「いやいやいや、どういうことだい!?コア取り込んだら死ぬだろう君!!」
【それでいい。あの司祭の思い通りにいかないピースが、1つでも生まれてくれるのならば】
「……覚悟決まってるね。クックック」
【我の意識はコアにある。早くせねば死んでしまうぞ】
「はいはい。……ていうか、呪霊操術で取り込めるの?」
【お前の領域と極ノ番を食らい蝕まれた結果、今は神秘と呪いが隣り合っているような状態だ。機械でもあるが、呪霊にも近い。コアを”うずまき”で取り込めば、呪力に侵された神秘が毒となり牙を剥くだろう。だが、それしかない】
「ふーん。……それじゃ、やりますか」
呪霊操術を発動し、ビナーのコアを呪霊玉にする。
「呪霊操術、極ノ番。……”うずまき”」
私の持つ全ての呪霊と、ビナーが一体化した”うずまき”を、呪力を振り絞り小さくまとめる。
「……ッ!!」
その玉を飲み下す。瞬間、形容し難い吐き気が、痛みが、苦痛が降り注ぐ。
「シッテムの箱、が……!?」
先程、私が飛ばされてきたであろう方向に、シッテムの箱と大人のカードが飛んでいく。
【……取り込めたか】
「ビナー?シッテムの箱は私の手元から失くなったけど……ああ、融合していってるから聴こえるのか」
【そう、だな。シッテムの箱は今、先生とやらが持っている】
な……!?
「生きていたのか!!」
【殺さなかった自分を恨め。早く行くぞ】
先程欠損していた部位や身体の節々には、ビナーの装甲と同じ物質が私の身体と溶け合っていた。
「それじゃあ行こうか」
吐き気が止まらないほどの毒とは裏腹に、驚くほど軽い足で砂漠を駆け抜ける。ほんの6km程度しか離れていなかったらしく、比較的すぐに着いた。
それでも、遅かったらしい。
・・・・・
「「色彩」が、”元”箱の主と接触した」
「この事態は想定していない……色彩があの者の「苦しみ」に反応したのか、それとも──」
「不可能だ。あの者は「崇高」、「神秘」、「恐怖」のいずれも有していない。「色彩」が無価値な存在に接触する理由などない」
「つまり──何を意味する?」
「あの者が、死の神の代わりに「色彩の嚮導者」になるというのか?」
「理解できぬ」
「理解できぬ」
「理解できぬ」
「理解できぬ──だが、あの「箱」を我々が所有できるのなら、理解する必要もない」
「1度異端の手に渡ったが、心配は要らない」
「お前の望み通り、「色彩の嚮導者」の役割を与えよう」
「お前に「
「「色彩の嚮導者」は、我々無名の司祭の意思を代弁するのみ。己の意思を持てると思うな」
「「箱」の力は、我々が預かる」
「お前はこの選択を……未来永劫、後悔するだろう──!!」
・・・・・
「……世界を渡るには?」
【あの「色彩」の中に入れ。アレは意思の介在しないただの現象。故に、撹拌される。我とお前が溶け合い、最終的に我の意思だけが消えるだろう】
「……そうか。ありがとう、ビナー」
【礼には及ばん。死の神と嚮導者……そして無名の司祭が色彩へ入れば、二度と入口は開かないだろう。早く!!】
一矢報いんと、走る。走る。走る。
ビナーと融合しかけているこの身体は、よく動く。
色彩が縮み、扉が閉まろうとしたその時。
ほんの一瞬、指先が掠った。
意識が乱れる。
「……さあ、出発だ。行こう、