「イッセー先輩、何で眼鏡してるんですか?」
「ん?あー、最近目を酷使しすぎたみたいだから、ちょっと休ませようと思って。…後、なんだかんだ人が多いところでは眼鏡してる方が落ち着く」
「…その眼鏡、僕にくれたのと"同じ種類"のものですよね…?」
「いや?"似て"はいるけど、同じではないよ。これは外に出る力を抑制するものじゃなくて、外から入ってくる情報を制限するためのものだから」
「情報を、制限…?」
「俺の眼鏡のことは別にいいだろう?朝練、始めるぞ」
「あ、はいっ!」
「それで、エクスカリバーは何時まで僕が預かっていればいいんだい?」
「うーん…少なくとも、後二三日…もしかしたら、一週間くらい?クラレントとカラドボルグの完成度を上げないと、うっかり浄化されちゃいそうだから」
「イッセー君は一体何をしようとしているんだい」
「別に変なことをしようとしてるわけじゃないよ。傾いた天秤を元に戻そうとしているだけ。浄化の聖剣を使う悪魔って、らしくないだろ?」
「その浄化の聖剣を僕に持たせているのはいいのかい?」
「祐斗のことは信用してるからな」
「・・・」
『(…何故、英語の授業で粘土を捏ねることになるんだ…)』
「(俺にもわからん)」
そう返しながら一誠は粘土を捏ねて形を作っていく。ドライグの姿に。
『(…まさか、それは俺、なのか?)』
「(ああ。無難だろ?…コローナたちも作ろっかな…)」
創造系魔術を修得しているだけあって、一誠は物造りはそれなりに得意である。いくらもかからない内に躍動感のあるドラゴンのフィギュアが完成した。今にも動き出しそうである。
「…何だ、あの人集り」
何でだろう、近づかない方がいい気がする。
『…相棒の勘は恐ろしく当たるからな。それなら近付かない方がいいんじゃないか?』
「あ、兵藤、何突っ立ってるんだ?」
「匙。…いや。何かやけに盛り上がってる人集りがあったからさ。眺めてたんだ。近づきたくないけど、放っておくのもあんまり良くない気がしたから」
「あ、本当だ。…はい、そこー!迷惑になるような行為はやめてくださーい!」
匙が人集りに踏み込んでいく。解散させられる人々を眺め、その中心人物を見て一誠は目を丸くする。
「…魔法少女」
『…授業参観にコスプレで参加するというのは、どうなんだ?』
「…身内にされたら嫌だろうな。…支取会長、気の毒に」
ちらりと眼鏡を外して確認し、一誠は心底同情心を滲ませて呟く。視線の先の少女と支取は、魔力の質がよく似ていた。
「私も、非常に遺憾に思っています」
「妹…いや、もしかしてお姉さんですか?」
「…ええ、姉です」
支取の姉は、魔王という話だったよな、と一誠は思い出す。そして、少し考えて言う。
「悪魔って実力だけで相手を判断するんですか?」
「・・・」
とても苦々しい、頭痛でもしているかのような顔をしている支取に、魔法少女が気が付いて大きく手を振る。
「あ、ソーナたんだ☆ソーナたん久しぶりー☆」
「姉さん、そういう呼び方をするのはやめてくださいって言っているじゃないですか」
「だって、ソーナたんはソーナたんじゃない?」
「…失礼ですが、支取先輩は本気で嫌がっているようなのでやめてあげてくれませんか?」
「君、誰?ソーたんの何?」
「兵藤一誠、支取先輩の後輩です」
「ああ、君がイッセー君かぁ☆君のことは色々聞いてるよ☆赤龍帝でリアスちゃんの
「ええ、そうですけど」
「私はセラフォルー=レヴィアタン☆魔法少女やってるよ☆よろしく☆」
「…支取先輩のために、公共の場でそれをやるのはやめませんか?」
「えー、何で?」
「…わかってて言ってますよね?あんまりやり過ぎると、先輩に嫌われてしまいますよ」
「うっ…」
「折角セラフォルーさんにお似合いの可愛らしい衣装なんですから、ちゃんと褒めてもらえる場で着た方がいいですよ」
にこり、と一誠は笑う。
「…一誠君、姉さんを口説かないでください」
「別に口説いているつもりはありませんけど」
「・・・」
「えっ、あっ、お姉ちゃんはソーナちゃんの好きな人を横からかっ攫ったりしないから大丈夫だよ☆」
「そ、そんなんじゃありません!」
「支取先輩は素敵な女性ですから、俺より相応しいヒトがいると思います。(…それに、俺一応匙のこと応援してるし)」
「ほうほう、つまりイッセー君はソーナちゃんのことを憎からず思ってるんだね☆」
「憎からずってそういう意味でしたっけ?」
「(あうあう)」
「…兵藤、ちょっといいか?」
「良くない」
「お前、俺の敵だったのか?!」
「いや、一応俺は匙を応援してるけど」