「まさか、アビドスの土地がほとんどカイザーコンストラクションの土地だったなんて……」
「夏油さんが言っていたのは、こういう事だったんでしょうか」
「……生徒会も、ここまでしなきゃ借金を返せなかったんだろうね」
「そこで土地を使って何かを企んでいる、と」
「許せない……!!」
”……アビドス砂漠へ行こう、皆”
「「「「「はい!」」」」」
「……私は行かないからね。まだ業務が残ってる」
”承知してるよ、夏油さん”
「……私が知ってることは、それ以上のことは、ヒナ伝てで聞いたこのセクターにあるだろう。後は、君たちの力で進むんだ」
「勿論」
・・・・・
「……此処から先が、元々砂漠だった所。……そして、夏油さんと出会った場所でもある」
「え、そうなんですか?」
「もともと夏油さんが砂漠で遭難してたところを、ユメ先輩は同じく遭難してたユメ先輩を救けてもらったんだ。ユメ先輩の命の恩人なんだよ」
”……そうだったんだ”
「先生にも言ってないとなると……余程恥ずかしかったんだろうね〜?ユメ先輩、意外と恥ずかしがり屋なところあるし」
「へ〜……って、来るよ!!」
「ん、戦闘開始」
一斉に銃を構え、オートマタをなぎ倒していく。彼女たちは強い。カイザーコーポレーションに資金援助をしてもらっているカタカタヘルメット団を相手に、3年以上も持ち堪えてきたのだから。
「掃討完了!」
「こっちも!」
「ん、OK」
「よし、楽勝楽勝」
”……順調だね、今のところは”
『はい……でも、ここからは……』
”捨てられた砂漠……カイザーの土地であり、この先で今も「何か」が起こってる場所”
「心してかかるよ!」
「おー!」
・・・・・
「……何故私を呼んだんだい?」
「それは……っ」
「エデン条約か」
「……ああ」
……今私の前にいるのは、
エデン条約調印式の時に、会場を襲撃すると決めた集団……アリウスの中でも、リーダー格の生徒だ。
「それで、どうするんだい?」
「……お前は、一体何を企んでる?呪霊と言い、マダムといい……キヴォトスで何をしようとしている」
「……難しい問いだね」
夏油の目的は、「キヴォトスの危機を出来うる限り排除すること」。でもそれは原作を多少なりとも知っているからこその”目標”であり、夏油自身のやりたいことはまだ見つかっていない。
「……そうだね」
「?」
「私はね、面白いものが見たいんだ」
「は、はあ……?」
「様々な物を見てきた。小説に遊戯に絵画に数式に……長い間触れてきた。でも、足りないんだよ」
「……」
「私が見たいのはね、私の作り出す面白いものじゃないんだ。私の手から離れた──混沌が見たい」
「っ……イカれてるな、お前は」
「呪術師はイカれてる奴しかなれないんだよ、サオリ。あ、君も講義受ける?」
「やめておこう。私はアリウスだ……トリニティもゲヘナも居るのなら不可能だ」
「……そうか。せっかく楽しいと思ったのに」
夏油……いや、羂索の体には今、この体の記憶が流れ込んできている。キヴォトスより前の、呪術師としての自分を見ている。
子供の頃を懐かしむように、今の自分の記憶を反芻する。
「どうかしたか?」
「いや、アビドスがそろそろ大きな動きを見せるだろうから……それまでに色々と準備を拵えなければね」
「そうか……確か……小鳥遊ホシノだったか?かなり強いと言っていた」
「ああ、強いよ。心してかかりなさい」
「……ああ」
「私はこれでも先生さ、サオリ。君も、アリウスの皆も。私の生徒なんだ。……頼ってくれ」
「……はは」
vanitas vanitatum et omnia vanitas.
それだけ呟いて、サオリはカタコンベを歩いていった。
・・・・・
「いやいや……侵入者と聞いてはいたが……まさかアビドスだったとは」
「カイザー、理事……!?」