「や、黒服」
「おやおや……貴方は、色彩とともに現れた”混沌”ではありませんか」
「混沌か……言ってくれるね」
私は現在、黒服に会いに来ている。……というより、黒服の意識の中に入って、術式を使用している。
「それで、私になんの用しょうか?先生ではない貴女に、話すことなど無いと思いますが」
「アビドスに埋まっている古代兵器」
「!」
亀裂の間から漏れる何かがじわりと増えた気がした。恐らくは動揺でもしているのか?
「ああ、先生には伝えましたからね……クックック……いいでしょう。貴方は代償などを気にするような方ではなさそうですので」
そう言って、黒服は説明を始める。カイザーが躍起になって掘り出そうとしていたのもは、ゲマトリアにとっては見つかれば御の字程度の、確証のないものだった。
それでも、カイザーの最高責任者──「プレジデント」は血眼になった。超古代兵器があれば、キヴォトスの征服も夢ではないからと。
そして、それは掘り出された。プレジデントはすぐに行動に移り、連邦生徒会とシャーレを襲撃し先生を拉致。だが先生は私とヴァルキューレに助けられる。そして「虚妄のサンクトゥム」の出現によるサンクトゥムタワーの破壊があり、すぐに身を引いた。
そう、サンクトゥムタワーなしではそれは使えない。シッテムの箱がない限り。
恐らく、アトラ・ハシースの箱舟はまた違うのだろう。色彩と無名の司祭によって動かされているのだから。
「……で、その古代兵器の正体は?」
「クックック……最初はアレを「箱舟」と考えていましたが……限りなく近い、別の存在。そう、「船」なのです。「アトラ・ハシースの箱舟」と同じく、キヴォトスの起源が込められた名……兵器の最終形態、「ウトナピシュティムの本船」──そう、宇宙戦艦です」
・・・・・
「……はは」
いやはや、まさかそんなものがあったとは。そんなもの、日本男児の心が踊らないわけないじゃないか。戦艦大和を前にしたあの時と似ているな……いや、その前だ。戦場は死体に事欠かなかったし、日本軍に入ってからもずっと戦艦大和の名は耳にしていた。アレほど大きな戦艦は初めて見たから、乗りたいとも思った。事実乗れた。……超楽しかった。その後ちょっとやらかして怒られた。
「……くっくっく、笑えるね」
そろそろ先生からの無線も来るはずだ。だというのに、笑いが止まらない。先生も血が騒いでいるだろう。あの人はプラモデルとかロボットが好きだからね。典型的な日本男児だ。
「さぁて、行こうか……件の超古代兵器……「ウトナピシュティムの本船」を手に入れに」