夏油スグルという存在は、元々この世界には居るはずのない異物だった。それでも、ホシノやユメを始めとしたアビドスが世話になっていたことに間違いはない。まあ、元々ホシノにとっては夏油が居なかったことが日常だったのだからどちらでも良いことだが。
「……ごめんね、ホシノちゃん」
憧れの先輩の声が聴こえる。血まみれになり、砂だらけにない、足が震えている先輩の声。
今すぐに助けたくても、何故か足が動かない。
そのまま、梔子ユメは死んだ。
「……はっ!」
……夢だ。そう、さっきのは悪夢だ。汗がひどい。視界を確認する前に柔らかいものが顔に当たったのは、きっと魘されてたホシノにノノミが膝枕をしてあげていたのだろう。空が半分しか見えない。
「ホシノ先輩、大丈夫ですか?」
「あー……うん、だいじょぶ。ちょっと悪い夢を見ちゃっただけだからさ、気にしなくっていいよ」
「そうですか……起きますか?」
「うん。……みんなは?」
「柴関ラーメンが爆破されたらしくって、今はそこで戦闘をしてるみたいで……」
「……そっか、行くよノノミちゃん」
「はい!」
・・・・・
「なになになになに!?なにこれなにこれなにこれ!?」
「わかんないわよ!さっさと手動かして!!」
”みんな、とにかく防御に徹して!攻撃は最小限に!”
わけのわからない、謎の異形。銃弾くらいしか攻撃が通らず、これまた謎の理由で出張ってきたゲヘナの風紀委員会も、柴関ラーメンを爆破した便利屋68も、総出でこの謎の生物の対処にあたっていた。
「っ、委員長は!?」
「ごめん無断で来ちゃったからちょっと今は」
「何やってるんですかあなた!?」
「……文句ならアコ行政官に言ってください……」
「……なんかすいません」
「ほら来るよ!」
謎の生物は、これまた謎の力を使用する。3つの地点にマーキングをし、それを線で結んだ内側を、強制的になんらかの領域とするもの。そして、その内側では異形の攻撃が必ず当たってしまう。あと、範囲が広い。
遠距離で対処を余儀なくされるものの、テリトリー内での異形のステータスが恐らく上がっていることと、再生能力。これらの要素が絡み合い、今までの生徒たちの人生で一番厄介な敵として立ちふさがっていた。
「もう弾薬が底を尽きそう……!」
「っ、便利屋、これ使って!もうなりふり構ってられない!」
「恩に着るわ!」
その様相は、まるでいたちごっこのようだった。いくら銃弾で傷をつけようにも、再生能力がそれを阻む。そして、相手の攻撃が此方に必ず当たってしまうこと。遮蔽物を通しても、戦車の中でも関係なく、「当たる」という事実のみが残る。
「みんな!ごめん遅れた!!」
「ホシノ先輩!ノノミ先輩!」
「ごめんみんな。アコには後で説教しておくから。……今はコイツの……”呪霊”の対処にあたるよ」
「はい!!」
異形の正体は、呪霊。負の感情から産まれる霊的現象であり、夏油スグルが最も得意とする分野である。……だが、夏油スグルはまだ来ない。
この呪霊の術式は、ドルゥヴ…パンツ爺に近い感じです。間違いなく特級(虫くんよりちょい強いくらい)なので夏油案件なのですが、夏油はまだ帰ってきてません。早く来いや