平行世界のドラゴンたち。   作:ペンギン隊長

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if番外
一誠が原作準拠時空に行ったら
ディオドラ戦後ぐらい?修学旅行やフェンリルより前


赤龍帝、平行世界に行く。

 

 

「…ん?」

"一誠"は眼鏡をかけた眉根を寄せて一誠とアザゼルを見た後、ああ、と納得した顔をする。

「平行世界か。…だが、"俺"にしては随分弱そうだな」

「なにおう…!」

"一誠"は挑発するように一誠を鼻で笑う。

「それに、随分煩悩にまみれているようだ。…まあ、悪魔らしいといえば悪魔らしいし、犯罪行為に手を染めているようでなければ殊更咎め立てる必要はないか。心根そのものは邪悪ではないようだしな」

「"俺"のはずなのに勝ち組オーラ出ててムカつく…何だこのイケメンオーラは…!」

「いや、基本的に顔の造作は同じだろ。ファッションセンスとかは違うっぽいが」

"一誠"は肩をすくめる。

「同じ顔相手に嫉妬するって、虚しくないか?誠実に接すれば想いを寄せてくれる女の子なんて幾らでもいるだろう。…まあ、俺は告白を受け入れたことはないが」

「えっ。………夕麻ちゃんは?」

「夕麻?…ああ。俺を見下して陥れようとしている相手と何故付き合わなきゃならないんだ。あんな女と付き合うなんて、俺に対して本気で好きと言ってくれた子たちに失礼だろうが」

「おっ、女の子たち(・・)…」

「ほー、そっちのイッセーは普通にモテてるのか」

「俺は昔から人助けが趣味みたいなもんですからね。助けた女の子にうっかり惚れられちゃうことは偶にあるってだけですよ。別にモテたくてやってるわけじゃないし、その子を特別扱いするってことができないのでまず断りますけど」

「俺もそんなセリフ、言えるなら言ってみてぇよ…!」

「何だお前、モテたくてアーシアたちに優しくしてるのか?」

「え、いや、そういうわけじゃないけど…」

「そういうことだよ」

「お、おう…?」

適当に丸め込まれそうになった一誠が、いやいや、と気を取り直す。

「やっぱ俺でもモテるイケメンは敵だ!勝負しろ!」

「んー…あんまり気は進まないが、そうしなければ納得できないんなら、叩き潰してやるよ」

そう言って"一誠"は眼鏡を外して翼を広げる。その翼は白い羽毛に覆われており、眼鏡に隠されていた瞳は紫水晶(アメジスト)のような神秘的な色をしている。頭の上には金色の光が円を描き天使の光輪(エンジェルハイロウ)を作り上げていた。

"一誠"は左手の赤龍帝の籠手(ブーステッド・ギア)から強大な浄化の力を持った聖剣を引き抜いて笑う。

「俺の偽造の聖剣(エクスカリバー・カウンターフェイト)に悪魔の身で抗うのは、いわゆる無理ゲーだろうが」

「えっ…えっ、え?!」

「…お前、御使いだったのか」

「勝負するんじゃなかったのか?」

「俺が天使とか…そんなのアリかよ?!」

「見ての通りだ。で?もう戦意喪失か?あんな啖呵を切っておいて?」

「ん、んなわけないだろ!校舎裏の空き地に移動するぞ」

 

一誠と"一誠"は空き地で向かい合っていた。少し離れたところではアザゼル他オカ研メンバーが固唾を飲んで二人を見守っている。

二人は同時に己の禁手を発動する。一誠は通常のスケイルメイル、"一誠"は亜種と思われる騎士鎧(ナイトメイル)だ。"一誠"は鎧を纏っても鞘に包まれたままの聖剣を構えずに持っている。一誠は先手必勝とばかりに突っ込む。

「くらえ!」

「甘い」

一誠の拳を"一誠"の片翼が防ぐ。そしてそのまま聖剣を薙ぐようにカウンターで振るった。

 

