「空が!」
「……第6サンクトゥムの攻略は、無事に完了したみたいだね」
真っ赤に染まっていた空が、元の青々しい空へと戻っていく。
──ただ、違和感がどうにも消えない。
何か、致命的なものが書けている。
「……色彩」
「色彩がどうかしたの?」
ムツキが話しかけてくる。
「いや、私は色彩と接触したけどね……どうにも違和感が拭えないんだ。アレはもっと……悍ましく、形のない神のような何かなんだ。これだけで終わるはずがない」
「……?」
シロコと先生がどこに居るのかわからない。「虚妄のサンクトゥム」は、色彩の光を伝播させる。その割には色彩が見当たらないし──
「……ん?」
「どうしたんですか、ホシノ先輩?」
「いや……今、空で何か光らなかった?」
「空?」
光。今は昼だ。星など太陽の光にかき消されて、瞬くことはない。瞬くことなどあるはずがない。の、だが……。
上空に、何かあるのか?
「……っ、先生は!?」
『そ、その……!』
シャーレにいるアヤネが、先生の状況を伝えてくれた。
『シ、シロコ先輩らしき人物を追って消えてしまって……!!』
「シロコ先輩!?」
「シロコちゃん!?」
「なんですって……!?」
……。
「そのシロコらしき人物は、どんな容姿をしていた?」
『シロコ先輩より髪が長く、背も高いかと……黒いドレスを身に纏っていて、銃は簡素なアサルトライフルでした』
「……昨日会った時はいつも通りにしてたわよね?そんな1日だけで変わるかしら……?」
……そう、か。先生たちは上にいるのか。
「そうか、なるほど……アヤネ、上空を調べてくれ」
『え?上空ですか?』
「ああ。先程、ホシノが空に不自然な光を見つけてね。……恐らくアレは……シロコが拠点にしている場所だろう」
「え!?」
「なっ……」
「どういうこと!?」
「……一旦、アビドスへ帰」
「見つけた」
・・・・・
「気が付きましたか、マエストロ」
「……一体、何が起きている?……いや、説明はいい。肉体が変わったからか、気が動転しているようだ」
「クックック……あまり時間がなかったもので。代用品を嵌めたのですが……ご気分はいかがでしょうか?」
「所詮、肉体は消耗品に過ぎぬもの。どのような形であろうと構わない」
ボロボロになってしまったゲマトリア。そのメンバーである黒服とマエストロは、寂れた廃墟群で話をしていた。
「そうか……色彩の襲来」
「ええ。我々の想定より早く、「色彩の嚮導者」プレナパテスが攻撃を開始しました」
「我々は端から、嚮導者の掌の上にいたということか」
「我々のことは、眼中にもないかと。恐らく「道具」を得るためなのでしょう」
「キヴォトスを滅亡に導くための道具か……そういえば、1つ気になるものが混ざっていなかったか?」
「ええ、そうですね……「それ」は限りなく、デカグラマトンの預言者に近いものです。ですが、少々似て非なるものです」
「それ」。その言葉が指すものは、何かしらの現象か。はたまた物質か。
「色彩は、終ぞ手に入れられなかった「アトラ・ハシースの箱舟」と我々の「秘儀」を奪いました。……死の神と接触し、その恐怖を手に入れた以上……
「そうか……対抗手段はないのか?」
「いえ。まだ「先生」がいます。あの者は、まだシャーレと……生徒と共に戦っております」
「そうか。あの者のことだから、そうだろうとは思っていた」
「クックック……不可解は「色彩」。そして、同じく不可解な存在である「先生」。果たして、どこまで耐えるのか見ものですね」
「……お前は、これからどうする?」
「私は少々、やることが残っていますので。……ああ、それと」
「ここで1度、ゲマトリアは解散とします」
「……そうか」
「様子を見て再集結の招集をしましょう。それまであなたは自由の身ですよ、マエストロ」
「……ゴルコンダはどこに?」
「本体であるデカルコマニーは死ぬことができませんので、問題ないかと。ですが、ゴルコンダはフランシスに入れ替わったようです」
「よりによってフランシスか。ある意味、フランシスはベアトリーチェ以上に厄介と言える。ゴルコンダが恋しくなるだろうな」