平行世界のドラゴンたち。   作:ペンギン隊長

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大体一誠が辿りつく前


青紫竜の憂鬱4

 

 

「ハウルったら、連絡が取れないと思ったら、家にも帰ってないらしいのよ」

「無断欠席、ですよね。ここ数日いないのは」

「ここ数日授業にも…というか、教室にも来ていないよ」

「何か、妙な事件にでも巻き込まれているんでしょうか…」

「ハウル先輩なら、自分から地雷原に突っ込んでてもおかしくない、気がします」

アユムは"ハウル"との面識はない気がするが、その名に聞き覚えはある。嬬蕗ハウル。祐斗と二人で学園の二大イケメン王子と称されモテている男である。

アユムが微妙な表情をしていることに気付いたリアスが説明する。

「ハウルが、あなたに紹介できていないもう一人の私の兵士(ポーン)なのよ」

「ハウル先輩と士方先輩は正反対のタイプ、ですけど」

「…そりゃ、俺は非モテだけど」

「でも、先輩は誠実な人ですよね」

手鞠がそんなことを言ってアユムを見る。アユムは照れたように視線を泳がせる。祐斗が苦笑する。

「戦法の話じゃないのかい?彼は正面切って戦うタイプではないし」

「士方君はワイルド系ですけど、ハウル君は耽美系ですしね」

朱乃が交ぜっ返すようなことを言う。

「アユムはモテたいと思ってるの?」

「モテるかモテないか選ぶなら、どちらかといえばモテたいです。…いや、まあ、俺は俺の運命の人(ヒロイン)が好きになってくれればそれでいいのはいいですけど」

「…先輩、ロマンチストですね」

 

アユム、祐斗、手鞠の前衛組と、空から探す朱乃とギャスパー、単独で行きたい所があるというリアスの三手に分かれてハウルを探すことになった。

「一応、ハウル君の携帯のGPSが示すところに行ってみようか」

「GPSなんてついてるのか…」

「首輪みたいなものだって」

誰のセリフなのだか、祐斗が微笑する。ハウルのオカ研における立ち位置が見える気がする。

「GPSが動いていたのはラッキーですけど、先輩が持ってない可能性もありますよね」

「その時は別の手がかりを探すしかないね」

 

幸運にも、GPSはハウルの居場所を指し示していた。ただし、そこは堕天使の拠点だった。

「…あ」

「君は…」

「…アユム君、生きてたんスね。ウチが言うのもなんすけど、良かったっス」

ミッテルトはそう言って気まずげに微笑う。

「…先輩の知り合い、ですか?」

「…俺を殺した子だ」

「うちも任務だったっすから。…でも、今はもう殺す気ないっすよ。"今のアユム君を殺す必要はない"っすから」

「…何故?」

「極秘任務っスから、言えないっス。…でも多分、アユム君は予想できてるっスよね?それが答えっス」

「一体誰がそんなことを?」

「直属の上司の命令じゃない、とは言っておくっス。多分、"真相が明らかになる"前に話すのは死亡フラグっスから」

ところで、とミッテルトは首を傾げる。

「そんなに殺気立って、悪魔さんたちが此処に何の用っスか?駒王町周辺における不戦協定のことは知ってるっスよね?」

「…僕たちは人探しをしているんだ。僕らと同じくらいの年の、下級悪魔の男なんだけど、知らないかい?」

「その人が此処にいるかも、ってことっスか?………まさか、レイナーレ先輩が連れ込んだ彼じゃないっスよね…?」

手鞠がハウルの特徴を伝えると、ミッテルトはやっちまったな、みたいな顔をする。

「多分それ、一昨日くらいにレイナーレ先輩が連れ込んできた男っスよね。…うち知らない、っと」

そう言いながらミッテルトは道を空ける。通してくれるらしい。

「レイナーレ先輩の使ってる部屋は真ん中っス。一番手前はうちの使ってる部屋っスから、入らないで欲しいっス」

「本当かどうかわかりませんから、順番に見ていきましょう」

「鬼が居るっス?!」

 

ミッテルトの言っていた通り、真ん中の部屋にレイナーレはいた。部屋の奥でハウルが逆十字に磔にされて意識を失っている。どうも何らかの儀式でもしようとしていたようである。

「あら、招かれざる客が三人も。非常識ねぇ、悪魔さんたち?」

「ハウル君!」

「ハウル先輩!…またスケベ根性出して失敗したんですか」

心なしか手鞠のハウルに向ける視線は冷たい。

「そうね、ちょっと誘ったら簡単についてきてくれたわ。まあ、私みたいな美少女の誘いなんだから当然でしょうけど」

レイナーレはそう言って得意げに笑う。

「祐斗先輩、後で部長にチクってお仕置きしてもらいましょう」

マジで言ってる目だった。祐斗が苦笑する。

「まあ、反省はしてもらった方がいいだろうけど」

 

「…龍の手(トワイス・クリティカル)じゃない…?」

「両腕を覆う…亜種、ってこと、かな」

「っし、今度こそ、ぶっ飛ばす!」

体中にこれまでにないほど力があふれているのがわかる。今なら何でもできるんじゃないかという万能感がある。

「ちょ、ちょっと、女の子相手に手加減しようってつもりはないわけ?」

「男女平等だ」

「「・・・」」

「男女平等って普通そういうところで使う言葉じゃないわよね?!」

「使いませんけど、間違ってませんよね、男女平等パンチ」

「まあ、女性だからって手を抜くのは失礼になる時もあるし…」

「世界には俺より強い女性もいるからな」

大概マジだった。

その時、扉が開いて、入ってきた者があった。

「レイナーレ、約束のスペシャルなやつ持ってきたよー…って、これどういう状況?」

一誠はそう言ってきょとんとして首を傾げた。

 

 

 

 

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