「夏油さん!!」
「Vanitas Vanitatum et Omnia Vanitas……わかるかい?世界の終わりが確定していることを知る瞬間の虚しさが」
「……」
「わかるかい?全てを尽くして、命を賭してやってきたことが全て無駄になる瞬間の絶望が」
「っ、わかるわけない……私に、夏油さんの心なんてわからないよ」
「そうか……」
今なら、アリウス生の気持ちがわかる気がする。
「でも、私たちは諦めたくない!」
「絶望が目の前にあろうと、それが最善を尽くさない理由にはならないから……!」
「だから足掻く!たとえ命を投げ捨てても、私たちはアビドスの生徒でありたいから!」
……ああ、そうだ。アズサも言っていた。例えそれが虚しいものであろうと、今日日最善を尽くさない理由になどならないと。
彼女たちのこの眩さがあったから、私も私であれたんだろう。平然と銃を向けることが日常のこの世界で、シロコたちの心からの笑顔が好きだった。
それ故に、彼女たちを殺さなければならないことが何よりも辛い。
「……私はが持つ術式はね、呪霊操術ではないんだ」
容赦など、しても何も産まない。せめて苦しまぬよう。彼女たちが真実を知って逝けるよう、君たちへの餞として。
「私の本来の術式は、脳を入れ替えることで身体を転々とするものだ。私はその術式を用いて、1000年を生きた。呪霊操術も、
「……」
「だが、対策はしてある。そしてこの術式は──”
「ぐっ……!」
ホシノたちの目の前で、空気が弾ける音がした。
一斉に銃を構えるも、その銃口はひしゃげて弾が撃てない。
「夏油、さん……」
容赦は、しない。したくない。
「夏油傑はね、呪力量も身体能力も術式も、何もかもが完璧に近かった。恐らく呪霊操術自体が
「……」
「ホシノは特に、私の放った呪霊を幾度となく祓っただろう?どれも準2級以上だから、それなりに苦戦する。……ヒナもネルもツルギも、よく頑張ってくれていた」
「何が、言いたいんですか?」
アヤネのその問いに、私はシロコの名を呼ぶ。
「……ん」
「君は近い内に「色彩」と接触してしまうだろう。恐怖へと反転した
「……」
「でも、それは恐らく止められない。世界が私に「シロコ」を殺すなと言うんだ。身体が言うことを効かない」
止まるチャンスは、これが最後。元来のシロコの役目は、私と「シロコ」が背負う運命になったのかな。
「もしもシロコを反転させたくないのなら、私とシロコを殺しなさい」
「嫌だ」
「……シロコ?」
「夏油さんがそっちに行くのなら、私も行く」
「シロコちゃん!?」
「……ありがとう」
チャンスは失った。
「さあ、
奥空アヤネの鮮血が舞い散る。