リュー君が原作準拠世界に行ったら
ディオドラ戦より後
「♪今に見なよ、アネモネが咲くだろう。偽りながら嘘をついた…って」
膝の上で小型キーボードを弾く手を止め、"一誠"は目を瞬かせる。
「アザゼル先生と……ああ、平行世界ってやつか。…グレは一緒に来てはいないみたいだな。良かったんだか、悪かったんだか…」
『先に騒ぎになるか、後に騒ぎになるか、というだけの話だろう。どちらでも変わらん』
「…だよなあ」
「グレ…?」
「音痴っぷりを散々発揮してくれやがったから、特訓してやってたんだよ。どうも早口になると言えないだけみたいだが」
こっちにも非があったとはいえ、間近で延々聞かされたのはきつかった。
『そちらのイッセーは面識が薄いのか?…面倒がなさそうで羨ましい』
『…面倒くさい相手だというのはわかった』
「クソ面倒だぞ、俺がキレたりすると脈絡なく駆けつけてくる
『俺に聞くな』
「ヴァーリとの戦い、って…もしかして三勢力会談の時のアレか?」
「ああ。挑発にのってキレたら乱入してきた。途中で
『
「だから
『それで相棒が余計に消耗することになった、と言えなくもないと思うんだが。流石に真龍を縛るのは魔術一種では無理だしな』
「三重+言霊で本人が破ろうとしなかったからどうにかなった、ってだけだからなあ。俺もう次はそもそも呼び寄せないようにするって決めたもん」
「待て、今真龍って言ったか?ってことはまさか、グレってグレートレッドのことか?」
「ああ。流石に先生は長生きしてるだけあって面識あるんだな」
「グレートレッドって、あのでかいドラゴンか?」
「奴は何者にも興味がないはずだろ?」
「…理由はよくわからないんだが、小さい頃から"遊んで"くれるわ、なんやかんやで気に入られているらしい。…最近ちょっとヤンデレじみてて悪魔は信用ならないから我が守る、って狭間に連れてかれそうになったりしてるが」
『ちなみに相棒以外には相変わらず興味がないらしい』
「…へー」
「俺は小さい頃にドラゴンと遊んだりはしてないけどなぁ」
「ドライグとも?」
「俺、ドライグの存在知って意思疎通できるようになったの極最近なんだけど」
「ふーん。"猫をかぶるまでもなく"普通の人間だったのか」
「自分はそうじゃない、って?」
「こんな目の色で、五歳児の時に神器が発現して、膨大な魔力を持っていて、腐男子で、前世の記憶持ちで、スペックが魔術師タイプに振り切れてる代わりにフィジカル貧弱で病弱、って自分でも設定盛りすぎの
『何か途中変なのが入ってなかったか』
「気のせいだ」
「…お前、平行世界の俺、なんだよな?」
「ああ。リアス=グレモリーの
こてり、と"一誠"は首を傾げた。
「とりあえず、負ける要素はなさそうだな」
『その慢心はフラグになりうるぞ』
「まあ、"主人公補正"ってのもあるしな」
ゆっくりとストレッチをするように体を動かした後、"一誠"は格闘の構えをとる。一誠も仲間と言葉を交わした後、構える。
「何時でもかかってくればいい。返り討ちにしてやるから」
「なめんなよ!」
禁手を発動した一誠が殴りかかる。"一誠"は己も禁手を発動して迎え撃つ。広げられていた二対の赤い翼が一誠の拳を止め、足蹴が腹に向けられる。辛くもそれを逃れ、一誠は冷や汗をかいた。
「魔術特化って言ってなかったか?」
「魔術は急いで磨く必要がなかったからな。ここ数ヶ月はもっぱら白兵戦か近接戦の特訓をさせられている」
「マジかよ…」
「そも、前衛がいなければまともに戦えない魔術師が
くるり、と綺麗な回し蹴りが一誠に襲いかかる。避けたところに翼と拳による追撃がかけられた。捌ききれずに体勢が崩れかけたところに真上から負荷がかかってつんのめる。
「うおっ」
「"頭上注意"だ」
踵落としの後反動とバックステップでその場から離脱し、"一誠"は魔術で一誠の周辺に岩を降らせた。
「っ、殺す気か?!」
「余程当たり所が悪くなきゃ大丈夫だろ。アーシアもいるんだし」
おそらく"一誠"は本気で言っている。
「そもそもその程度で死ぬタマじゃないだろ」
「まあ、これぐらいで死んでられないけど」
「こっちも
"一誠"は踊るようにステップを踏む。
「流石に
牽制の魔術が再び発動する。
「"気付くも気付かぬも同じこと、でもバレてはおしまいだね"」
簡易砲台が形成され、チャージが行われる。
「"チャージビーム"」
三つのビームが一誠に向けて発射される。