「先生!夏油さんから呪霊の概要は聞いてる?」
”あ、うん!えっと、君は確か……ヒナ、だっけ?”
「ええ。ゲヘナ学園3年、風紀委員会委員長の空崎ヒナ。よろしく言ってる場合じゃないし、今は私の話を聞いてほしい」
”うん、わかった”
ヒナは先生に、今回出現した呪霊の概要を伝える。
「まず、呪霊には等級が存在する。下から4級、3級、準2級、2級、準1級、1級、特級よ」
”……今回の呪霊は?”
「そうね……私の知識で言うのなら、今回の呪霊は恐らく特級になる可能性が高い」
”な!?”
「まず、呪力とは別に、術式という能力のような物を持ってるの。呪霊は術式を持っていたら、どのような強さであれ準1級以上に分類される。……そしてイオリやチナツからの報告を聞くに……」
この呪霊の術式は、マーキングを施した内部を必中の領域とする術式ね
”……まず、領域って何?”
「呪術の極地……らしいわ。…とりあえず、みんなは外から叩くよ。私は──」
風紀委員と便利屋、対策委員会に指示を出し、そのまま呪霊の領域内へと突っ込むヒナ。
”ヒナ!?”
「夏油スグル直伝……シン・陰流簡易領域!!」
直接、叩く。
・・・・・
「……!」
夏油スグルは空崎ヒナに、とある呪術を施している。空崎ヒナが簡易領域や結界を展開した時、即座に呪力や神秘を通した連絡が行くというものだ。
「そうか、ヒナが簡易領域を……」
ならば特級。それも、領域を扱えるほどの。
「……向かわなくてはいけないな。面倒だけど……まあ、手持ちが増えるのは良いことだ」
反応があったのは近辺。ホシノと黒服がこの世界線でいつ接触しているのかはわからないが、恐らく一緒にいるだろう。
ホシノに「すぐに向かう」と連絡を入れておき、すぐにエイの呪霊……空を泳ぐことのできる、移動用の呪霊を出す。
「くっくっく……さて、持ち堪えてくれよ?」
・・・・・
「ふぅー……!!」
「委員長!?なんですかそれ!?」
「説明は後!当たらないから撃ちまくって!!」
「は、はい!!」
夏油は知る由もないが、先生と黒服は既に接触している。神秘も恐怖も、もう知っている。
そして、
”ホシノ、右に3歩!カヨコは左に6歩!チナツは右斜め後ろに4歩!”
「「「はい!」」」
呪霊は通常、視ることが出来ない。死に直面していれば例外ではあるらしいが、今の先生は戦闘が行われている場所とは離れており、先生自身の命が脅かされているわけでもない。
ならば何故、かの者は呪霊を……しかも電子機器越しに認識できるのか。
”(なんで私に呪霊が今見えているのかはわからない……でも、自然とわかる。ヒナのあれは、呪霊の領域の効果を妨げるもの。そしてそれは、きっと永くは続かない。だから、それまでに……そして、夏油さんが来るまでにあの呪霊を倒す!!)”
「っ、一旦離れる。弾頂戴」
「はい、委員長!」
「ノノミちゃん、弾薬足りそう!?」
「まだいけます!!」
「ハルカ、下がって!」
「は、はいぃぃぃっ!!!」
呪霊──目玉だらけの、おそらく……牛のような姿形をしている呪霊の術式は、自らの眼球を触媒にして銃弾を発射し、最初の3点に撃ち込まれた銃弾を起点として、それらを結んだ三角形の内側を領域とするもの。
その領域内では、呪術の極地である領域展開と同等の効果を持つ。つまり、領域がデフォルトで組み込まれている術式である。
「はぁっ、はぁっ……」
焦り。それは空崎ヒナと小鳥遊ホシノ、そして先生の頭の中に、無意識にあったもの。
今の彼らは冷静さは欠いていないものの、どこかで「夏油スグルはまだ来ないのか」という考えが頭の中でぐるぐると渦巻いていた。ヒナは呪力を用い、何度も、何度も簡易領域を展開している。だがそれも永くは保たない。いずれ破れるものだ。
そしてその時は、今である。
「ぁ……っぐう……!!」
「「委員長!!」」
呪霊の放つ銃弾は呪力の塊。そして、呪いは恐怖と似て非なるモノであり、神秘とギリギリ相反している。ヘイロー……神秘を持つ生徒が色彩に接触し、反転すると精神を壊すように。
呪霊の呪力に接触した神秘は荒れ狂い、毒となって主に牙を剥く。
「っづあああ……!!ゔああああああ!!」
「まずいまずいまずいまずい……!!委員長がやられたらいよいよ終わりだ!!」
「っ、私が行くしか──!!」
小鳥遊ホシノが、空崎ヒナの代わりに捨て身の特攻を仕掛けようとした瞬間。
「──領域展開」
呪いの希望が、光となって舞い降りる。
そう言えば8話で領域使えない的なこと言ってましたね。すいません、間違えてました。割とライブ感でやってる節があるので、書いて修正してを繰り返すことが多くなると思います。感想とともに、「ここおかしくない?」があれば、遠慮なく言ってくれれば嬉しいです。