「何が怪我した猫を保護しただけ、だ。すっかり居着いてるんじゃないか」
「欲しいなら譲るぞ。少々痴女紛いなところはあるが」
「酷いにゃヴァーリ、私とのことは遊びだったの?!」
「俺は黒歌と居候と部屋主以上の関係になった覚えはないが」
黒歌がその豊満な胸を押し付けてもヴァーリは反応しない。いつも通り平然としている。その代わり、アルシュが眉をしかめた。
「俺も別に痴女はいらない。つーか、いくらお前が半分悪魔だからって、はぐれ悪魔を此処において大丈夫だと思ってるのか?仮にも
「アザゼルはもし黒歌がやらかした時俺が殺すならいいって」
「あの人お前に甘すぎ!」
「そうか?」
『こいつはやると言ったら本気でやるぞ』
「「えっ」」
「俺がアザゼルとした約束を破るわけがないだろう」
「あー…うん、そうだな…」
「もしもの時、本気で私を殺すの?」
「ああ」
「毎日毛づくろいしてくれるくらい私のこと好きなのに?」
「お前が、というか、猫が好きなんだ。後、お前が俺の服を毛だらけにしようとするから対処しているだけだ」
「・・・」
「そもそも、黒歌は
「~~~~大好きっ!!」
「そうか」
「…お前らのスタンスがわからねぇよ…」
「俺はそんなに難解なことを言ったか?」
ヴァーリは僅かに首を傾げる。アルシュは嫌そうな顔をした。黒歌はご機嫌な様子でヴァーリに抱きついている。
「お前、その痴女の事どう思ってるわけ?」
「どう、とは?」
「そりゃ、好きとか、嫌いとか、鬱陶しいとか」
「手のかかる痴女ではあるが、特に悪感情はない」
「クララは?」
「可愛い妹分」
「・・・」
「ついでに言うなら、お前も弟分だ」
「誰が弟だ」
「お前」
「・・・」
アルシュが脱力するのをヴァーリは不思議そうに見る。
「…何の用だ、黒歌」
「何って、ナニだけど」
ヴァーリの腹の上にまたがり、黒歌は妖艶に笑う。
「他をあたれ。生憎だが俺は今のところ童貞を卒業する予定を立てていない」
「その気がなければその気にさせるだけにゃ」
黒歌が房中術を試みるがヴァーリは平然としている。
「無駄だ。俺は"生きた人の女性"に欲情する趣味はない」
「"生きた人の女性"、って…
「ああ」
「そんなの嘘にゃ!!」
「ああ、嘘だ」
「・・・」
「多分"今の"俺に死体性愛の気はない。が、ヒトに対して欲情した事がないのは事実だ」
「一度も?」
「生まれてから一度も」
「不能なの?」
「その可能性はある。調べたことはないが」
そもそも普通は調べない。
「そこは男として肯定するのはどうかと思うにゃ」
「俺は艶事には興味がない。事実を述べただけだ」
「枯れてるにゃ、若い男なのに枯れすぎにゃ!!」
「ああ。だから他をあたってくれ」
「嫌にゃ。私はヴァーリがいいにゃ」
「そうか」
ヴァーリは目を細める。
「さっきも言ったが、俺にその気はない」
くるり、と体勢が入れ替えられ、押し倒された形になり、黒歌は動揺する。
「…にゃ?」
「快楽だけでいいなら、与えてやるが?」
「か、快楽だけ、って…」
「黒歌の望みが情を交わし場合によっては"既成事実"を作ることであるなら応えられないが、ムラムラして肉体的快楽を得たいだけならヤってやる、と言っている」
嫣然と、そして慈悲深くヴァーリは笑みを浮かべる。それに背筋がゾクゾクするような感覚を覚えながら黒歌は頷く。
「でも、欲情したことがないならどうやって…」
「この身に経験はないが、"知識"はある。…まあ、マッサージのようなものだ、そう心配するな」
「…屈辱、にゃ…」
「ならもう俺にそういうことを求めるな」
ヴァーリは黒歌に優しく、激しく、徹底的に全身を愛撫し、性的快楽を与えたが、本人は汗一つかいておらず、彼女の痴態に欲情することもなかった。まるで一人相撲だ。黒歌に女性的魅力がないわけではないはずなのに、ヴァーリは何とも思わないらしい。
「ていうか、アレは一体何にゃ、何であんなものがあるにゃ」
「魔力で作っただけだ。俺は欲情しないと言っただろう」
「何であんなもの知ってるにゃ、むっつり!」
「何で、と言われても…何処かで見たから、としか言えないが」
ソードバースもどきが出来て玩具の模倣ができないというのもおかしな話だろう、とヴァーリは平然と言う。しかし、ソードバースの所持者がそれを聞いていたらそれを同列に語るな、と腹を立てていただろう。
『…何故こんな風に育ってしまったのか…』
「どういう意味だ、アルビオン」
アルビオンは返事をしない。ヴァーリは怪訝そうな顔をする。
「俺はそう不思議な育ち方はしていないはずだが」
「いや、それはないにゃ。普通に育ったらヴァーリみたいにはならないにゃ」
「黒歌から見ればそうだろうな。だが、アルビオンは俺が幼い頃からずっと傍にいたんだぞ。全てを見ているのだから、不思議に思うことはあるまい」
これぐらいならR15で大丈夫だよね…?