最強吸血鬼でオバロ 作:Revak
「どこだろうね、ここは」
平原の中。女が呟いた。
絶世の美女だ。
身長百九十八センチと女性としては非常に高身長。
顔はダウナー系というのだろうか。少しだるそうな感じをしているが美人そのものだ。つり目である。
傾国の美女とはこの人物を表すのだろうと思えるほどに美人である。
胸はでかい。一メートルを超える爆乳に片足突っ込んでいるサイズだ。
半面腰は細いが、尻も百センチ超えというデカ尻。安産型である。
細い手足は箸すら持てなさそう。
黒い腰まで届く艶めいた髪だが内側は赤い。右目は赤く血のようで左目は闇のように真っ暗である。
真紅の血のように赤い深いスレットの空いた胸元の露出した動きやすさを重視したドレスを纏っている。
長手袋をつけ指先は開いている。
「……ふむ」
女は己の右手の掌から血の刃を生成した。
神祖の吸血鬼としての
まるで呼吸するかのように
そして女はおもむろに己の胸を揉んだ。
一メートルを超える爆乳おっぱいは揉みごたえがあった。
(R18行為をしても垢バンどころか警告すら来ない……ゲーム終了と同時に異世界に転移でもしたかな)
これは面白くなってきた、と女はにやりと笑みを浮かべた。
女はDMMORPGユグドラシルをプレイしていたプレイヤーである。
だがただのプレイヤーではない。レイドボスとなったプレイヤーだ。
神祖カインアベルという吸血鬼系ボスモンスターが居る。レイドボスとしては弱めのボスである。
その地位になり替わりたい、と女は思った。
そう思った女はリアルマネーを注ぎ込むことでワールドアイテムという世界に匹敵する秘宝を手に入れた。
そのうちの一つ、二十と数えられる超級のアイテムのうちウロボロスと呼ばれるアイテムを使用した。
効果は単純でどんな願いも叶えるという物。ただし運営が。
そして願い、女は神祖カインアベルの地位になり替わった。
結果馬鹿みたいなステータスを有することになったが、欠点もあった。
パーティ結成不可。ギルド加入不可などだ。だがその程度欠点とすら女は思ってもなかった。
女はこうしてレイドボスのスペックを持って異世界にやってきたのだ。
さてどうしようか、と女──ディは考えた。
ここが異世界なら楽しまなきゃ損である。クソみたいなリアルから逃げられたのだから。
そう思っていると生命探知の力に引っかかっていた反応が幾つか消えた。
気配から見るに襲っている者がいるらしい。そう判断できたディはその方向へ向かうことにした。
もうだめかもしれない、と少女──エンリ・エモットは思った。
帝国の騎士たちが村を襲撃し、父に助けられ何とか森の方へ妹と共に走ってきた。
だが少女よりも成人男性の方が肉体能力が高いのは自明の理だ。追いつかれ、背中を剣で斬られた。
痛みで動けなくなった。もう走れない。
そしてエンリは己の命を奪う剣が来るのを覚悟して──何も来なかった。
一分待っても来ないことにおどおどしながら目を開けてみると、そこには絶世の美女が居た。
美人、美女という言葉は彼女のためにあるのではないかと思えるほどの美女だ。
身長百九十八センチと女性としては非常に高身長。
顔はダウナー系というのだろうか。少しだるそうな感じをしているが美人そのものだ。つり目である。
傾国の美女とはこの人物を表すのだろうと思えるほどに美人である。
胸はでかい。一メートルを超える爆乳に片足突っ込んでいるサイズだ。
半面腰は細いが、尻も百センチ超えというデカ尻。安産型である。
細い手足は箸すら持てなさそう。
黒い腰まで届く艶めいた髪だが内側は赤い。右目は赤く血のようで左目は闇のように真っ暗である。
「な、何者だ?」
帝国の騎士の格好をしたスレイン法国の騎士が女に問いかけた。
「……少女が襲われてるのを見て、助けに入ったものだよ。見てわからないかい?」
女──ディ・フランケリヒはそう微笑んだ。
「な、なら……生かして返すわけにはいかないな」
騎士はそう言いながら興奮覚めなかった。
がたいこそいいが筋肉がついている訳じゃない女だ。組み占めるのはそう難しいことじゃないだろう。そう思ったのだ。
ディは手を銃の形にして騎士の頭を狙った。
「バン」
瞬間ディの人差し指から音速を超えて血の弾丸が放たれた。神祖としての
そして──騎士の頭部が消し飛んだ。
音速を超える質量をけて破産したのだ。
「は?」
もう一人の騎士が信じられないものを見た眼をした。
次にディは掌を開いた形にしそこから血の刃を生成した。
それを持って瞬時に騎士に接近し首を綺麗に切り落とした。
「……警戒する必要はなかったかな」
ディはそういうと刃を消してエンリに近づいた。
「大丈夫だよ。もう敵は居ない」
そうディは微笑んだ。
「あ、ありがとうございます!」
「ありがとうございます!」
エンリの傍にいた幼女ネム・エモットもそう礼を言った。
「怪我をしているね。これを使うといい」
そういうとディはアイテムボックスからポーションを取り出した。最下級のポーションである。
それを渡すとエンリはおずおずとしながら飲んだ。
すぐさま傷が治っていく。
「あの、私を助けてくださってありがとうございます!」
「どういたしまして」
「ぶしつけなお願いだとは思いますが、どうか私の家族を、村を助けてはくれないでしょうか!」
「いいよ。助けてあげる」