「強い…!」

「これでも、ミカエル様に直接勧誘された身だからね」

「ミカエル様って、確かイリナの…」

"一誠"は血振をするように剣を振って構え直す。

「…しかし、それでよく生き残ってこれたな。いや、それともこの世界の強さの水準が全体的に低いのか?」

「なっ…俺はまだしも、他のやつまで馬鹿にするんじゃねぇよ!」

「すまない、俺は正直すぎるのが欠点の一つなんだ」

「ムカつく!!」

 

「…ぷっ、くくくっ…あははははは」

突然大笑いし始めた"一誠"に一同呆気にとられる。

『何だ、茶番はもう終わりか』

「いや、ミカエルさんに"羽さえ隠せば十分天使に見える"とは言われてたけど、まさか本当に誰も疑わないですっかり騙されるとは…てっきり、アザゼル先生には見破られるかと思ったのに、そうでもないっぽいし」

"一誠"は禁手を解く。そして聖剣を籠手に収納すると、光輪(ハイロウ)を取り外して砕き、残り六枚の翼を新たに広げる。

「改めて。リアス=グレモリー眷属、兵士(ポーン)の兵藤一誠だ。これでも、正真正銘の転生悪魔だよ」

「天使と悪魔と…それに竜の羽?」

「…ある意味木場の聖魔剣と同じってことか。…いや、しかし聖邪のバランスが崩れてるからってそれはねーだろ…」

アザゼルが難しい顔をする。

「まあ、俺元々イリナ曰くエンジェルだったらしいから。聖剣弄りすぎて天使化しかけたレベルで天使寄りっていうの?まあ、天使と悪魔は表裏一体的なフォーティーンなんじゃね」

"一誠"は肩をすくめた後、眼鏡をかけ直す。そして翼をしまった。

『またお前はわかりにくい言い方を…まあ、詳しく解説する義理はないだろうが』

「嘘は一つも言ってないもんね」

『それは先ほどまでもそうだろう』

「そうだけど」

「エンジェル、って」

「六月頃久しぶりに再会した時に"何でマイエンジェルイッセー君が悪魔になってるの?!"って言われたから。あ、比喩的な意味のエンジェルらしいけど」

 

 

「自分こそ天使みたいな美少女の癖に、一体何を言ってるんだか…」

あはは、と"一誠"は笑う。

「「「び、美少女?!」」」

「俺はあんまり人の顔の美醜には興味ないけど、イリナもオカ研や生徒会の関係者も、皆顔立ちが整ってるやつばっかだと思うけど」

「それは、確かに…」

『…相棒に外見の美醜を考える心があるとは思わなかったな』

「そりゃ、どうせ見るなら汚いより綺麗な方がいいだろ?心が汚くちゃダメだけど」

最優先は心だね。レイナーレとミルたんだったらミルたんを選ぶよ、と"一誠"は付け加える。

『…そりゃ、自分の命を狙ってきた相手とそこそこ親しくしている依頼者なら当然の結果だろう』

「いやいや、初対面の印象レベルでミルたんだし」

『………そうか』

「…ミルたんって、あの(・・)ミルたんだよな」

「魔法少女志望のミルたんだよ。魔法使う素質ないみたいだったから、チャージ式の魔法のステッキ作ってあげて以来お得意さん」

「何だそりゃ。人工神器か何かか?」

「言葉通りですけど。どっちかっていうと、魔導具(マジックアイテム)?」

こんな感じで、と"一誠"は何処からともなく魔法少女のステッキを取り出してバトンのようにくるくると回し、杖先を空に向ける。白いビームが星のエフェクトを纏って発射される。

「一般人にそんな武器渡すなよ!」

「ミルたんは武の心得がある人だぞ。堅気相手に使う訳無いだろう」

「何だその信頼」

「今時珍しい、いい人じゃないか。…あ、これ要らないからやる」

「俺もいらねぇよ」

 

