平行世界のドラゴンたち。   作:ペンギン隊長

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幕間


秩序の破壊者32

 

 

「久しぶりの一兄様だーっ」

背後から抱きついてきてすりすりと頬をすり寄せる白音に、一誠は目を丸くして僅かに首を傾げた。

「そういえば最近は黒姉と二人で何処かに行ってたみたいだけど、何かあったの?」

「最近ちょっとキナ臭い気配があるから、何かしらやっておこうと思って、姉様と仙術と妖術の修行をしていたの。その内兄様にも白音スペシャルを見せてあげる。にゃん♪」

「へぇ…相変わらず白音は行動的だなぁ」

その時、黒歌もやってきて白音がくっついているのとは反対側の隣に座る。

「あ、白音ばっかりずるい。私もイッセー分補給する、にゃん♪」

左右から姉妹に抱きつかれ、一誠は仕方ないなあ、とされるがままになっている。レオが呆れた顔をした。

「黒姉さんも白姉さんも、空気を読む気がないんですね…」

「イッセーには色々聞いておいた方がいいかな、って気はするけど、その前に自分で決めたとはいえ、二週間頑張ったご褒美が欲しいかな、ってね」

「僕をハグするのがご褒美、って随分お手軽だね、黒姉。夕食のリクエストでも聞こうか?」

「親子丼がいいにゃん。具沢山で」

「私はお刺身が食べたいなー」

「はいはい、親子丼とお刺身ね」

じゃあ今日は買い物に行かなきゃダメだなぁ、と一誠は呟いた。

「…兄さんは姉さんたちに甘いよね…」

レオが大きく溜息をつく。一誠は苦笑した。

「…イッセーさんたちの姉妹(きょうだい)、ですか?」

「ああ。僕の姉の兵藤黒歌と妹の兵藤白音だ。黒姉、白音、最近リアスの僧侶(ビショップ)になったアーシアだよ」

「アーシア=アルジェントです」

「私は黒歌よ。よろしくにゃん」

「白音です。…兄様に妙なちょっかいを出すようでしたら容赦しませんから、そのつもりで」

「え、あ、はい…」

アーシアにすごむ白音に一誠は苦笑いした。

「ついでに言うと、士方歩武もリアスの兵士(ポーン)になった」

「アユム先輩が?一体どういう風の吹き回しかしら」

「それは本人たちに聞いてくれ」

「ふぅん…でもまあ、つまり兄様が部長の眷属になる可能性は殆どなくなったようなものよね」

「…まあ、残りの駒は騎士(ナイト)戦車(ルーク)が一つずつだからな」

変異の駒になると少々話が難しくなるが、現状、リアスの持つ駒と一誠では価値が全く釣り合わないのである。そもそも一誠は悪魔になるつもりはないが。

「…そろそろ、話を元に戻してもいいかい?」

「ああ。悪いな、祐斗」

「ううん。…まあ、そういうわけでアーシアさんはこのままこちらに居てもらって欲しいんだけど」

「まあ、アーシアは完全に治療役(ヒーラー)の後方支援で、戦闘経験もないみたいだしねー。一人暮らしってのも心配だろうし」

「…にゃん?」

「イッセー、一体どういうこと?」

黒歌の目が笑っていない。白音も若干剣呑な眼差しになっている。そこに自分の分のマグカップにコーヒーを入れて戻ってきたアポロ(人型)が嗜めるように言う。

「盛るな猫ども。確かに我のイッセーはとても愛らしいが、近づいてくる者全てがイッセーを狙っておるとは限らぬのだからな」

そして、黒歌と白音を引き剥がして自分が一誠を抱え込んだ。

「…まあ、元の所属がきっちりしている者の方がイッセーの良さに気付きやすいようだがな(ドヤァ」

「やっぱりあなたが一番の敵のようね…」

「何のことだ?」

ニヤニヤと笑うアポロを白音は睨みつける。一誠はそれらを無視して渋い顔をしている黒歌に言う。

「アポロの言い方はどうかと思うけど、まあ、そういうことだから。アーシアは悪い子じゃないし、そもそも、特に僕が助けて此処にいるわけでもないからね。別に変な下心はないよ。どっちかというと、ヴァレリーの友達で、ギャスパーの同僚、僕のクラスメート、ってところかな?クラスメートとしてもアユムの方が親しいくらいだと思うし」

「…私たちに全く相談なしってのは、どうなわけ?」

「だって二人共最近連絡取れない状態だったじゃないか」

「うっ…」

「アーシアさんは元シスターなんだからそんな心配しなくていいと思いますけど」

祐斗が苦笑する。レオも少し呆れた顔をして言う。

「そもそも、兄さんは誑しかもしれないけど朴念仁だし、兄さんがそうなった原因の一端は姉さんたちにあると思うんだけど」

「…それはどういう意味だ」

「そのままの意味だけど」

「…まあ、レオの言いたいことは、わからないではにゃいんだけど」

「えっ」

目を泳がせる黒歌に一誠は驚いた顔をした。

「イッセーは昔からとっても素直だったしね」

「うむ。イッセーは昔から素直で賢くて可愛いな!」

「…えっと」

「とりあえずアポロの戯言はスルーしていいから」

「黒歌さんも白音ちゃんも、イッセー君のことが関わらなければ普通にいい人だから…」

 

 

 

 

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