あまりにも簡単な返答にエンリは一瞬あっけにとられるも「ありがとうございます!」とすぐに礼を言った。
「じゃあこれを置いておこう」
ディはアイテムぼっくを開きあるアイテムを取り出した。
それは二つの小さな角笛だ。
「それを吹くとゴブリンというモンスターが現れて君を守ってくれる。何かあったら使うといい」
それじゃあ、とディは村の方へ走っていった。
エンリたちが住まうカルネ村の中央に。ディは空から降り立った。
その姿に誰もが見惚れ、動きを止めた。
圧倒的美。噂に聞く黄金の王女に匹敵か、あるいは上回る美貌。
「あ、あの女をとらえろ! 無傷でだ!」
一番に正気を取り戻したのは襲撃者のリーダーペリュースだ。
その命令には黒い欲望が渦巻いてるのが誰が聞いても明らかだった。
その命令に嬉々として何人かが剣を構えた。
もしかしたら自分たちもおこぼれにあずかれるかもしれない。そう思ったのだ。
「下種だね」
ディはそういうと右手の掌から血の刃を生成。
とん、とんと疾走し一刀のもと騎士を両断した。
綺麗さっぱり、斜めから斬られたり、縦に斬られたり騎士が死んでいく。
その光景を見てペリュースはさすがにやばいと口を開こうとしたがもう遅い。
ペリュースは次の瞬間首を跳ね飛ばされ死亡した。
「あ、あなた様は……?」
村の中央にカルネ村の村人たちは集められていた。
「もう大丈夫。私が敵は全て排除したよ」
そうディは微笑むも村人たちの顔は明るくならない。
自分たちを襲撃した者たちを一方的に倒した更にやばい襲撃者がディだ。
自分たちに何をしてくるかわからないのである。
「そう警戒しないでくれ。多少の金銭と情報が欲しいだけが」
欲求を言うと村人たちは少し安堵した表情を見せた。
■
村長の家でディは白湯を飲みながら得た情報を反芻していた。
(リ・エスティーゼ王国、バハルス帝国、スレイン法国、トブの大森林、冒険者、ねぇ……)
軽く聞いてみたところユグドラシルについては何も知らないようだった。そのためこの世界はユグドラシルとは関係ない世界だと思われる。
どうしたものか、と悩んでいると家に村人が来る。葬儀の準備が終わったので来てほしいとのことだ。
ディはこの世界の葬儀が気になって着いて行った。
村はずれの丘に墓を作り、そこに埋葬した。
早いとこ埋葬し清めなければアンデッドになることがあるからこその今日中の葬儀だ。
葬儀中、泣いているエンリの声がディの耳について離れなかった。
葬儀が終わった後、ディは背中から血の翼を生やし空へ飛んだ。
空の上から村を、この世界を見る。
自分は強い、という自負がディにはある。
何せこの体はレイドボスのそれだ。並みのプレイヤーが来ても返り討ちに出来るだけのスペックを持っている。
だがさすがにワールドチャンピオンなどのぶっ壊れが来たらどうなるかは定かではないが。
この世界でどう生きていくか、とディは考える。
食事は不要どころかできない。睡眠も出来ないし要らない。疲労なんてしない。性欲はあるが男とキスは御免被る。家はコテージがある。服はアイテムボックスに着せ替え用の服が多数ある。
衣食住だいたいそろっているディはこの世界で働く必要がない。
ならば、初心に帰るとしようとディは思った。
ユグドラシルは未知を探すゲームだ。ならばこそ、この世界の未知を探そうとディは思った。
そう思い村を見ていると村に近づく集団が見えた。
また厄介事か、とディは思いながらも村に降りた。
村の中央に降りたディは村長を探すと以外にも早く見つかった。
声をかける。
「村長。集団がこの村に近づいてくる」
その発言に村長は顔を青ざめた。
「そんな! また来るなど……」
「何者かわからない。もしかしたら正規兵で帝国騎士を倒しに来た者かもしれない……私と共にあってはくれないか?」
「そういうことでしたら、着いて行きます。どこまでも」
■
村人を倉庫に集め、倉庫にはディが
レベル七十のモンスターだ。この世界では単独で国すら亡ぼす怪物である。
紅い血の塊であり獣の姿をしているが二足歩行である。
村の中央にディと村長は立って集団を迎える。
集団は武装集団だ。決まった武双というのがなく各々好きな武器を身に着けている。
先頭の男が村長たちに近づく。
男はディを見て目を見開いたかと思うと馬上から問いかけてきた。
「私はエ・ランテル周辺の村々を荒らす帝国騎士を討伐しに来た王国戦士長ガゼフ・ストロノーフである。貴方は村長だな。隣にいる女性はなんだ?」
「王国戦士長様……隣の方はこの村を救ってくださったディ・フランケリヒ様です」
「なんと! 村を救ってくれたとは!」
男、ガゼフは馬から降りた。
そして頭を下げる。
「この村を救ってくださり感謝する」
(いい奴……あるいは何も考えてないのかな?)
ディはそう考えた。
王国戦士長という上の立場の人間が気安く頭を下げていいわけがない。それでも下げたのは礼をするためだろうかと考える。
「よかったらフランケリヒ殿。帝国騎士について詳しく教えてもらいたいのだがいいか?」
「いいよ。死体は埋葬したけど装備ははぎ取って倉庫に置いてある」
「かたじけない。では──」
二人の会話を遮るように戦士団の一人が駆け寄った。
「戦士長! 村を覆うように複数の人影が!」
また厄介事かい。ディは空を仰ぎたくなった。