「君が平行世界のイッセーか」

「そういうお前はヴァーリか。…何か代わり映えしないな。…いや、若干あっちのより弱いかな」

「俺が弱い、とは聞き捨てならないな」

「俺も流石に白龍皇(ライバル)に無関心じゃいられなかったから、一通り分析する位のことはしたからな。再戦はまだだが、多分次は俺のクラレントを封じる手段と、覇龍を超える何かくらい出してくるだろ。使い物になるレベルかはともかく、開発自体は出来たみたいだったしな」

「覇龍の先については俺も考えているが…クラレント?英国の宝剣、か?」

「ただの魔剣だ」

「ふむ…イッセーと戦ったんだろう?俺とも手合わせしてくれないか?」

「クソ面倒だからやなんだけど」

「君は強いんだろう?」

「さあ?基準によるんじゃない。まあ、この世界の一誠よりは俺の方が強いけどね」

二人は静かに睨み合う。

「おい、そこの戦闘狂二人、状況を考えろ、状況を」

アザゼルの言葉にヴァーリは舌打ちをしてそっぽを向き、"一誠"は嫌そうな顔をした。

「俺が戦闘狂?冗談でもやめてくださいよ、俺戦うの嫌いなんですから。そもそも俺は魔術使いであり研究者ではあっても戦士じゃないんで」

『…まあ、相棒は勝利にも強さにも興味がないからな』

「なんだと?」

「勝利も強さも、所詮は目的を果たすために用いる手段に過ぎないだろう。重要なのはその勝利をどう活かすか、強さを何に使うか、だ」

"一誠"はヴァーリを冷めた目で見る。

「手段を目的にしていれば、いずれ待ち受けているのは破滅だ。まあ、本人がそれで後悔しないなら、それも一つの選択ではあるだろうが」

まあ、概ね"金は使うことに意味がある"というのと同種の話だよ、と"一誠"は付け加える。

「…とことんこっちのイッセーより厄介なやつみたいだな、お前」

「ははははは、生徒で発明品を実験したり、学校の地下で巨大ロボ作ってたりする人には負けますよ」

 

おっぱいドラゴンを視聴した"一誠"はとても微妙な顔をした。

「…いや、まあ、子供受けするのはわからないではないけど。スイッチ姫って何」

「いや、俺部長のおっぱいをつついて禁手に至ったし、正気を取り戻せたから」

『うおおおおん』

「なにそれひわい」

『…俺の相棒はそんな猥褻行為をせずとも禁手に至ったぞ。というか、戦場で何をやってるんだお前は。幾らあの堕天使が悪魔を見下してたからって流石にそれはないだろう』

『堕天使…?相棒が正式に禁手に至ったのは夏休みのことだぞ』

「へえ。ってことは、美猴さんと黒歌さんが来た時あたりかな」

『こっちはコカビエルが仲間(アーシアたち)を精神的に傷つけたことに対する怒りでブチ切れて禁手に至ったぞ。…鎧は動きにくい、と不満轟々だったが』

「だって動きにくかったし」

「…もしかして、部長のおっぱいに関しては俺の方が勝ってるのか…?」

「そもそも、俺はお前と違っておっぱいに大して興味ねーから」

「おっぱいは偉大だろうが!」

「俺どっちかっつーと、腰派だから。適度な大きさと美しい形の乳と尻に挟まれたきゅっと細まった腰の美しさな。後、脚線美と足の裏」

「足の裏…?」

「床にうつ伏せになって自然に伸ばされた足からのちょっとひねった足の裏と指とか最高にセクシーだろ」

『…相棒、お前一応女の体にも興味があったんだな』

「まあ、見て美しいと思う程度にはな。っていうか、別に女に限らねーけど」

『…相棒はやっぱり朴念仁だったか』

 

 

 

 

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