「見つけた」
ぞわりと、神経を逆撫でするような気配。これは、紛れもない
そして、空からあふれる黒──これ、帳か?
「……何の用だい?シロコ」
「……久しぶりだね、夏油さん」
「お互いに雰囲気が変わったね。そっちはどうだい、シロコ」
「……私は、世界を滅ぼすための神。役割は変えられない」
帳には、”夏油スグルと砂狼シロコのみを中に入れ、それ以外を拒絶する”結界術が組み込まれている。……ホシノたちの顔を見ないためか?
「シロコ。私は君に帳……結界術を教えた覚えはないんだけど」
「見て覚えた」
「へえ?……天才とはまさにこの事か。妬いちゃうね」
「……」
おどけてみせると、シロコは銃を構える。
「おや、勝てると思ってるのかい?たかだか神に成った程度の君が」
「……勝つ」
「そっか。じゃあ無理だね」
トリア・ソーテールを構え、思い切り脳天を叩き割る……つもりだったんだけど。
「避けるんだ、これ」
「……わざとの癖に」
「なんのことかな、シロコ」
「本気で来てるなら、既に私は殺されてる。夏油さん……貴方はなんで私を呼ぶの?」
「シロコはシロコだ。君が過ちを犯さぬように、私が肩代わりをした。その結果だよ、今の君は」
「……だから、夏油さんのせいだって言うの?」
「勿論。私のせいじゃなければ一体誰のせいなんだい?」
「……っそれは」
「君じゃない。わかるだろ。少なくとも君ではない。生まれたことは罪にはならない。生きることは罰ではない。……時代を渡った私だから出せた結論だ。時の流れは全てを押し流し、やがて忘れ去られていくものだ。……所詮、過去は過去さ。そんなモノに執着するような老けた輩は滅びればいい」
「……ほんとに、人間?」
「人間だよ。ちょっぴり長生きのね」
「……」
少し、むすっとしたような気がする。前の表情を出してくれた。
「変わらないね、シロコは」
「……」
「まあ、君の苦悩を理解しようとは思わないよ。もし救いを享受したいというのなら、その受け皿は自らの手で作り上げなさい」
「……うん」
この言葉が響いたかは、わからないけど。
「それじゃあ、
「ああ、
・・・・・
”……色彩の、嚮導者……!?”
プレナパテスは、僅かに頷く。
”なんで、色彩をここに?”
その事位は、彼の耳には届かない。代わりに、聞き慣れた──いや、いつかに聞いたような音の塊。
”我々は望む、七つの嘆きを。”
”我々は望む、ジェリコの古則を。”
その音に、彼は驚愕する。
この世界に2つとない……であろうモノの声。
『先生の生体認証、完了。A.R.O.N.A.、命令待機中』
その声と共に、彼は現実へと引き戻された。