平行世界のドラゴンたち。   作:ペンギン隊長

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三勢力会談アフター


赤き龍帝31

 

 

「…えっ、えっ」

寝苦しさに目を覚ました一誠は狼狽える。

右側を見れば、満足そうな顔でぐっすり眠っているリアス。左側には同じく朱乃が一誠の腕に抱きつくようにして眠っている。しかも、二人共見た感じ半裸である。

「ド、ドライグ、何で俺は先輩方と同衾してるんだ。これは一体何の拷問だ」

『拷問ではないだろう。性欲を持て余しているわけでもあるまいし。…何もしてないしされてないぞ。寝てるところにベッドの中に侵入されただけだ』

「だ、だよな。若干昨夜の記憶が怪しいとはいえ、俺がそういうことするわけないよな」

『記憶が怪しい?』

「ヴァーリを返り討ちにしたのとミカエルさんに頼み事して勧誘されたあたりまでは覚えてるんだけど、その後どう帰ってきてベッドに入ったかが曖昧で…ってか、そういえば何で先輩たちはうちにいるんだ?」

魔王(ルシファー)命令だ』

「…は?」

『サーゼクスがグレモリー眷属皆仲良く同居するよう指示したんだ。で、皆で兵藤家に住むことになった』

「…。とても嫌な予感がする」

『それはどういう予感だ?』

「色々あるんだが、まあまずアレだ。俺んちそんな大家族仕様じゃなかったはずだよな?そして、仲良くってのは別に性的にって話じゃないよな?」

『…まあ、自分で蒔いた種は自分で刈り取らねばならないものだからな』

「何か自分で蒔いたんじゃないのまで刈り取らされそうになってる気がする…」

『自覚していないだけだろう』

ドライグとの念話による情報交換という名の現実逃避に区切りをつけ、一誠は窓を見る。

外はまだ薄暗い。睡眠時間はおそらく4,5時間程度、時刻は夜明け前後といったところだろう。

リアスも朱乃もよく眠っているようだし、起こしたら悪いだろう、と一誠は己のスキルを駆使して二人を起こさないようにベッドから抜け出る。

『どうするんだ?』

「とりあえず一個目の疑問を確かめる」

静かにドアを開けて外に出た一誠は、何故か廊下で一誠の部屋の扉の側の壁にもたれて眠っている小猫を発見した。

「…ドライグ」

『俺に聞かれても困る』

その意図は不明だが、これを放置しておくというのも気が引ける。かといって、小猫に割り振られた部屋は不明だ。

少し考え、一誠は小猫を抱き上げる。彼女は比較的小柄とはいえ、悪魔化する前の彼では抱き上げることはできなかったかもしれない、と思う。強化を使えば別だが。

「ん…」

「まだ起きなくてもいいよ」

「イッセー、せんぱい…」

小猫は一誠のパジャマをぎゅっ、と掴む。

「………あー、とりあえずリビングに行こう」

『何だ、その沈黙は』

「この状態じゃ、下ろせないだろ」

アーシアのベッドにでも入れてくるつもりだったんだけど、と一誠は呟く。

『酷いやつだな、お前は。まあ、知っていたが』

「ん?そろそろ夏ったって、廊下で寝てたら風邪引くかもしれないだろ?…今更かもしれないけど」

『そういうことじゃなくてな…いや、いい。お前とこの手の話をしても不毛だ』

「どういう意味だよ」

小猫を起こさないように一誠はゆっくり歩く。明らかに、家が大きくなっている。というか、二階建てだったはずなのに上に登る階段が増えている。

「…悪魔の技術は一体どうなってるんだ」

ジョバンニってレベルじゃねーぞ、と一誠は呟く。

『ジョバンニ?』

「由来はよく知らねーんだけど、ジョバンニが一晩でやってくれました、ってネットスラングがあってだな…」

話しながら一階のリビングまで移動し、ソファに座り、魔術で取り出したタオルケットを小猫にかける。

『で、どうするんだ?』

「まあ、家の中のチェックは使い魔でやるよ」

小猫を抱えていない方の手で宙に文字を描くと、そこに小さなドラゴンの形をした魔力塊が形成される。一誠は目を閉じる。

「…うん、リンクは問題ないな。…さて、うちは一体どんな魔改造がなされたものやら」

半透明の魔力塊を操作し、一誠は家の中を見て回る。どうやら、上にも下にも増築されているようだ。地下にはトレーニングルームやプールなどが作られていた。

悪魔は家を何だと思っているのか。維持管理の手間をどう考えているのか。じっくりと問い詰めたいものである。

「これだからブルジョワってやつは…」

『どうした』

「一般家庭に屋内プールは必要ない」

『ああ…』

使い魔で一通り家の中を見て回った一誠は小さく溜息をついた。

「父さんと母さんが帰ってきたらどう説明したらいいんだ」

幸か不幸か、二人は福引の一等が当たったとかで一泊ペア温泉旅行に行っていたのである。都合が良いのか悪いのか、昨日今日の二日間しかスケジュールが合わなかったのだ。

『…まあ、あちら側で適当にどうにかしてくれるんじゃないか。最悪精神干渉も込みで』

「俺もうどう反応していいかわからねぇよ…」

一誠が苦悩していると小猫が目を覚ます。

「あ、おはよう、小猫ちゃん」

「…おはようございます、イッセーせんぱ…?!」

現状を認識してばっと離れた小猫に一誠は苦笑する。

「俺は何もしてないよ。というか小猫ちゃん何で廊下で寝てたの?」

「…。…それは聞かないでください」

「そっか。寝直すんなら、ちゃんとベッドで寝るようにね。風邪引くといけないし」

「…いえ、もう起きることにします」

 

 

 




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