「こんにちは、イッセー君v」
「こんにちは、レイナーレ。で、今日は何の用だ?」
「用がなくちゃ来ちゃいけないわけ?」
むすっとした顔をしたレイナーレに一誠は小さく肩をすくめる。
「君、用がなくても来られる程暇してないでしょ。"別口"からの任務でも受けてるみたいだし。…僕の友人を困らせたりしたら、容赦しないよ?」
「イッセー君のイケズ。…まあ、確かに、用事があって来たのも確かだけどね。…入ってらっしゃい、アーシア」
「あ、はい、お邪魔します…」
レイナーレに促されて入ってきた少女を見て、一誠は片眉を上げる。とりあえず、堕天使ではない。寧ろ、聖属性の存在だろうと思う。一般人か、神器所有者か。
「元・聖女で"
「把握した」
つまり、レイナーレは一誠が告げた"条件"を果たすために彼女を連れてきたらしい。
「え、えっと、アーシア=アルジェント、です」
「僕は兵藤一誠。イッセーでいい」
戸惑っている様子のアーシアに微笑いかけ、一誠は計測器具を取り出す。
「とりあえず、君の神器のデータを一通り取らせてもらうよ。それから…うーん、そっちの予定はどうなってるの?」
「特に予定は入ってないわ。回復専門の"聖女サマ"にエクソシズムが出来るとは思ってないし」
「じゃあ、まあ適当にうちで預かる感じ…かな?うちよりお隣さんの方がいいかもしれないけど」
一応教会関係者なわけだし、と一誠は付け加える。
「まあ、そうなるかしらね。それじゃ、約束のスペシャルなやつ、期待してるわねv」
レイナーレはそう言って、用事があるからと去っていった。後には一誠とアーシアが残される。
「…じゃあまあ、説明は計測しながら、ってことで」
「は、はい…」
一通り計測が終わると、アーシアに翻訳魔術のかかった魔導具を持たせ、丁度帰ってきてのんびりしていたヴァレリーに預ける。
本日の夕食当番は一誠である。リビングのホワイトボードの各人の予定連絡表を見るに、今日用意すべきはわずか五人分であるようなので冷蔵庫内にある分で十分足りるだろう、と一誠はさっさと料理を始める。
行程の半分程まできたところで、レオが帰宅する。そして、アーシアを見て僅かに目を丸くした。
「あれ、一兄さん新しい彼女?」
「誤解を招くようなことを言うんじゃない。僕にガールフレンドがいたことはない。…アーシアはまあ、暫定的なホームステイみたいなもんだ」
「ふーん。僕は兵藤
「私はアーシア=アルジェントといいます」
「アーシアちゃんはイタリア系のシスターさんなんですって」
「へぇ、兄さんなかなか鬼畜ですね」
「何故僕は弟に謂れのない誤解を受けなければならないんだ…」
ぼやきながらも一誠は料理を続ける。後は暫く煮込めばメインは完成になる。デザートにウサギリンゴを切ろう、と一誠が包丁を手に取った時、アポロが帰宅した。
「ただいま帰ったぞ、イッセー!」
「邪魔をするぞ、イッセー」
「おかえり、アポロ。いらっしゃい、ヴァーリ。何で夕飯時に連れてきたの」
「今日家に居るのが
「せめて事前に一報入れるように言ってるでしょうが。あーもう、ハンバーグにしなくて良かったよ…」
ちなみに本日のメインはロールキャベツである。
「…迷惑だったか?」
「一応対応できるけどご飯は食べる人数を把握して料理したいってだけ。まあ、アポロがおかわりできる量が減るだけだから。食べてくんだろう?」
「ああ」
「そういえば、確かに神滅具持ちばっかだね」
「アーシアちゃんは違うけどね」
「ん?誰だ?」
リビングのやり取りに耳を傾けながら一誠は料理の仕上げをして器に盛っていく。アポロが顔を出したので用意のできた皿をダイニングに移動させるように頼んだ。
「…あ、アーシアは多分箸は使えないよな」
いずれにしろ来客用の食器を使ってもらうわけだが。ちなみにヴァーリはそこそこの頻度で食べていくので彼専用の
「レイナーレたちが忙しくしてるみたいだが、何かあったのか?」
「俺は特に何も聞いてないが…」
ヴァーリは僅かに顔をしかめる。
そういえば、レイナーレはアザゼル狙いなのでヴァーリからすると義母の座を狙われているようなものになるわけか。嫌な同級生だな。
「…何か変なこと考えてなかったか?」
「別に変なことを考えてたつもりはないけど」
「そうか…?」
ヴァーリは疑わしげな視線を一誠に向ける。一誠は小さく首をすくめる。
「俺は別に、除け者にされてるわけじゃないからな」
「あ、そういえばミッテちゃんたちのお色気対決ってどうなったんだ?」
「君は何処でそれを聞いたんだ」