キヴォトスメロンパンモドキ   作:ただねこ

24 / 61
水面下に揺らめく影(1)

「うん、いい感じだ」

「……っ」

「ダメじゃないかツルギ……余所見はいけないよ?」

「がっ、は……くっ、ヒイイヤアアアアア!!」

 

他の者が連携の訓練で4対4のチーム戦をやっている最中、私はツルギと個人で戦闘を行っていた。

 

「ぐ、ううっ……」

「こっち」

「な!?」

「君のその再生能力が羨ましい限りだよ。私は持っていないから」

「うぐっ」

「君はまだまだ成長できる。でも足りない。あまりにも足りない」

「ごふっ」

「私と戦闘が成り立つ時点で、まず身体能力が足りない。君は私よりも若いんし再生もあるんだ、もっと無理が効くよ」

「はぁっ、はぁっ、ぐ……」

 

……このあたりでやめるか?

 

「ツルギ先輩が、あんな簡単に……」

「夏油さん……」

「……休憩するかい?」

「いや、やらせてください……まだ、貴方に一本も取れていない……!!」

 

夏油は、呪霊操術を使っていない。

その代わりに、汎用性の高い反重力機構を多用してツルギを翻弄している。

 

「ッ!またその移動……!」

「……そうだね。呪術について、少々課外授業と行こう。呪術には”縛り”と呼ばれるものがあるのは以前習ったね?」

「はい」

「そしてそれは、自分自身にも課すことが出来る。その応用が術式の開示というものだ」

「開示?」

「手の内を晒すという縛りで、術式の効果を底上げすることが出来る。……私が今使っている術式は、反重力機構というものでね。その名の通り、反重力を指向性を持たせて操ることが出来るんだ。さっきの移動はその応用だね」

「!!」

「こんな風に」

「ぁ……」

 

一瞬、ツルギの身体をふわりと浮かせて、重力で私の打撃に重みをもたせる。さながら五条悟の疑似”蒼パンチ”といったところか。

 

「……意識を失ったか。丁度いい頃合いだ……総員、戦闘中止!休憩に入る!」

「「「はい!!」」」

 

ツルギをハスミに任せ、少しシャーレから持ってきた書類の処理をしつつ、その後の訓練は相互理解のための対話で終了。初日から濃い日程が続くことになるが、耐えられないというわけでもない。

 

「夏油さん」

「ツルギ」

「今日は……その、訓練ありがとうございました」

「ありがとう。私もツルギと戦って、また1つ強くなれた気がするからね」

「……これ以上強くなったら、誰も手がつけられませんね」

「ははっ、君たちなら止めてくれるだろう?」

「……止めてみせます」

「楽しみにしてるよ」

 

正義実現委員会の宿舎を後にして、今回の業務で貸し出されている宿舎に行く途中、連絡が入った。

 

「……先生から?」

 

 

・・・・・

 

 

「で、どういうことだい?裏切り者って」

 

”ナギサから「エデン条約を妨害してくる裏切り者」を探してほしいって言われたんだ”

 

「……」

 

まああのトリニティとゲヘナの仲だし、トリニティのゲヘナに対する怒りを考えれば必然だろう。「野蛮な角つき共なんかと平和条約なんて結べるものか」と。

 

「私は……とある手紙を授かっている。君がキヴォトスに来る前に、ティーパーティーの百合園セイアに会ってね」

 

”!?”

 

「彼女は未来予知……正確には予知夢のようなのだが、それが可能でね。嫌な未来を視てしまったから、現状信頼できる私に手紙を託したんだ」

 

”……その人は……今は意識不明、なんだよね”

 

「ああ。意識不明の重体で、ヘイローが壊れたとの噂もある。……あまり期待はしないでくれ」

 

”うん。まずは裏切り者を探すのが先だ。……補習授業部のテストに関しては、ティーパーティーの掌の上って言ってた。注意しておく”

 

「了解。補習授業部には時折顔を出す。正義実現委員会の方でも探っておこう」

 

”助かるよ”

 

その日は、解散となった。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。