平行世界のドラゴンたち。   作:ペンギン隊長

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高二、四月


秩序の破壊者27

 

 

「聞いてくださいっス、イッセー様!」

「ん?どうしたの、ミッテルトちゃん」

「レイナーレ先輩が、酷いんス!」

要約すると、ミッテルトは色気が足りないから色仕掛けしても引っかかる男なんていないわよ、プークスクスと言われたらしい。まあ、彼女は自分の美貌に自信持ってるタイプだからなあ。

「そりゃあ、うちは先輩ほどの色気はないかもしれないっスけど、うちだって、可愛げとかあるっスよね?」

「そうだな…まあ、APP14か15くらいは…」

ちなみにAPPとはクトゥルフTRPGにおける能力値の一つで外見の第一印象を現す値である。期待値は10前後で最高値は18、人外の美貌となる。逆に0だとSANチェックが必要な外見となる。

「イッセー様のゲーム脳め…」

「いや、APP14とか15ってそこそこの美人で普通にモテるレベルだぞ。褒め言葉だって。ていうか、僕の周り男も女も高APPメンバー多すぎてフツメンは肩身が狭いしミッテルトちゃんみたいなそこそこの可愛さの子は癒されるんだけど」

「それ確実に褒め言葉じゃないしイッセー様はフツメンじゃないと思うっス」

一誠が納得できないという顔をすると、ミッテルトは頬を膨らませた。

「まあ、イッセー様は誑しだけどデリカシーないところあるっスから、それはいいっス。それより、協力して欲しいんス!」

「…何を?」

「男を落とす方法を教えて欲しいっス!」

「…それを何で僕に聞くかな。女の子に聞きなよ、女の子に。黒姉とか」

本格的に誰ぞと付き合ったという話は聞かないが、小悪魔的というか、それなりに浮名があるというか…まあ、一誠の中で身近で男を手玉に取れそうな女性という立ち位置(ポジション)になっている。弟として、黒歌が彼氏を連れてきたら小姑になる気満々ではあるが。

「いやー、あの人意外と純情キャラっスよ?っていうか、黒歌先輩は教えてくれないと思うっス。イッセー様ぐらいしか、頼れる人がいないんスよ!」

「…。…本当に教える必要あるのかなぁ…まあ、保証はできないけど、小技程度なら」

はあ、と溜息をついて一誠は指を立てた。

「色気を演出するのは目元、それに口元と、あと手や指の使い方がポイントだね。特に視線をうまく使って庇護欲とか嗜虐心とか刺激してやるといいと思う。端的に言うと、伏し目、流し目、上目遣いだね」

「伏し目、流し目、上目遣い、っスか」

「まあ、自分の個性を活かすのが一番ではあるけどね。ミッテルトちゃんだったら、そうだな…あんまり背が高くないから、自分より背の高い相手を下から覗き込みつつ上目遣いしてやるとグラッといくんじゃない?まあ、ギャップ萌えってのもあるけど、使いどころが難しいし、頻繁に使えるものじゃないからなあ」

ちなみに僕は普通に媚を売られても効かないからね、と一誠は釘を刺した。ミッテルトはふむふむ、と頷いている。

「まあ単純に頑張ってる女の子は可愛いから、さりげなく頑張ってますアピールするってのもいいんじゃないかな。後は笑顔とか。ベタだけど、ベタはベタで安定してるからねぇ」

「頑張ってるアピールっスね」

「ただ、何でもあんまり露骨にしすぎて不自然になるとダメだから加減するように。…で、誰を落とすつもりなの?幼気(いたいけ)な男子高校生の純情を弄ぶのは良くないと思うよ?」

「それは心配いらないっス。今度ヴァーリ様にどっちの方が魅力的か判定して貰うんスよ!」

「…へー」

ヴァーリは割と純粋培養の朴念仁なので一般的な男子とは異なるアプローチが必要そうな気はするが、それは言わぬが花だろう、と一誠は口を噤むことにした。何事も経験である。

「ヴァーリ様はモテ男っスから、百戦錬磨っすよね、多分」

「あー…ウンソウダネー」

百戦錬磨(物理)の間違いだねー。僕アイツから女の話が出たの聞いた覚えないぞ。単純に美形だから黙ってればモテると思うけど。

一誠の目が若干泳ぐ。ミッテルトは不思議そうな顔をした。

「そういえば、イッセー様は学園の方でもモテモテなんスか?」

「いや、僕は目立たないようにしてるし、祐斗とか嬬蕗みたいにわかりやすいイケメンがいるから別に」

そもそも一誠はモテたいと思っていない。異性に対する興味も薄い。

「ふむ、既にモテてるからAPP低い相手は別にいい、と」

「僕別に相手のAPPとかそこまで気にしないからな」

妙な誤解をされては困る、と一誠は訂正する。

「イッセー様がこっち(・・・)側のイッセー様曰く高APPの人たちにモテモテなのは事実じゃないスか。最早ハーレムと言っていい状態っスよ」

「僕はハーレムにした覚えはないし、ハーレムと言われるような手の出し方はしてないぞ」

モテていること自体は否定しきれないのだが。その意味合いはともかく。下心込みで色仕掛けを試みられたこともないではない。

 

 

 

 

 




一誠視点だと舞台裏進行である
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