「不本意ながら俺の"天敵"は俺自身なのかもしれない」
精神世界でドライグと向かい合った一誠は一番にそう言い放った。現実の一誠は貧血に陥っているため、点滴を受けつつ眠っているはずである。
「…それはどういう意味だ?」
「"前回"俺が相対した
「"
「"裁定者"であり最古の王であるからか、その鑑識眼は確かだったから、彼が本気になれば三日で聖杯戦争を終えられる実力がある、と言われた。…まあ、所謂カタログスペック程度の話だが」
そこまで言って、一誠は眉をしかめる。
「だが、アイツは英霊としての実力はあっても、サーヴァントとしてはお世辞にも最良とは言えない…寧ろ、最悪に近い部類の相手だった。人格にな、問題がありすぎたんだ。周りの人間皆雑種呼ばわりだったし…自分こそ人と神のハーフの癖に」
一誠がその男を嫌いだと言うのは尋かずともわかった。
「やたらと偉そうな割に慢心してサクッと負けるし、兄様に余計なちょっかいかけるし、師のサーヴァントの癖に兄様に師を裏切らないかって唆すし。子供好きだからってカレンにもちょっかい出そうとするし、女の子にナチュラルにセクハラするし、やたら趣味が悪いし!」
「…なんだか、大部主観が入ってる気がするんだが」
「概ね事実だし。そりゃあ、兄様はナチュラルボーンエヴィルだからその業を愛でるってのもわからなくはないよ、僕も兄様の悩んでるところ見るの愉悦だったし。でも、だからって真面目に生きたい兄様を悪の道に引き込む?ひとが折角ゆっくり自覚させて生まれつきと父様の教えを両立させようとしてるのを邪魔すんじゃねぇよ!」
「…つまり、ある意味同類ということか」
「僕とアイツを一緒にするな。重なる部分があることは否定しないが僕とアイツは似て非なるものだ」
「お、おう…」
「…"前回"の聖杯戦争においては、アイツの天敵になりうる相手が二人参加してたんだけどね。一人は、手にしたものを何でも己の宝具として扱える、という宝具があって、投げ放った宝具を奪って使うことができたから。もう一人は、あくまで宝具の所有者であって担い手ではないアイツと違って、ある程度使いこなせるし蔵から引っ張り出すという動作が必要ない分一拍速く行動できる贋作使い。…まあ、そのどちらもアイツが本気出して接近される前に最強装備使われたらどうしようもないんだけど」
「つまり、アイツの本当の天敵、一番の敗因は、"格下の相手に慢心する自分自身"ってわけ。…慢心せずして何が王か、とか開き直ってドヤ顔してたけど」
「…今回匙に負けたのは、己の慢心に原因がある、と?」
「俺の場合は慢心っつーか…なんて言えばいいんだろうな。俺は戦士じゃないから勝つことそのものに強い執着はない。
あはは、と一誠は笑う。
「お互い命を賭けてやってるわけじゃないし、どうも非情にはなりきれなかったんだよね。
「…ふむ。確かに、いつも"本気"を出さないというのは、ある意味お前の弱点なのかもしれんな」
そこは、付け入る隙になりうる。場合と力関係にもよるだろうが。
「まあ、だからといって、いつも"本気"を出す、ってわけには行かないんだけどね。意味もなく敵と警戒心を増やすわけにはいかないし」
「そもそもその必要性も薄いしな」
ネズミ一匹に核爆弾を持ち出すような所業である。
「間を取って、相手の実力を正確に掴んでそれより一回り上の力で戦う、ってところかな?うーん、でも、バレるとある意味相手への侮辱と取られそうな気もするし…」
「しかしまあ、相手によって出力を変えるというのはある意味当然だろう。確かに対処としてはその辺になるんじゃないか?後はまあ、相手の意図を正確に読むことか」
「魔力とかを吸うんならまだしも、血を取られるとは流石に想定してなかったからなあ。ある意味、それも弱点を突かれたとも言えるけど」
体が弱いし貧弱なので、魔力より血の方が抜かれると拙いのである。
ちなみに多分具体的に出す事はないと思うので此処で補足しておくと、前世ではキャスター枠に二人降ってきて従えて四次が途中で中止とかいうとんでも√です。
キャス枠二人は某所のリュー君の前世別ルートがトリップルートで出てきてる味方側エクストラクラス鯖と同一人物。
(別の組み合わせだと面白いと思ってたんだけど、同時使役ルートの二人になったんだよねー…)