平行世界のドラゴンたち。   作:ペンギン隊長

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扱い的には閑話な気もする


白き龍皇12

 

 

幼女姿のオーフィス(以前は老翁の姿をとっていたのだが、何故かヴァーリとつるむようになってこの姿を好むようになった)を膝の上に座らせた状態で、ヴァーリは書類仕事を片付けていた。オーフィスは携帯ゲーム機で遊んでいる。更にその膝の上にはアンティーク調の時計も乗っている。

「――ヴァーリ様、シャルバです」

ノックの後に声がする。ヴァーリは入室の許可を出した。すぐに青年悪魔と見慣れぬ少年悪魔が入ってくる。ヴァーリは手を止めてそちらを見る。オーフィスもそれを真似たように二人を見た。

「何か用か?シャルバ。御機嫌伺い、というわけでもなさそうだが」

所在が禍の団の内ではっきりしていると、五日に一度くらいは御機嫌伺いとして顔を出しに来るのである。

「この者が一度あなた様にお目通りしたいと言うものですから、ご無礼を承知で連れてまいりました」

「…つまり、お前の協力者か」

ヴァーリが少年に目をやると、少年は頬を紅潮させ、緊張した様子で言う。

「ディオドラ=アスタロトと申します!」

「ヴァーリ=ルシファーだ。…アスタロトというと、確か旧七十二柱の一つだったか」

そして、現魔王の一人、アジュカ=ベルゼブブの実家でもある。そんな名家の悪魔がテロ組織に加担したと知れれば面倒なことになるだろうな、と思う。かと言ってどうする気もないが。無理に従えている様子もないし。というか、その名を最近報告書に見た気がする。

「あの…お会いできて光栄です」

「…そこまで緊張し畏まらずとも、取って食う気はない」

くすり、とヴァーリは笑う。はっきり好意らしきものを見せている相手に冷たくできるような性格を彼はしていない。

「、…」

真っ赤になって口をパクパクさせるディオドラを見てヴァーリは首を傾げた。シャルバが不機嫌そうな顰め面でディオドラを小突く。

「見苦しいものを御前にお出ししてしまい、申し訳ありませんでした。御気分を害されませんでしたか」

「いや。俺は、己の感情を素直に表に出す者は好ましいと思う」

寧ろ、ディオドラに対して気分を害したのはシャルバだろう。理由は知らないが。

「ですが…」

「ヴァーリ、夕食の時間だ」

それまで黙っていたオーフィスがそう言って時計を見せる。

「ああ、確かにもうこんな時間か。…折角だからお前たちも一緒に食べていくか?」

二人分も四人分もそう変わらないからな、とヴァーリは付け加える。

「それは、何というか、用意する方の迷惑になるのでは?」

「別に迷惑じゃあない。これから作るので少し時間がいるが、そう凝ったものを作るつもりもないしな」

「…え?」

「ヴァーリ様が、作られるのですか?」

「料理は趣味の一つなんだ。意外だったか?」

「…ええ、まあ…」

「それで、どうする?」

 

ヴァーリはハミングをこぼしながら、手際よく調理をしていく。オーフィスは隣でその手元を見ていた。

「ヴァーリ、何故誘った?」

「今日は皆出払っていて寂しいだろう」

「寂しい?」

「俺は、料理を食べて喜んでくれる相手がいると嬉しい。だが、いなかったり少なかったりすると寂しい」

「我だけでは不満、か」

「オーフィスは反応が薄いからな」

「・・・」

 

やけに恐縮しながらパスタを食べているディオドラと、何やら複雑な感情をぐるぐるさせているシャルバに冷めた視線を向け、ヴァーリはオーフィスを見る。流石に何度も食事を共にする内に覚えたのか、その所作は彼と同じくテーブルマナーに法った美しいものである。

正直なところ、ヴァーリはシャルバとディオドラが不可解で仕方ない。だから(・・・)食事に誘ったといっても間違いではない。

 

「…ああ、アーシアが魔女と呼ばれる原因になった悪魔か」

思うところがないではないが、それだけ(・・)なら別に放っておいただろう。問題は、ディオドラが過去に他のシスターにも手を出していて、現在アーシアにちょっかいをかけている、ということである。求婚し、己の配下とのトレードさえ申し出たらしい。当然リアスには断られたが。そして、近々レーティングゲームでグレモリー陣営と対戦することになっているらしい。

「…。…イッセーに警告しておくか」

ヴァーリは、アーシアに友情と共感のようなものを感じている。だから、彼女には幸せになって欲しいし、危害を加えたくない。…まあ、そもそも彼に危害を加えたい相手などいないが。

 

「やぁ、イッセー」

「!ヴァーリ」

にこり、と笑うヴァーリに、一誠は少し戸惑ったような様子を見せる。

「ディオドラ=アスタロトと戦うそうだな」

「…ああ」

「彼は"こちら"と繋がりがある上に、少々(・・)特殊な性癖を持っているようだ。十分に注意をしておけ」

「…何で、そんなことを教えてくれるんだ?」

「理由が必要か?…そうだな、俺は友人が不幸になることは望まない。だから、多少なりとも手を打っておこうかと思った。…といったところでどうだ?」

ふ、と笑ったヴァーリに、一誠は複雑そうな顔をする。

「…お前、本当に俺の敵なのか?」

「少なくとも、立場上はそうだ」

沈黙し見つめ合う二人だったが、そこに声をかける者があった。

「にょ」

「ミルたん、にょ」

それだけのやり取りをして去っていったミルたんを、ヴァーリは驚いた様子で見送る。

「俺が、接近に全く気付かなかった…?何だ、あの…魔法少…女?」

「俺のお得意様でミルたん、って人なんだけど…ヴァーリ、一目で魔法少女ってわかったんだ」

「あの衣装は見た覚えがある。確か、魔法少女ミルキー、だったか?」

「お前、アニメとか見るんだな」

「オーフィスの情操教育代わりになるかと思ってな…実際効果があったかはよくわからないのだが」

 

 

 

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