「それで結局なんなんですか?この生き物は?」
ヘルメット団を追い払ったホシノはスライムと一緒に生徒会室まできていた。しかしホシノスライムの一挙手一動を観察して何かあればすぐ銃を抜く感じだった。
俺はスライムを抱っこして席に座った。
「コイツはスライムって言いまして、まぁなんて言いますか。ほら、可愛いでしょう?」
「……説明になってないんですけど」
ホシノの冷たい視線が俺に突き刺さる!!しゃーねーじゃん!説明が難しいもん!コイツの起源でも説明するか?でもその場合アレフガルドとか説明しなけりゃならねぇ!
でもこのリアクションと昨日のリアクションで分かった。この世界にドラクエは存在しない、国民的モンスターのスライム見てもこの反応ってことは絶対そうだ。
こっちの手の内が敵にバレない分、説明が面倒だな
「……そいつ、本当にスライムなんですか?私が知ってるのはドロドロしたきみの悪い化け物というイメージなんですけど」
「私もそんなイメージかな」
あー確かにドラクエがない世界の人間のイメージのスライムってアメーバの化け物かぁ。
「……まぁ確かにスライムって言ったらそっちっすよね。けどコイツも立派なスライムです」
「立派なスライムってなんですか……」
「そういえば、さっきどこからともなく現れてたよね?どういうカラクリなの?」
俺もよく理解してないが理解してないなりに説明するか
「あぁ、俺も原理はわかりませんが、こう言ったスライムとかの存在……つまりモンスターを召喚することができるんですよ。スライム以外にも複数体」
「モンスターってそれ大丈夫なんですか!?」
ホシノがツッコむ、確かにモンスターと聞いていいイメージをする人はいないな
「だ、大丈夫!大丈夫!!俺の言うこと聞くし!悪いモンスターじゃ、あ、ゲフンゲフン!!悪いスライムじゃないよ!!(裏声)」
「なんですか、その声と口調は……」
「えっと……?」
2人の冷たい視線が突き刺さる。かなり痛い……うん、ここぞとばかりにはっちゃけすぎたな、俺
「あの……俺もまぁ、我ながらキモいなぁ、とは思いましたよ……あはは」
「……あ、そうだ。リュカ君って銃持ってるの?」
ユメ先輩がこの凍りついた空気を打破しようと、声をかけてくれた。貴方は天使か?……ヘイローあるし天使か、もう。でもまさか銃の所持を聞かれるとは思いもしなかったな……あー確か家の中にも銃は無かったから持ってないな
「持ってない、ですね……多分」
「多分?」
「リュカさんはキヴォトスで暮らしているんですよね?一丁も無いんですか?護身用も」
そういえば、雑誌に取材されるレベルで身近なものだったな、銃ってのは……もしかして持たない方が少数派なのか?
