平行世界のドラゴンたち。   作:ペンギン隊長

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番外
小六の春


「魔法少女」

 

「何か憂鬱そうな顔してるけど、どうかしたの?」

「…今度、学校で授業参観があるんです」

「うん」

「…姉さんに知られてしまったんです」

「…ソーナのお姉さんっていうと…」

セラフォルー=レヴィアタン。魔王の一人であり、何度か顔を合わせたが、毎度魔法少女のコスプレだった。そして、かなりのシスコンで妹を溺愛している。これらの情報から考えると…

「セラフォルーさんがあの格好で来るのか」

「…ええ、おそらく」

確かにそれは憂鬱になってもおかしくないだろう。真面目なソーナなら尚更。

「僕で力になれたら良かったんだけど…」

普通に苦言を呈して聞く相手じゃないし、言って聞くなら止めてるだろ、多分。

「…姉さんは、機嫌を損ねると手が出ますから…」

「…あの人外交担当じゃなかった?」

「仕事は、ちゃんとやってるみたいです」

オフではあんまり自重しないんですねわかります。…それとも、一種の威力外交なんだろうか。

 

「あ、イッセー君☆やっほー☆」

「こんにちは、レヴィアたんさん」

「…何か余所余所しくない?イッセー君と私って、名前で呼び合う仲になったよね?」

「何言ってるんですか、魔法少女のレヴィアたんさん。レヴィアたんさんはレヴィアたんさんでしょう」

「う、うぅ…」

泣きそうな顔をするレヴィアタンに一誠は首を傾げてみせる。

「どうしたんですか?レヴィアたんさん」

「うう、イッセー君の意地悪ー!!」

レヴィアタンが走り去る。と思ったら、普通のワンピースに着替えて戻ってきた。

「これでどう!」

「どうしたの、セラフォルーさん。何かあった?」

「わかってて、言ってるよね?」

一誠はにこり、と笑う。

「セラフォルーさん、魔法少女は正体がバレちゃダメなんですよ。謎の美少女じゃないと」

「え、あ、うーん…まあ、確かに、それはセオリーだけど…」

「正体がバレていいなら変身する必要ないしね」

「えー、返信は必須だよぉ☆その方が可愛いもん☆」

「変身に着目するんだったら、変身前と変身後のギャップも気にするべきだと思うけどな。変身前の普通の女の子がいてこそ、変身して活躍するっていう演出が映えるんじゃないか」

「ギャップ…ギャップ萌えか…確かにそういうのもあるかも…」

「正体を隠しているからこそのすれ違いとか、勘違いとかもおいしいし。正体を隠さないといけないけど、魔法少女に想いを寄せる彼に話したら自分のことを見てくれるんじゃないか、みたいな葛藤とか。まあそういうのは謎のお助けキャラでも同じようなことはありうるかもしれないけど」

「そうだよね、そういうのってロマンだよね☆謎のお助けキャラ、正体はヒロインに突っかかってくる男の子、みたいな☆変身前はお互いあんまり仲良くなくて、喧嘩するけど、変身後はお互い相手を気遣って協力して恋して、みたいな☆」

「そういうのって、お互い相手の正体を知らないからこそいいんだよね。正体がバレたら関係性が変わっちゃうし」

「うん、でも知ってからの葛藤とかもいいと思うけどなー」

「いや、ヒロインが気付いてからの葛藤は長すぎるとダレるから、気付いたらそこからはトントン拍子に展開を進めないとじゃん?でもって、ヒロインの正体バレって物語終了フラグっていうか、魔法少女終了のお知らせじゃない?」

「あ…そうだよね、ヒロインの正体バレは終盤の山場だよね…シリーズ大団円(ハッピーエンド)へのラストスパートだよね…」

苦悩するセラフォルーに一誠はにこりと笑いかける。

「やっぱり、正義の味方は正体不明じゃないとねー」

「そうだね、レヴィアたんも謎の美少女魔法使いじゃなきゃだよね…魔法少女だもんね…」

「堂々名乗って正体バレしたらコスプレになっちゃうからねー」

「うっ、レヴィアたんはコスプレじゃなくて魔法少女だもん」

「そうですね、セラフォルーさんがレヴィアたんさんのコスプレしてるだけですねー」

「…ソウダネー…」

しょぼん、とセラフォルーは肩を落とした。一誠はくすくすと笑う。

「まあ、女の子はちょっと謎めいてる位の方が魅力的だって言うし」

奥ゆかしい、ってのはもっと知りたいって思わせるってことだからねぇ。

「…レヴィアたんは謎の美少女になります」

「へー、そうなんですかー。ところで、今度の授業参観、ソーナのお姉さんのセラフォルーさんは行くんですか?」

「え、うん☆勿論私も行くよ☆ソーナたんの晴れ舞台だもんね☆」

「当然、謎の魔法少女のレヴィアたんさんじゃなくて、お姉さんのセラフォルーさんが行くんですよね?」

「………イッセー君、今までの茶番はその言質を取るためのもの?」

「だって、正面からコスプレやめてくださいって頼んでも聞かないでしょ」

「むむむ…」

「…さて、ソーナにもレヴィアたんさんは見知らぬ美少女として扱うように言ってこようかな…」

「えっ」

「本来魔法少女は"何故か正体がバレない"ものだけど、ソーナはそういうお約束を知らないみたいだから、ちゃんと教えとかないとねー」

「そっ…ソーナたんに冷たくされたら私悲しくなって天界に攻め込んじゃうよ?!」

「じゃあ最初から冷たくされるリスクは回避すればいいじゃないですか」

「それは、そうだけど…」

 

 

 

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