「……っ、やっぱり!」
ブラックマーケットに残った夏油と、途中で用事があると言い寄り道をしたホシノを除いて、一足先にアビドスへ戻ってきていたセリカたちは、目的だった書類に目を通していた。
「夏油さんは「カイザーが裏で手引きしてる」って言ってましたけど…まさかこんなところにまで及んでいたなんて」
「……アビドスで788万円集金した後すぐに、カタカタヘルメット団へ任務補助金500万円の提供……」
「目的があるとは言ってましたけど、夏油さんも目的自体は知らないと言っていましたもんね」
”ユメから聞いたけど……2年前の砂漠で夏油さんに救けてもらった際に、カイザーPMCの運営してる工場が近くにあったんだって”
「なんで工場なんか……?」
「PMCって、軍事施設よね?あんな砂漠のど真ん中に軍事施設を建てても、意味がないと思うんだけど」
”…それは今考えても仕方がないよ。とりあえず、カタカタヘルメット団とカイザーコーポレーションが繋がってることがより明白になったことだけを覚えておこう”
「そうしたら……カイザーに直接文句つけに行く?」
「シロコ先輩はなんでそうすぐ物騒な方向に行っちゃうんですか!?」
「あ、あはは……」
思いがけず巻き込んでしまった阿慈谷ヒフミに礼を言い、ヒフミを見送る。
「そ、それでは、ありがとうございました!」
「今度はそっちに遊びに行くから、そのときはよろしくー」
「このこと、ティーパーティーにも報告するので……!!」
「え、ティーパーティーと懇意にしてるの!?」
「はい、ナギサ様とは時折話すことがありまして……」
「……そんな子がブラックマーケットでペロロのグッズを……」
「うっ」
談笑を交えつつ、先生が切り込む。
”まあ、とっくにティーパーティーはこの現状を知ってるだろうね”
「え?」
”あれほどの規模を持つ自治区なんだし、実際マンモス校だし。そこの首脳部なら知っててもおかしくない”
「……それに、今のアビドスは弱小だし……サポートという名目で悪さをされても何も言えない」
「そ、そうですか……政治って難しい…」
「……あれ、もうこんな時間?夏油さん遅いね」
「ホシノ先輩!おかえりなさい!」
「ただいま。…それで、今は見送り?」
「うん、でも夏油さんがまだ帰ってきてなくて」
「あの程度ならすぐに帰ってくるはずなのに……どうする、探しに行く?」
”……その心配はないみたいだよ、ほら”
先生が仕事用の端末にきたメッセージを見せる。
「え」
「は!?何やってるのあの人!?」
「連邦生徒会に呼び出されたってどんなことしてるんですか……」
「そう言えば数ヶ月おきに「今日は呼び出しが来たから」とか言って、D.U.地区に行っていた気がします……まさか連邦生徒会だったなんて」
”夏油さんは連邦生徒会の中でも、「特殊現象対策部」の顧問をしてる人だからね。立場としては、私と同じ先生だけど……まあ、基本は講義が中心らしいよ”
「特殊……現象対策部?そんなの聞いたことありません」
「……」
「ホシノ先輩?」
「んや、なんでもないよ〜。…ヒフミちゃん、そろそろ帰らなきゃじゃない?」
「はっ、そうでした!みなさん、またいつか会いましょう!それではー!!」
「……なんか、どっと疲れが来たわね…」
「今日はもう解散にして、また明日集まりましょうか」
・・・・・
「──だから、君たち生徒は呪霊の認識が可能であり……呪霊に対する対策ができるんだ。わかったかい?」
「「「はい」」」
「ふふ、いい返事だ。……さて、今日の講義はこれにて終わり。気を付けて帰るんだよ」