使い魔の話+α
「使い魔、ですか?」
「ええ。イッセーとアーシアは持っていないでしょう?」
「部長たちにはいるんですね」
「ええ」
リアスたちは己の使い魔を見せる。
「確かに、アーシアは使い魔がいた方がいいでしょうけど、俺は別にいなくても問題ないですね」
「何故?」
「使い魔代わりの魔法生物は簡単に作れますし、例えば、こう」
ぴゅいっと一誠が口笛を吹くと、窓の外から小鳥が飛んでくる。
「即席の使い魔にもできるので」
何でもないよ、と一誠は小鳥の頭を撫でた。小鳥は数度一誠の肩で跳ねた後、再び窓の外へ飛び立った。
「…確かに、イッセーには必要ないかもしれないわね…」
結局、休みの日にシトリー眷属の匙も合わせて使い魔を探しに行くことになった。
一誠も一応丁度いいのがいたら、ということになっている。なっているのだが、
「…俺も長年やってるが、こんなことは初めてだよ」
「…すいません」
出会う幻獣が皆、やたらと一誠になつっこく近づいていくのである。性別種族強さの別なく、全てである。
「俺がいるとアーシアと匙が自分の使い魔を見つけられなさそうなので、俺は別行動を取らせてもらいますね」
「…使い魔、か」
一誠が呟くと、周囲の幻獣たちは自分がそれに相応しい、と騒ぎ出す。
『随分な人気だな、相棒』
「光栄なことではあるけどね」
よく見ると、純潔の乙女にしか触れさせないというユニコーンや、
「でもさ、使い魔を得たとして、頼むこともあまりないと思うんだよね…精々チラシ配りの手伝いとか、もしかしたら、戦うことになった時に前衛兼牽制役をしてもらう、とか?」
正直なところ、一誠は対して必要性を感じていないのである。必要に応じてその場で魔力で人形を作ったりする方がコストがかからないし便利だと。現状特に困っていることはないし。
「…あ、でも
一誠の呟きに反応して躯の大きな幻獣が俺が俺が、と名乗りを上げる。
『まあ、お前ならどんな相手でも印象操作で存在を不審に思わせないことも朝飯前なんだろうが』
「うん、まあそれは朝メシパクパクだけど」
『犬猫を拾うのとは話が違うからな?』
「だろうね」
契約を結ぶということがこの世界においてどういう意味を持つのか、一誠はいまいち理解できていないが、何かしら、幻獣たちには大きな意味のあることなのだろう。だったら、簡単に結ぶことはできない。
「契約っていうのは、双方に得がある条件でやるべきことだと俺は思うんだ」
少なくとも、一誠にとってはその気になりさえすれば契約を結ぶのは簡単なことだろう。相手にどれほどの影響を与えるのかよくわかっていないのに、だ。それはあまりよくないと一誠は思う。
「俺と契約することで君たちに利はあるのか?」
幻獣たちは口々に何か訴えていたが、その内一体、ユニコーンが進み出て言う。
『我らが愛すべき王よ。我らにとって、あなたの言葉を直々に承ることのできる立場になるというのは、大変に名誉なことです』
「それは、利、なのか?」
『ええ。それにあなたと直に契約を結べば我らは大きな力を得ることもできるでしょう。王と契約を結ぶということは、我らにとって大きく利のあることなのです』
「ふーん…」
結局一誠はユニコーンとフェニックスの幼生、それにケットシーと契約を結んだ。名はそれぞれアメティス、コローナ、エムロード。喚べば来るらしい。
合流したアーシアと匙も自分の使い魔となるものを見つけていた。
「ラッセー君です」
何処かで聞いたような響きの名前である。
「ドラゴンの幼生か。アーシアは随分気に入られているんだな」
「えへへ…イッセーさんは、結局誰かと契約したんですか?」
「ああ。こいつ、コローナって言うんだ」
頭にくっついていたフェニックスの幼生を示して一誠は笑う。
「兵藤は悪魔としての目標はあるのか?」
「え?うーん…特にはない、かな。敢えて言うなら、部長の
「お前何か色々真面目に考えてそうだと思ってたけど、そうでもないのか」
「あはは…」
一誠は苦笑いを浮かべる。
「そういう匙は、どんな目標を持ってるんだ?」
「俺か?俺は会長の夢を手伝って、最終的にはできちゃった婚をすることだ」
「…匙」
一誠は匙の頭にチョップを入れる。
「痛っ、何するんだよ」
「会長と気持ちを通い合わせて結婚する、って言うならともかく、できちゃった婚ってなんだよ。会長の体目当てってことか」
「え、いや、そういうことじゃないけど…」
「子供を産み育てるってのは大変なことなんだ。そんな物の弾みでやっていいことじゃないし、モノにしたいなら堂々と口説いて落としてみせろよな。そんな無責任なこと言うんじゃなくてさ」
「それは…」
「会長が好きなら、彼女を貶めるようなことを言うなよな。軽い気持ちだとしても、それは言っちゃいけないことだ。一発ヤりてぇ、とかより尚悪い」
「…悪かったよ」
若干不貞腐れたような、気まずそうな顔をする匙に、一誠は溜息をつく。