平行世界のドラゴンたち。   作:ペンギン隊長

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ギャスパーとの初対面


赤き龍帝22

 

 

「ネット漬けの引き籠もりか…」

前世の友人を思い出すワードである。

まあ、その友人は霊脈(レイライン)とPCに直結して半分現実(リアル)の生活(というか、人としての生?)を捨てていたので目の前の元吸血鬼とはレベルが違うのだが。

「な、何ですか…」

「いや、中途半端だと思って」

「え…」

「君は別に、何か信念があって引き籠ってるとか、何か目的を果たそうとして結果的に引き籠もりになった、ってわけじゃないだろ?ただ(・・)、人と接するのが怖くて、危険だと封印されたからこれ幸いと引き籠ってるだけだ。…でも、()に未練がないってわけでもない」

「・・・」

「何で君は"自分の力を制御しようという努力をしていない"んだ?神器は生まれつきのものだし、昨日今日発現したわけじゃない。ちゃんと制御できなきゃ困るものだってことは分かっているんだろう?」

「それは…」

「君に成し遂げたいことがあるなら、己の神器を制御できるようになることは必須のはずだろう?…守りたいものを己の手で傷つけないためにも」

「あなたにっ…あなたに僕の何がわかるんですか!!」

ギャスパーの神器が発動する。だが、それは一誠に欠片も影響を与えない。

「俺には"目に見える"ことしかわからないよ。君の事情も、君の気持ちも、ちゃんと聞いていないしね。そうだな…でも強いて言えば、大切な人には絶対使いたくない、ちゃんと制御できなきゃ困る能力を生まれ持った者の気持ちはわかるつもりだよ。俺にも、誤って使わないように四六時中抑えている能力はあるからね」

「え…」

ぽん、と一誠はギャスパーの肩を叩く。

「まあ、過去のことは過去のことだ。俺も仲間として手を貸すから、"一緒に強くなろう"」

にっこり、と一誠は笑う。ギャスパーは戸惑う事しかできない。どう反応していいかわからないのだ。彼には、文字通り人生経験が少なすぎた。ハーフ吸血鬼だった頃も、転生悪魔になってからも、殆ど軟禁生活にあり他者との交流に慣れていない彼には、当然一誠のような相手は接するのが初めてだった。

「僕、は…」

ギャスパーは俯く。一誠は何も言わない。静かに彼を見守っている。

「…僕も、強くなりたい、です。この神器(ちから)は今の僕には恐ろしいものだけど、怖がらなくてもいいくらい、強く…」

「そっか。じゃあまず、精神から鍛えよう」

「えっ」

「神器は宿主の精神の影響を強く受ける。君が精神を強く持って神器を制御しようと努めれば少なくともON/OFFの切り替えくらいは支配下におけるはずだ。その効力の精密なコントロールは練習あるのみ、だろうけど」

「そんな、簡単なことみたいに言われても…」

「強制OFFにするだけなら簡単だぞ?」

一誠は手元に一つの眼鏡を作り出す。それは一種の封印具だった。

「これをかければ、君の能力は視界に依存しているから九割方封じられるだろう」

「そんなものが…」

「だがまあ、こういうのは最終手段だ。外から無理に封じてるだけじゃ、何時まで経ってもコントロールできるようにはならないからな」

そう言いながらも一誠は眼鏡をギャスパーに渡す。

「まあ、とりあえず外出るぞ。君、もやしっ子すぎるんだよ」

「えっ、ええええ…!」

「俺より腕力低いとかだったら、悪魔として相当だぞ?俺、素の腕力はアーシアとそう変わらねーもん」

バフ系エンチャント系の能力で補っているが。

 

「ギャスパー、力みすぎだ」

ぽんぽん、と一誠はギャスパーの頭を撫でる。

「力みすぎ、って言われても…」

「神器ってのは君自身でもあるんだ。そこまで気負わなくても、君がきちんと向き合えば応えてくれる」

「そんなこと言われても…」

「――あれ、兵藤、そんな美少女連れて何してんだ?」

「匙。…丁度いいからこいつの修行に手を貸してくれないか?」

「…修行?」

「匙の神器でギャスパーの神器のパワーを吸い取って欲しいんだ」

「神器の力を…まあ、やればできるだろうけど…」

「あ、ちなみにギャスパーは美少女じゃなくて、男の娘だぞ?」

「なん、だと…?」

 

「そうそう、その調子」

エムロードが放つ剛速球を涙目になりながら停止させているギャスパーに一誠はにこにこ笑いながら声援を送る。

「イッセー先輩、これかなりキツいんですけど?!」

「余分な力が入ってるからそう感じるだけだよ。"必要なだけ"使えば労力は最小限で済むし、今は的もそう大きくなくて軽い」

「つぅか、こいつパワー溢れすぎじゃないか?」

「当たっても痛いだけなんだからそこまで怖がらなくてもいいのにねぇ」

「痛いのは嫌に決まってるじゃないですか?!」

 

 

 

 

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