「君がイッセー君だね」
「はい、俺が兵藤一誠です。何か御用ですか?リアス部長のお兄さん」
「リアスの眷属である君たちには一応挨拶を、と思ってね。そちらのお嬢さんがアーシアさんでいいのかな?」
「は、はい。アーシア=アルジェントです」
「私はサーゼクス=ルシファーだ。リアスの兄であり、魔王をしている」
「部長の
「
すっかりテンパっているアーシアにサーゼクスは苦笑する。
「そんなに固くならなくていいよ。とってくいやしないから」
「アーシア、祐斗たちの治療に行ってきたらどうだ?アイツ等も無傷じゃないんだろう?」
「あ、はい。失礼させていただいてもよろしいでしょうか…?」
「ああ。引き止めて悪かったね」
「いえ…それでは」
足早に立ち去ったアーシアを見送り、サーゼクスは一誠を見る。
リアスとライザーのレーティングゲーム、
わかったのはライザーと戦ったのは今目の前にいる一誠であり、魔術による戦いが行われ、互角に近い戦況だった、というくらいだ。…グレイフィアの報告から考えて、互角というのも怪しいところではあるが。
不意打ちに近い状況とはいえ、ライザーは文字通り手も足も出ない状態にされたというのだから。高度な認識阻害を使えるとも聞くから、映像が不鮮明になっているのは彼からの干渉かもしれない。
彼に会おうと思ったのは、それだけが理由ではないのだけど。
「ところで、君は随分優秀な魔術師らしいけど、一体誰に学んだんだい?」
「現在この世界にいない方ばかりですから、名を伝えてもサーゼクスさんにはわからないと思います」
苦笑のような表情を浮かべて一誠は言う。
「他の方々には秘密にしていただけますか?」
「ああ」
「輪廻転生、というものを知っていますか?」
「…ああ」
「俺はその、転生の果てに今の俺になりました。俺の覚えている魔術は転生を繰り返す中で覚えてものです。だから、別に俺は何もすごくないんですよ」
外見の割に円熟した
「強くてニューゲーム、というやつだね」
「後衛極振りなので肉体的にはマイナス補正が掛かっていますけどね」
確かに、一誠は線が細い。まあ、魔術師の肉体が貧弱なのはよくあることだが。
「ところで、私のことは義兄さんと呼んでくれて構わないんだよ、イッセー君」
「…。…リアス部長が魅力的な女性なのは否定しませんが、俺は
「だってライザー君とリアスの婚約は白紙になったわけだし、その立役者である君がリアスをもらってくれると安心なんだけどね?」
「そうやって部長の気持ちをちゃんと聞かずに話を進めるからこんな事になったんでしょう。学習能力がないんですか」
「リアスは嫌がらないと思うけど」
「部長は恋に恋する乙女ですよ」
「君こそ、他に想う女性がいるのかい?…或いは、輪廻の中で忘れられない相手がいるとか」
「俺に恋愛感情を持っている相手はいません。これまでの輪廻だって…自分から好きになった相手は一人だけいますけどそのヒト男なんで関係ありませんし」
「…男?」
「当時俺女の子だったんで」
「あ、ああ…」
「俺は部長を愛することは多分できますけど、恋することはできないでしょうから、不適格だと思います」
純血悪魔じゃありませんしね、と一誠は付け加えた。
「そんなことはないと思うんだけどなあ…」
「…俺、前世シスターやってたんですよね」
「・・・」
一誠の言葉に隠された意味が全く察することのできないサーゼクスではない。わからないではないのだが。
「君は精神的に女性だということかい?」
「いえ、既に性別に拘りはないので、別に好きになれば男でも女でも愛せますけど」
別に初めて男になったというわけでもありませんし、と付け加える。
「…それにしても、悪魔と一口に言っても個体差はかなり大きいんですね。此処まで明確に格上とわかる相手に会ったのはサーゼクスさんで二人目です」
「それは光栄だね。ちなみにもう一人は誰なんだい?」
「俺はぐーちゃんって呼んでたんですけど…何処の誰か知らないんですよね。いつも突然顔を出すばっかりで一通り遊んだら何処かに行っちゃうし…最近は全然顔を見てないけど」
「私とその"ぐーちゃん"とやらはどっちの方が強いと思うんだい?」
「ぐーちゃん」
即答され、サーゼクスは思わず目を瞬かせる。…しかし、そう即答されるような相手ならサーゼクスにも心当たりがあってもいいと思われるのだが。