから頑張ってね」

「は、はい!」

「お姉ちゃんMCお疲れさま! すっごい手馴れててかっこよかったよ!」

「はいはいありがとありがと」

 

 スーちゃんが現れたミヤコ先輩に駆け寄って抱き着くと、ミヤコ先輩の頬が緩んだ。

 そんな様子を見てか、ヒロくんがくすりと声を漏らしたのだが、ミヤコ先輩はそれを目ざとく見つけたのか、きろりとヒロくんを睨んだ。

 

「あによ」

「いや、本当にステラと仲良いんだな~って」

「何が言いたいわけ?」

「別に何でもないって」

 

 睨まれてもヒロくんはどこ吹く風で、のんきにウインドウを操作して時間なんかを見ていた。

 

 ヒロくんとミヤコ先輩、そしてひなた先輩は学生時代に組んでいたチーム『アクシア』のメンバーである。

 特にミヤコ先輩とヒロくんは小学生のころからの付き合いらしく、その分他の人よりもお互いの距離感に気安さのようなものがある気がする。

 未だに『年下の子ども』扱いをされている私からすると、ちょっぴりうらやましいところがある。

 

「そろそろ時間だし、俺らはフィールドに行こうか。ミヤコもMC頑張ってな」

「んー」

「あ、お兄ちゃん待ってよボクも行く! じゃあねお姉ちゃん!」

 

 ヒロくんは最後に軽くミヤコ先輩にあいさつすると、私たちに声をかけて先にフィールドに転移していった。その後を追うように慌ててスーちゃんが転移していった。

 

 おっとと、少しうっかりしてたら二人に置いて行かれてしまった。私も早く転移しないと。

 

「じゃあミヤコ先輩、私もそろそろ―――」

「ねえ、ななの。あんた、ヒロとロウカク、どっちが強いと思う?」

 

 私の言葉を遮るように、急にミヤコ先輩が質問してきた。

 

「え? なんで急にそんな……」

「いいから」

 

 なんでそんなことを急に聞いてきたのか意図がわからず、首を傾げてしまったが、有無を言わせぬ態度のミヤコ先輩の言葉に、質問に対して頭を巡らせてみる。

 

 ヒロくんと、ロウカクさん。元無敗王者と、現役最強の二人。

 昔はヒロくんが強かったらしいが、ヒロくんにはブランクがある。

 さっきロウカクさんとヒロくんが軽く手合わせした時は『腕はなまってない』とか言われてたけど、実際戦ったら二人がどうなるかなんて私にはわからない。

 

 なので私は、正直に答えるしかない。

 

「わからない、です。私、VSの腕はないので……」

「……そ」

「でも。でも、ですよ」

「でも?」

 

 そうだ。私にはヒロくんがロウカクさんより強いかなんてわからない。

 

「私、ヒロくんならロウカクさんに勝てるって信じてます。そのために、私もできることは全力でやるつもりです!」

「……ふふ、ななのとステラの二人がメインの大会なのに?」

「あっ、いや、それは……私たちもがんばる前提でと言いますか……」

「あんた、ほんとに素直で嘘つけないのね」

 

 ふふ、と微笑んだミヤコ先輩が私の頬に手を添えた。

 私よりも身長が高くてすごく整った顔立ちのアバターをしているミヤコ先輩がそんなことをしてくると、流石にちょっとドキリとしてしまった。

 

「なら、そんなななのの素直な答えに免じて、アドバイス与えとく」

「アドバイス、ですか?」

「そう。ここぞという時に生きるかもしれない、ね?」

 

 そう言って、ミヤコ先輩は楽しそうにウインクをひとつ私に飛ばした。

 

 

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