「あ、あぁ。一丁も……持っておいた方がいいのかな?」
「うーん……この辺りはキヴォトスのあたりでもかなり治安が悪いから、つかわないにしろ、持っておいた方がいいと思う……あ!そうだ!」
ユメ先輩が手のひらを叩いて、何かを閃いたような顔をする。人差し指をあげて、こう言った。
「ホシノちゃん、リュカくんに近くのガンショップにまだついて行ってあげてくれる?」
「えっ……私がですか?」
まさか自分が呼ばれるだろうとは夢にも思わなかったホシノが素っ頓狂な声を上げた
「うん、私はちょっと書類仕事があるし……それにほら、同級生同士話しやすいかなぁ?って」
「確かにそうですね……わかりました」
「リュカくんもそれでいいかな?」
「はい!問題ないです!!」
……ん?書類仕事?……なんのことだろうか。聞こうとしたが、まぁ明日にでもわかることだろう。後回しにした。
再び外を歩いた俺とホシノ、俺は昨日軽くこの辺り見た程度だし今日はバタバタしててろくに景色を見てなかったし、今はホシノが俺のことを守ってくれるから、もう少し周りを見渡せられる。モンスター達は戦力がどこまで通用するのか不明だから、ありがたかった……ふむ、それにしても
周りは建物の屋根に砂が被っていたり、砂が地面の至る所を占領している……日本ではあまりお目にかかれない光景だ。
そんな感じでキョロキョロと珍しそうに辺りを見渡す俺を見て、ホシノは喋りかけた
「リュカさんは、いつ頃に
「ん?……あー、ちょっと前かな?」
「やはり、そうですか」
「……もしかして結構わかりやすかった?」
「えぇ、まぁ。かなり珍しそうに見渡してましたから」
あらやだ。恥ずかしい……隣からすれば首ブンブン振り回してる男子生徒に見えてたのか
「……あら〜、まぁ……」
「この辺りに来たばかりなら、仕方が無いですよね。アビドス高校についても、あまり知らない様子でしたから」
あー、さっきの借金云々の時のリアクションのせいかぁ……
「正直に言うとなぁ……学校までの道順と名前くらいしか知らなかったんだよなぁ、俺」
「そうなんですか……ではあの校舎は本校舎では無いことも?」
「え゛っ!?そうなの!?」
嘘だろ、日本の校舎みたいでもそこそこ大きい校舎だぁ!って思ってたぞ!?
「あそこは本校舎ではなく、自治区にある別館のようですね……私も調べただけでまだ実感が……あまり」
「…………え、あれ、別館??……嘘だろ!?」
なんで借金が大量にある高校がそんなゴージャスでド派手なことをやってるんだ!?こんな粗い使い方をしたのが原因か!?
「今リュカさんが勘違いされてそうなので、訂正をしますが……元々ここアビドスはキヴォトス最大かつ最高の学園だったそうです」
「……そうなの?」
今の砂だらけかつ生徒3人の高校からは想像できない
「えぇ、私も噂等で確証はありませんが、なんでも生徒会長が70人もいたとか」
「ななじゅ……!?」
途方もない数字だ、逆にそれ逆効果だろ。どうやって決めるんだよ……いや、んな荒唐無稽な噂立てられるほどのマンモス高だったのか?……だったら
「あとはアビドス砂祭りという、アビドス最大の祭りがあったそうですよ?」
「砂祭りねぇ……!」
どんな祭りかは知らないが、やはり日の本に生まれた人間、祭と聞いて血が騒ぐな……とはいえ、んなすごい祭りやら変な噂立てられるほどすごい高校なのに、なんで
「こんなことに?」
少し楽しそうな雰囲気だったホシノが、少しだけ目を下げた。
「……今から数十年前に、原因不明の砂嵐が……それにより、アビドス砂祭りでのシンボルであるオアシスが枯れてしまい、環境は激変に変わったそうです」
「原因不明の?」
……そうか、だからこんなに砂が至る所で、原因不明ということはおそらく今も砂嵐が来ているのだろう。
「そうです、今も原因は解明されておらず、それこそ異常気象として……それで、砂漠化対策のために多額の資金を投入するも事態は一向に好転せずに、借金をして対策をしても……」
一向に止まらない砂漠化、増える借金、先のない未来……そうか、それで
「みんな、出ていっちまったのか……」
「……最終的には3人だけの弱小高に」
……あんまりだな、報われない話しだ……こいつは
「しっかし、よく知ってるなぁ。物知り博士か?」
「事前に入学する高校の前情報を調べただけですよ」
んー、俺の受け取り方の問題だけど、ろくに調べない俺がアレって感じになったなぁ。
「……呆けているところすいませんが、目的化につきましたよ」
「お、おぉ!悪い!悪い!……へぇ、ここが」
ガンショップ……看板の文字がさびれて見えねえ。が、店は風貌が全てじゃない。俺は扉を開けた
「……」
中には新聞を読んでいる犬の店主がいた………毛とか大丈夫なのかな?それ?店主はこちらに一瞥しただけで、特に何も言わなかった。まぁ、客こなさそうだし冷やかしと思われたんだろうな、
「しっかし、本格的な店だなぁ……てっきりコンビニとか自販機で販売されてたと思ってたが」
流石にそんな身近な物ではねーよなぁ
「?……ありますよ」
「んうぇ!?マジで!?」
おいおいおいおい!!マジでどんなところだよ!!キヴォトス!!
