「領域の押し合い……!!」
【……《大道の却火》】
「ま、そうだよね」
現在の羂索は、結界が閉じない領域を使えない。ビナーは領域を会得して間もない。故に、領域の押し合いに発展する。
ゴリゴリと、嫌な音が耳をつんざく。
(恐らくビナーが付与した必中効果は、アツィルトの光と大道の却火……もしくは攻撃全て)
「……そして私が付与したのは、呪霊操術」
パリン、と羂索の領域が砕け──
「領域展開」
──声の主は、羂索ではない。
【《アツィルトの光》】
「遅いよ神様」
「
羂索の代わりに領域を展開したのは、たった1体だけ手持ちにおさめた特級。そう、あの時ヒナや先生相手に猛威を振るった、銃弾の呪霊。
「……この呪霊は領域を展開しても焼き切れのデメリットがあまりないからね。出し惜しみなんてせずに使っていればよかった」
ビナーの領域は、それでも抵抗をやめない。
……押し合いの最中、3つの銃声がビナーに情報として入る。
【?】
「この呪霊の術式は、最初に撃った3点の銃痕を結んだ三角形を必中の領域とする術式だ。呪霊の呪力が尽きない限り、弾が尽きることはない。……領域の中に呪霊が入らなければいけないけれど」
そしてビナーと呪霊は。領域に入っている。
ビナーの領域となっている砂漠、その中に身を隠そうとするも、呪霊の弾のほうが幾分が速かった。
【──!!】
呪霊の呪力は、神秘には毒。変性し、主に牙を剥く。
撃ち込まれた13発の凶弾は、呪いの塊。領域で強化された毒は、神にも届きうる。
「……苦しそうだね、ビナー。救けてあげようか?」
有無を言わさず、アツィルトの光が飛んでくる。必中命令が打ち消されているとはいえ、今の熱線は領域により120%の力を引き出している。当たれば即死。反転術式を使いこなせたとしても重傷は必至だろう。
「……簡易領域」
羂索は自身の安全性を高めるため、簡易領域を展開する。
「領域展開」
──刹那、ビナーの目が見開かれる。簡易領域と領域展開を同時に使用したのだ。
「胎蔵遍野」
呪霊はいつの間にか領域を解いており、その影響で押し合いをしていたビナーの領域ごと結界が瓦解。そこに羂索の領域が重なれば……必然、領域が満たされる。
「螺旋」
呪詞の詠唱。
「曼荼羅」
数多の呪霊を1つに纏めつつ、ビナーにもいくつか放っておく。
「旋渦の空」
アツィルトの光や大道の却火で対抗をするも、時すでに遅し。
「呪霊操術、極ノ番──」
【!?】
瞬間、羂索の領域が壊れる。
いや、
「フフ……楽しかったよビナー。また会おう。……極ノ番、”うずまき・
神を穿つは、螺旋輝く渦の風。
ビナーの身体にヒビが入る。
そのままヒビを起点にビナーの身体が崩壊し、朽ちて、解けていく。
「……はは」
領域が崩れる瞬間咄嗟に出した呪霊。移動用の呪霊に乗せてもらい、そのまま寝転がりながら残ったビナーの頭部から遠ざかっていった。……再生とかするのかな。
「……黒服、私はアビドスへ帰るよ。良いデータが取れただろ?」
『ええ、神秘を用いての領域も、呪霊の領域も……貴方のその面白い戦い方も。全て見させてもらいました。お疲れ様でした、羂索さん』
「ああ、ありがとう」
……こうして羂索が初めて本気で戦った戦闘は、彼の勝利に終わったのだった。
……盛りすぎた?