キヴォトスメロンパンモドキ   作:ただねこ

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混沌

「テメエ何やってんだああ!!」

「ゴメンゴメン。君たちの銃撃戦が幼稚すぎてさ」

「んだと……?オイお前ら、先にコイツ潰すぞ」

「おー!」

 

ゲヘナ自治区。キヴォトスの自治区の中でもひときわ治安が悪く、銃撃戦が日々のbgmと化しているやべーところである。

そして、そんなところで煽りをかましたのは何故か。それは──

 

「あら」

「げっ!?風紀委員会だと!?」

「……制圧開始」

「待て待て待て!アタシらはコイツに邪魔されたから──」

「関係ないわ」

 

空崎ヒナがいるからだ。

 

ゲヘナの風紀委員会は役割に応じた企画部、情報部、兵站部、医療部という内部部門が存在している。空崎ヒナは情報部らしい……まあ、俺はゲヘナではないし知ったこっちゃないのだが。

 

「制圧完了。……で、貴方は誰?」

「……最近、何か異変はないかい?」

「異変……?その異変とやら、貴方が引き起こしたんじゃないでしょうね」

「ああ、違うよ。……というより、原因が突き止められてなくてね。情報部のあるゲヘナなら、何かしら手がかりが得られると思って来たんだよ」

 

嘘はない。が、とても怪しい。信じてもらえるかどうか……。

 

「貴方、1年前からアビドスに現れた謎の男ね。……小鳥遊ホシノと並ぶ要注意人物の1人」

「フフ、私のことも知っているんだね」

「ええ。容姿のみで、名前もなにもわかっていないけれど……」

「夏油だ。夏油スグル。今はアビドスにて協力をしている。……これでいいかい?」

「え、ええ……まあ、いいんじゃないかしら?」

「……空崎ヒナ。私の話を聞いてくれるかい?」

「……わかったわ。込み入った話をするのなら、いい場所がある。ついてきて」

 

 

・・・・・

 

 

「へえ……ここは?」

「ゲヘナ学園兵站部、第5修練場。広さのわりに殆ど使われないから、物置状態と化してるわ。学園本館と離れていて人も来ないから、話には最適よ。……状態は最悪だけど、我慢して」

「いいや、実にありがたい。こういうところであるのも、丁度いいからね」

「……?」

「さて、話をしようか。先ずはこちらから前提知識を話そう」

「……ええ」

 

お互い、廃材となっている中で適当な椅子を見繕い、そこに座る。

 

「まず、私はキヴォトスの外から来た「大人」だ。気づいたらアビドス砂漠のど真ん中で寝ていてね。今アビドスにいるのはそこでの縁なのだけれど……まあ、これはまた今度にしておこうか」

「……」

「私は、キヴォトス人……ヘイローを持つ生徒とはまた違った力を持っているんだ。それが”呪力”と呼ばれる、呪いの力」

「の、呪い?なんだか物騒な名前だけど」

「実際物騒なものさ。それでね……その呪力が、このキヴォトスに満ちていってるんだ」

「!?」

 

それに気付いたのは、つい最近。俺自身呪力を用いるが故に、こうなるまで気づかなかった。

 

「風紀委員に何か、怪事件などの報告は?」

「……”路地に異形が3体くらいいた”とか、”気持ち悪い怪物が死体を食らっているところを見た”とか……もしや、その呪力に関係が?」

「……呪力というのは、人間の負の感情から生まれるんだ。怒り・悲しみ・妬み・嫉み・憎しみ……そんな負の感情が」

「……」

「そして、大半の人はその制御方法を知らない。それらは知らず知らずの内に放出され溜まっていくんだ」

「……どういうこと?」

「そうだね……ゲヘナの生徒が見たのは、恐らく”呪霊”と呼ばれる異形だ」

「呪いの霊……」

「先程説明した呪力が澱のように重なって出来るんだよ。──ほら、そこら中にいる」

「!?」

 

ヒナが辺りを見回すと、3級に相当する呪霊がうじゃうじゃと出てきている。先程まで潜んでいたようだ。

 

「……これが呪霊ね。貴方が操っていたという可能性は?」

「無いね」

「そう…。では、これから”呪霊”の殲滅を開始するわ」

「お供するよ」

 

はてさて。人知を超越した霊的現象を相手に、神秘は通用するのかな。

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