「じゃあなんで行かなかったんだ?もしかしてこっちの方が品揃えいいとか?」
「いえ、単純にこの辺りではコンビニや自販機が設置されてないので」
「世知辛れぇ……悲しいなぁ」
「……」
ギロリ、と新聞を見てる店主と目があった。あ、これ起こってらっしゃる。ふざけてないでとっとと選ぼう。とはいえだ、俺は銃のことなんてサッパリ何も知らん、サブガトリングとガトリング砲間違えるレベルの無知さだ。
「あのぉ〜……ホシノォ、選んでくれる?」
「……私が、ですか?」
「そうそう、俺ついこの前までオートマチックのこと車の話と勘違いしてたレベルでさぁ」
「……なるほど……わかりました」
一瞬ため息が聞こえたかと思ったが、多分気のせいだろう。
「これとか……どうですか?」
そういい、俺の前に出したのは、ハンドガンだ。
「おぉ〜、ハンドガンだ!カッケェ!!」
リュカは知らないが、それは彼の世界ではグロック17と呼ばれる銃火器だ。
「この自動拳銃ならどうですか?大部分がプラスティックで出来ていて、これなら軽く扱えます。それに
俺は手渡された拳銃を、レジに運んだ。
「店主さーん!これくださぁい!」
「なっ!?もう少し考えないんですか!?」
「俺これ見てピーンと来たんだ、こういうのって直感で選ぶべきだろ?」
「……オートマチックのこと勘違いしてた人がそれ言いますか?」
「くっ!何も反論できない!!」
俺がそう言っていると、レジにいた店主が、初めて新聞を近くの台において、俺の方を見た
「……小僧、名前は?」
「竜頼リュカ!名前に頼るとついてるけど───」
「リュカ、か。分かった」
え?俺の小粋なジョークスルーですか??俺がそう内心傷ついていると、店主は近くの棚から何かを取り出して、それをおいた。
「それ、弾薬箱じゃないですか……?」
ホシノがそれを見てつぶやく、え?本当だ。これが弾薬箱かぁ……初めて見た
「小僧、取っておけ」
ぶっきらぼうにそれを俺に差し出した。
「え!?いいんですか!……ん?あれ?今俺のこと小僧呼び?」
「弾薬はサービスだ……久しぶりに気に入った客だ。銃をどれにするのか即決断できるかがな……まぁ、最近ろくな客がいなかったんだ、取っていけ」
「……リュカさん、良かったですね」
「あぁ、ホシノのおかげだな!お前が紹介してくれたおかげで俺すぐに決められた!」
多分俺ホシノのチョイスなかったら、数時間決められなかったし
「……どう、いたしまして」
「……とはいえ、さっき会話聞いていたが、銃のこと本当に知らないんだな?そっちの嬢ちゃんに帰ってから使い方教わりな、小僧」
「あ、あぁ!!……結局小僧呼び?」
「まぁ、何かあったらまたこいよ。歓迎するぜ……小僧」
「……俺の名前聞いた意味は?」
そうして、俺たちは店を後にした。ちなみにホシノは危ないから弾薬と銃は危ないからと、代わりに待つことにした。
そのあと不良とヘルメット団たちに何回か襲われたが、荷物持ってると思えない動きで一回も攻撃を受けずに圧勝した。
ドラクエ大百科
わるいスライムじゃないよ。
NPCのスライムが発言するセリフ、魔物の中にも悪き心をもったモンスターと善の心を持ったモンスターがいると端的に説明する言葉、短いながらも奥が深い───リュカは願わくば、自身のモンスターが善の心を持った存在であってほしいと思っている。まだ、彼らとの関係は始まったばかりだ。
初登場はドラクエ4