『改めて──全自治区の防衛、完了ですね。お疲れ様でした。……全サンクトゥムの攻略準備、完了。これで「虚妄のサンクトゥム」攻略戦の準備は整いました。まもなく、総攻撃のカウントダウンを開始します』
……案外早かったね。30分程度で自治区の防衛は完了したか。
そして、これから守護者の攻略を開始する。
『5……4……3……2……1……総攻撃、開始!!』
・・・・・
「うわぁぁっ!出たわよ!!」
「さあ、走りましょう!」
「目標地点まで引きつけるよ〜」
ビナーと戦うのは、通算2度目だ。あの時は領域展開と呪霊操術……うずまきも使って辛勝といったところだった。今回は色彩によって強化されているし、どうしたものか……。
「エネルギー反応!?き、気をつけて、レーザーが来るよ!!」
「回避タイミングが予測できません!ホシノ先輩!」
「……いや、その必要は無いみたいだよ〜」
「え?」
……「トリア・ソーテール」を構える。めちゃくちゃ重いので、銃身を横にして、左手で後ろの取っ手を持ち、右の掌で銃口を支える。弓を引くようなポーズで、ビナーのレーザー……「アツィルトの光」に備える。
「げ、夏油さん!?如何にレールガンとは言え、出力が段違いで──」
「──この銃は、ミレニアムのエンジニア部がお試しで造ったレールガンに、「私の左腕」を組み込んだものだ」
「左腕?」
「この身体は特別性でね。ビナーの装甲と同じ物質が使われてる」
キュイイイイイイイイイイイイン……。装填されている銃弾に、神秘を込める。と同時に、”反重力機構”……術式反転を用いて、更にエネルギーの密度を高める。
準備は万端。
「ビナーよ……自分の技を食らったことはあるかい?」
溜まったそれを、一直線に放つ。
「《アツィルトの光》」
ふわっと浮きつつかなり後ろに押されるが、問題ない。
「!?」
「ビ、ビナーと同じビーム……!?」
「どういうこと!?いや、拮抗は流石にしてないけど……なんで耐えてるの!?」
「……っ夏油ちゃん!」
ホシノがセリカとノノミを抱え、此方に走って抱えに来る。
「いや、大丈夫だ」
反重力機構……術式順転、”乱奔重”。ビナーの放った《アツィルトの光》を逸らし、そのまま私の《アツィルトの光》共々ビナーにぶつける。
「……うわあ」
「頭おかしいんじゃないの?」
「ド直球だなあ……酷いよセリカ。ひぃん……」
「なっ……事実でしょ!!ビナーと同じレーザーを発射した挙げ句、それを変な力で逸らしてビナーにぶつけるって何なの!?」
「……たしかに」
呪術を知らないセリカたちから見れば、何がなんだかわからないだろう。
ホシノとノノミの後を走りながら説明する。
「理由は知らないけど、重力を操ることが出来る能力を持っていてね。それも利用して、ビーム……《アツィルトの光》に使うエネルギーの密度を高めたんだ」
「ふーん……重力って強くない?」
「使用した後はちょっとした痛みがくるから、一概にメリットとは言えないさ。私は痛みだけじゃ止まらないけどね」
「……イカれてるの?」
「イカれなきゃやってらんない職場にいたからねえ……痛みなんて付き物さ」
「……ま、これが終わったら転職でもすれば?ていうかあんた歳幾つなのよ……」
「おや、乙女に年齢の話は駄目だろう?」
生まれた時は男だったけどな!!
「すごいねあなた達の委員長……いや、アビドスって強いんだね。そこの白い人はよくわかんないけど」
「え、そうなの?」
「比べる材料がないからよくわからないですね……とにかく、これでビナーとの戦闘、いつでも開始できます!」
「漸くか……!わくわくしてきたよ」
「じゃあ、ちゃちゃっと行っちゃおっか♪」
因みに、トリア・ソーテールは1発アツィルト撃ったら羂索の腰くらいまで反動で浮きます。羂索が軽いのかアツィルトがやばいのか……。