平行世界のドラゴンたち。   作:ペンギン隊長

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本編終了後番外
ギャグ
チャットの方でも言及されてるアレ


ブラコンが増えるとは。

 

ヴァーリ=ドッペルゲンガーは本体よりスペックが劣る。

これはよく考えなくとも当然のことである。分身が本体より強いなどという事があるわけがない。

ただし、これは例外がある。全快状態で分身を作り、リンクを切った上で本体が弱体化した場合である。と言っても、リンクを完全に断つと分身は存在維持が超困難になるため、僅かに残さざるをえないし、自己封印を使えばその状態でも影響を受けてしまうのだが。

何で今そんな説明をしているかと言うと、状況説明にその前提条件が必要だからである。いや、なくても理解できるかもしれないが一応。

 

その日ヴァーリは久しぶりに10歳にも満たない子供の姿をとっていた。自己封印は使っていないが、肉体的なスペックは見た目通りまで落ちている。

理由は単純。ジークが久しぶりに発作を起こしたからである。発作を軽減するための試みも、ガス抜きも行っているのだが、どうも改善の兆しがない。悪化してないだけマシかもしれないが。

「ジークお兄ちゃん、大丈夫?」

「だ、大丈夫だ…」

調子に乗って走りすぎて息を切らしているジークの顔をヴァーリは心配そうに覗き込む。肩車されている状態でジークが背を丸めているので随分バランスが危ういことになっているが。

ジークは少年時代の無茶のつけか、躯の色々なところにガタが来はじめている。普段はそんな素振りを見せないが、このままだと先は長くないだろう、とヴァーリは見ている。望むなら悪魔でも御使いでも転生させて寿命を延ばすことはできるが、今のところ人間をやめる気はないらしい。

「僕はヴァーリたんの"お兄ちゃん"だからな」

ジークはそう言って笑う。よくわからない理論だがヴァーリも笑顔を返す。

そのまままたジークがヴァーリを肩車したまま走りまわり、ヴァーリがきゃっきゃと笑っていたところにドッペルゲンガーの一人がやってくる。

「ヴァーリ、客だ」

「お客さん?予定あったっけ」

「いや、アポなし突撃訪問。正直追い払うのもアリだと思う。問題は」

ドッペルゲンガーの後ろに、"客"が姿を表す。

「相手が相手だ、ということだ」

「おや、君は確か、ジークフリート君、だっけ?ヴァーリ君は何処だい?」

「あ、サーゼクス兄さんだ」

にぱ、とヴァーリは無邪気に笑う。

「…ヴァーリ君?」

「うん」

「ヴァーリたん以外の誰に見えるんだ」

「…いや、以前に本来より幼い姿になっているのは見たけれど…」

無力な子供の姿に戻るというのはデメリットが大きいだろう。

「サーゼクス、ヴァーリ君いたー?」

「いないならいないで、あの分身の構成術式が解析したいのだが」

「セラお姉ちゃんとアジュカ兄さんもお客さんで来てたんだ。魔王が三人も来るとか、何かあったの?」

きょとり、とヴァーリは首を傾げる。

「うっわ、ヴァーリ君ちっちゃ!可愛い!」

「何を言ってるんだ、ヴァーリたんはちっちゃくなくても可愛いだろうが!そりゃあ、ちっちゃくなるほど素直になるけど!」

「…そりゃあ、俺は嘘が付けないけど」

ヴァーリはジークの力説にむぅ、と口を尖らせる。

変態(ジークフリート)の発言はスルーで構わない。サーゼクスもセラフォルーもアジュカも遊びにきただけらしい」

「じゃあ、一緒に遊んでくれるの?」

ぱっと無邪気な笑みをヴァーリが浮かべた時、アジュカが顔を手で押さえて崩れ落ちる。

「「アジュカ?」」「アジュカ兄さん?!」

「…サーゼクスとセラが」

震える声でアジュカが呟く。

「妹を可愛がる気持ちがよくわかった…」

「寧ろ、何で今までわからなかったのよ☆」

「わかってもらえて嬉しいよ」

共感を深めている魔王を冷めた目で見た後、ドッペルゲンガーは言う。

「とりあえずジークフリートはヴァーリを肩車するのはそろそろやめたらどうだ?」

「え、やだ」

ジークはヴァーリの足を抱え込む。

「ヴァーリたんは今日、僕と遊ぶんだからな」

「一日丸々という予定にはなっていなかったはずだが。…ジークフリートは有給扱いにはしたそうだが」

ヴァーリはこれでも色々仕事が立て込んでいる。ドッペルゲンガーがこなせる仕事もあるが、本人でなければならないものも当然あるのだ。特に大公としての仕事。

「子供の仕事は遊ぶことだ」

「ヴァーリは子供ではない」

「ヴァーリたんが子供でいられなかった分、俺はヴァーリたんを子供扱いするって決めてるんだ。邪魔をするな」

「…何で俺が悪いみたいになっているんだ」

「セカンドは間違ったことは言ってないと思う。…でも、ありがとう、ジークお兄ちゃん。お兄ちゃんがどうしてそう考えたのかはわからないけど、そんな綺麗な感情(いろ)を向けてくれたのは嬉しいな」

にこり、とヴァーリは笑う。

「ヴァーリたんマジ天使…」

「俺は天使じゃないけど…」

ヴァーリはうーん、と首を傾げる。

「ヴァーリが天使だったら大事だ」

ドッペルゲンガーがうんうんと頷いてみせる。

「…っていうか、ヴァーリ君何でそんなに小さくなってるの?」

「え?うーん………ジークお兄ちゃんをロリショタ趣味にした原因は俺だから、責任とって面倒みないと、的な?」

時々発作を起こすから、とヴァーリは付け加える。

この時魔王三人の気持ちは一致した。このショタコン、なんとかしないと…と。

 

 

 

 




ちなみに分身に神器を持たせる事もスキル的な意味では可能なんだが、ヴァーリの場合は精神的な理由でやらない。
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