再度、ビナーとの戦いが始まる。それなりの強化を施されたらしく、現在苦戦中。
「この……かったいなぁ!」
「色彩の影響もそうだけど、第6サンクトゥムのバックアップでより強化されているみたいだね」
「またビーム溜めてるわよ!!」
ここは、私の出番だ。
「《アツィルトの光》」
出力は少々劣るが、少し押される程度ならば避ける時間はたんまりある。
「夏油さん!」
「助かるよ」
「いえいえ、私たちも助けられていますから!」
便利屋も対策委員会もちまちまと削ってはいるものの、如何せんビナーが硬すぎる。
──砂漠に潜っ
「う……砂で前が」
「目が……!」
「チッ……」
ビナーが砂漠に潜ったことで、砂塵が吹き荒れる。
ビナーほどの巨躯ともなれば、1回動くだけでそれはもう広範囲に影響が出る。砂漠に「潜る」なんて動作をすれば、フィールドが大きく動く。戦況は大きく動き、ビナーの出どころもわからない今、この砂塵は危険だった。
「っ、大丈夫!?」
「砂が舞ってて、声が聞こえづらい……!」
「アヤネちゃん!」
『ビナ、の砂…が予想以じょに酷、……っ、無線が──……!』
「……くそ」
やられた……!!「虚妄のサンクトゥム攻略戦」において、情報は命。ここに来てビナーの砂塵で無線が繋がらないなんてことは許されない……ならば。
「出力最大、術式反転……疑似”蒼”!!」
重力と引力。その違いはあれど、似通ってはいるものだ。砂塵の舞う今の砂漠で、いつビナーが攻撃を仕掛けてくるかわからない。少しでも重力で砂を一箇所にまとめる……!
『──さ……皆さん!無線は繋がっていますか!?』
「!!」
「戻ったよ!!夏油ちゃんがやってくれた!」
「安心するな!ビナーが来る!!」
【《アツィルトの光》】
「くっ……」
「夏油ちゃん!!」
右半身が……焼かれた……!!
「構うな、やれ!!」
「っ、わかった……!」
狼狽するセリカを制し、1人後ろに下がる。
ここで戦って、わかったことがある。
神秘はどうやら、枯渇という概念自体はないらしい。
ただ、銃を撃ち続ければ死ぬ。これが問題だ。
そもそも身体が硬いんだ、欠損の想定なんて殆どしないだろう。精々……救護騎士団くらいか、ゲマトリア。再生能力なんて大層なものはツルギくらいしか持っていないし、そもそも頑丈な身体があれば事足りるからだ。
……だから、ここに来て身体の欠損に応急処置が出来るほどの設備は整っていない。
それでも、反転術式を用いて再生を試みるしかない。
今の私の身体は、右半身が大きく火傷し、その中でも前腕が消し飛ばされている。焼かれて傷口が塞がっているのは、不幸中の幸いといったところか。
「……治れ」
反転術式は頭で回す。極論、神秘の量とそれを運用できる知能、それを扱えるだけの技術。そして、才能。私はすべて持っている。
ならば、すぐにでも戦線復帰しなければ。
「皆、時間稼ぎは頼んだよ」
ここまでの戦闘描写でかなり羂索を盛ってると思うんですが、これ大丈夫なんでしょうか?