「すっかり元気になったみたいじゃないか、ヴァーリ」
「父様。…曹操にまずは自分の体調を整えろ、と言われてしまったからな。捕虜のようなものとはいえ、こんな時に寝ているだけというのは心苦しい」
「あんまお前が目立っちまうと困るけどな。今お前すっげー微妙な立場なんだぞ?」
「だろうな。
アザゼルは渋い顔をする。ヴァーリは苦笑した。
「旧魔王派は壊滅状態、少なくとも、このままなら後は何もできずに消えるだけだろう。なら、もうあそこにさして興味はない」
「帰ってくるのか?」
「曹操たちのこともあるし、俺がグリゴリに…アザゼルの下に戻るのは難しいんじゃないか。落としどころがどうなるかはわからないが…中立の協力者、といったところか」
「中立、か…まあ、
「今の騒動を鎮めても潰れないか」
「多分な」
「すまない、レオ。随分恐ろしい思いをさせた」
たどり着いたヴァーリがそう言って苦笑のような表情を浮かべる。その歩みを止められる者はいない。
「もう大丈夫だ」
ヴァーリはレオナルドを抱きしめて頭を撫でる。
「ヴァーリ、おにいちゃ」
それだけでレオナルドの禁手の暴走が収まっていく。しかし、巨獣たちの動きは止まらない。そもそも、今のレオナルドの手に負える相手ではないのだ。無理に発動させられた禁手なのだから、仕方ないと言えば仕方ないのだが。
緊張状態が解けて泣き出したレオナルドの背をさすってやりながらヴァーリは辺りを見る。その場にいる者を敵と味方に
「…さて。首謀者は死んだらしいが、
「ヴァーリはやっぱ、王様より保護者よね」
ジャンヌがほっとしたような顔でそう言って笑う。ヴァーリはそれに不思議そうな顔をした。
「顰め面で指示出してるより、そうやって子供と笑ってる方が"らしい"ってこと」
「…まあ、上に立つのが向いていないという自覚はある」
「カリスマ性自体は曹操といい勝負だと思うけど…ヴァーリは
ジャンヌの評にヴァーリは目を丸くする。
『…確かに、それは間違っていないな』
「アルビオン」
『お前はどうでもいいと思っている相手のことは考えに入れないだろう』
「…まあ、否定できないな」
だから、ヴァーリは目の前のものを守ることはできても、策謀を巡らせるということを苦手としている。相手を自滅させるのは得意だが。
「威圧してるのは見たことあるけど、敵意とか殺意とか害意とか向けてるの見たことないし」
「…それは"何が違う"んだ?」
「うーん…簡単に言うと、怒っても殺そうとしないよね、みたいな?」
「アザゼルに無闇に殺すなと言われているからな。それに、死ぬより
「なにそれこわい」
「、ヴァーリ様?!」
「ん?…ああ…確か、
「…そういうわけには参りません。あなたが相手でも、退くことは…いえ、寧ろあなたを卑劣なる偽りの魔王どもの手より救うのが私たちの役目です」
「…お前たちの中で俺は一体どういうキャラなんだ」
ぼそりと呟いた後、ヴァーリは禁手を発動し、鎧に全身を包み隠す。
「これを使うまでもない相手だろうが…退かんと言うならかかってこい。己の立ち向かおうとしているものがどんなものなのか、教えてやる」
守護に重きを置いた戦闘態勢…10枚の翼を防壁として使い、禁手により前面に敵の攻撃を減退させ続けるフィールドを作る。そうして、守護対象たる子供たちの前に仁王立ちし、動かない。威圧は使わない。
子供たちの側面はジャンヌとヘラクレスが守っている。
子供たちを落ち着かせたりは、シトリーとその眷属、それにレオナルドが声掛けをしている。
「何故ですか、あなたはお父様の志を継ぐために王となられたのでは、ないのですか」
「俺は父様の教えてくれたことを大切にしてはいるが、それで王になった覚えはない」
「偉大なる血を受け継ぎながらも王の座を継ぐことが叶わなかったお父様の、無念を晴らそうとお思いになられたのではないのですか」
「ん…?ああ…俺は父さんの意思を継ぐつもりなどない。否、父さんの遺志など
「…え?」
「俺の"父様"は俺を捨てた