最強吸血鬼でオバロ 作:Revak
「モンスターの気配だ」
ルクルットがそう発言した。
「どこからだ?」
「あっちだよ」
ペテルの問いかけにルクルットが森の方を指さした。
そこにはオーガ四体、ゴブリン十二体が接近してきていた。
オーガは茶色肌に牙を持つ三メートルほどの巨躯を持つ亜人種のモンスター。ゴブリンは人の子供程度の背丈を持つ緑色の肌のモンスターだ。両者とも耳が尖っている。
「陣形はどうする?」
「私が突っ込もう。漏れたのをそちらで対処してくれ。大言壮語だけじゃないと知ってもらおう」
「わかりました。それじゃあそれで動きます。けど無理そうならすぐ引いてくださいね。私も武技<要塞>でブロックできるので」
「ふふ、心配ありがとう」
そういうとディはすたすたとモンスターたちに向かって歩き出した。
まるで散歩に行くような気楽さだ。
ディは右手から血の刃を生成する。刃渡り七十五センチほどだ。
「行くよ」
そう呟くとディは風となって消えた。
圧倒的高速移動。人の目では認識できない速さだ。
それを持ってディはゴブリンたちを斬っていく。
首を跳ね飛ばし胴体を袈裟斬りにしていく。
オーガたちも同様だ。ジャンプして首をはね胴体を血の刃を伸ばして上下真っ二つにする。
半分も殺していくとモンスターたちは逃げ出すがディは更に速度を速め瞬く間に皆殺しにした。
「……つよい、強すぎる……」
ペテルが唖然としながらつぶやいた。
アダマンタイト級なんて目じゃない。圧倒的強者である。
「終わったぞ」
死体の海からディはそうペテルに向かって言った。
「す、すごいですね、ディさんは……本当にすごい」
「口だけの奴じゃないとわかってもらえたかな?」
「えぇ。本当に……実感しました」
ニニャがディに近寄る。
「ディさん。モンスターの耳をはぎ取ろうと思うんです。手伝ってもらえますか?」
「わかった……耳が討伐証明部位なのか」
「はい。亜人系のモンスターは基本耳です」
「……データクリスタルなどを落とすことは?」
「オーガがクリスタルを持っているとは聞いたことないですね……」
「……そうか」
この後めちゃくちゃ耳剥いだ。
■
夜。野営の準備を進めた。
ニニャが周囲を歩いて
これは一定範囲に何者かが近づくと音を鳴らすという魔法だ。
夜の警戒としてこれ以上の魔法はないだろう。
ディもテントを張るのを手伝う。初めての野営だがレベル百のスペックをもってして成し遂げる。
そして食事を作る、という段階になった時ディは声をかけた。
「私の分の食事は要らないよ。食事不要のマジックアイテムを装備してるから、食べることは出来ないんだ」
「そうなんですか? 食べる時だけ外すってことは出来ないのですか?」
「一度外すと壊れてしまうからそれは出来ないね」
「そうなんですか……わかりました」
そういうとペテルは調理を進める。
作っているのはスープだ。干し肉と乾燥した野菜を使った料理である。
たいしてうまくもないが野営用の食事なので仕方がないだろう。
この後めちゃくちゃ雑談した。
■
翌日になって。一行はカルネ村目指して歩き続ける。
そうして暫く歩いているとカルネ村が見えてきた。
「あれ……変だな。あんな柵前来たときはなかったのに」
ンフィーレがそう呟いた。
(本当だ、なんかできとる)
ディもそうカルネ村を見た。
そこには木で出来た柵が出来ていた。不格好だが防衛としては充分だろう。
畑と畑の間の道を通っていく。
「止まれ!」
そう叫びながら畑からゴブリンが現れた。
だが昨日現れたゴブリンとは違う。武装が良く、体も鍛え上げていると実に分かる。
「ゴブリン?」
そういいながら漆黒の剣は武器を構えた。
「おっと、待ってもらいましょうか」
そうゴブリンが言うと周囲から数人ゴブリンが現れた。
「囲まれた?!」
ペテルが慌ててそう叫んだ。
ゴブリンの知能で出来ることではない。
「お兄さん方、こっちも戦闘は避けたいんです」
「お前たちはなんだ! カルネ村に何をした!」
ンフィーレアがそう叫んだ。
そこに村から一人の少女が歩いてくる。
「エンリ!」
「ンフィーレア! それにフランケリヒ様!」
「……様?」
(あ、面倒なことになりそう)
はぁ、とディは内心ため息を吐いた。
■
村のはずれの丘でディは村人たちを見ていた。
村を見ればそこでは村人たちがゴブリンに指導されながら弓の練習をしているのが見えた。
(……自衛能力を得ようとしているのか……凄いな)
かつての過ちを繰り返さないために努力をしている姿にディは好感を抱く。
「ディさん!」
眺めていたディにンフィーレアが声をかけた。
「どうした?」
「あの、この村を、エンリを救ってくださりありがとうございます!」
「……礼には及ばないよ。私が勝手にやったことなんだから」
「それでも、貴女が居なければこの村は滅んでいた……本当にありがとうございます!」
ンフィーレアはそう頭を深々と下げた。
「それと、申し訳ありません。実はディさんが持っている赤いポーションは、実はとてもすごい物なんです。僕はそれが欲しくてディさんに近づきました……」
「……別にいいだろう。欲張ってこそこの人間だ。それにポーション程度、欲しければあげるよ。適正価格でね」
「…………ありがとうございます!」
ンフィーレアは深々と、それは深く頭を下げたのだった。